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岩城さんの新著、「お金」の考え方…積立投資には意味がないって? [投資スタイル]

お友達の岩城さんが本を出されたので、思ったことをメモしておきます。どこからどこまでが本のタイトルなのかよくわからないんですが、
そこ、ハッキリ答えてください!『お金』の考え方 このままでいいのか心配です。

山崎元氏との対談という形で、お金の絡むよろず身の上相談といったところ。男の価値観と女の価値観の対比を意識させられます。男っぽい考え方と女っぽい考え方を線で結んだならば、私の価値観はその中心より若干男寄りにあるような…。実際日ごろ多用しているフェイスブックなどは私を男だと思っているらしく、携帯端末の通信状態が悪くてプロフィール写真の表示が間に合わないときには、男のシルエットが現れるんですよ。

話がそれましたが、夫婦の関係に、金遣いや貯蓄、保険や投資といったお金の事情がどう絡むのか、というあたりが、この対談の面白さでしょう。具体的な事例が次々出て来て、話に親近感が湧きます。「必要貯蓄率」という指標は便利ですね。入る必要のない保険の話などは個人的にとても参考になりました。

投資に関しては、前々から山崎さんの書いてらっしゃる記事をネット上などで見かけて、どうも私とは話が合わないようだと思っていたのですが、やはり賛成できかねる部分は色々とありますね。ここで初めて見るわけではありませんが、積立投資に意味はない、という議論。岩城さんも喰い下がって聞いていらっしゃいますが、結局分かりやすい説明はいただけてない印象です。それもそのはず、積立投資は合理的だから。それを愚かな大衆の信じる民間療法のようにおっしゃっていることについては、はっきりと異を唱えさせていただきます。

これを読んで多くの個人投資家に迷いが生じるとすれば、困ったことだと思いますね。山崎氏の説を信じるのは自由ですが、それは少数派。積立投資は私だけではなく、多くのもっと立派な専門家の皆さんも推奨している方法です。常識のウソを暴く、みたいなことは、ちょっとしたエクスタシーでしょうから水を差すのも気が引けますが、やはり常識のほうが正しいと思います。

でも、山崎さんはなぜ積立投資に意味がない、とおっしゃるのでしょう。それだけではなく、歳をとってもポートフォリオを保守化させる必要なんかない、ということもおっしゃってますね。これも「常識のウソを暴く」式の議論ですが、根拠が十分にあるとは思えません。その理由、一冊通して読んでみると、何となく分かったような気がします。

山崎さんにとっては、どうやら株式投資は所詮ギャンブル、株式で資産運用するなんて本気では考えていない、ということではないでしょうか。資産形成はほぼすべて、現金や債券でひたすら貯める。あとは遊びで株式を乗っける、という発想。そう考えると、おっしゃってること皆、辻褄が合います。

そうであれば、資産全体の規模にもよりますが、株式なんて資産のほんの一部、せいぜい1割、多くても3割程度を振り向けるに留まります。もう必要な金額は揃った、あとはおまけのリターン、というならば、一気にリスクを取ってしまえばよいのです。文字どおり必要な現金は既にあるのですから、リスクを取ると決めた額から現金をわざわざ残す必要はありません。全部株式に振り向けても、大した額ではないのですから構わないのです。

個人の資産形成を株式中心にやる、ということは、資産の半分でも7割でも株式で保有する、ということです。株式でギャンブルすることではありません。ご飯にかかっているふりかけではなく、白米そのものなのです。資産の大きな部分が株式であれば、高齢になるにしたがって減らす必要はもちろん出て来ます。生活するのは現金ですから、現金化する時に価値が大きく下がっていると困ります。現金は十分あるという人が、株式投資で遊んでいるのとはわけが違うのです。

そして個人の資産運用がベンチマークとするのは、常にインフレ率です。インフレ率を上回る資産成長が目標なのです。一気に買わなかったために、株式インデックスに大きく後れを取ってしまっても、別に気にすることはありません。そこが機関投資家とは違うんですね。個人はプロの投資家より劣っているのではなく、ベンチマークも目的も違うのですから、インデックス=ベンチマーク、という発想の身についた機関投資家の真似をする必要はないのです。山崎さんのおっしゃる「その時々で最適な額」はインフレ率に負けないパフォーマンスを実現する額ですから、案外小さいのです。ふりかけは一気にかけてしまってもいいけれど、白米はじっくり時間をかけて炊かねばなりません。

長期投資を信じるのをやめなさい、というアドバイスも、同じ文脈で理解できます。おっしゃる通り、長期投資だからリスクが低いというような言説は間違いです。期間が長期にわたれば、むしろリスクは高くなるとも言えます。長期投資を標榜するのは、それこそ株式を中心とした資産形成の考え方で、株式は高くなることも安くなることもある、短期間の結果で判断するのは意味がない、ということにすぎません。そして、たとえ今安くても、長い目で見れば十分挽回するチャンスはある。逆に今好調でも、悪い日も来るから心せよ、というわけです。だから、株式が主役なんて考えられない、という向きには長期投資の意味はあまりないのでしょう。

お金の話もさることながら、転職相談やキャリアプランのアドバイスは、興味深く読みました。人それぞれの人生ですから、こうしたらいい、ということはなかなか言えないでしょうけれど、要は合理的に、冷静に、計画性を持って、ということ。ファイナンシャル・プランニングと同じですね。

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