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運用報告、要りません [投資スタイル]

このブログは、個人で株式投資をしたい、投機じゃなくて運用をしたい、という人のために何か参考になればと思って書き綴っていますが、常々思うのは、プロが常に個人より有利なわけじゃない、個人だからプロよりうまく行くことも色々あるし、プロとは違う考え方で投資すればいいのだ、ということです。

以前書いたブログ記事に、個人でも必要な情報には十分アクセスできる、ということを書きましたが、個人投資家にはもう一つ、とても大きなアドバンテージがあります。それは、誰にも運用報告しなくていい、ということです。

他人のお金を預かって運用する場合、運用の報告をするのは当然ですし、そこはしっかりやってもらわなければ困ります。しかし運用するにあたって、報告義務というのはとてもコストのかかることです。ここでコストというのはもちろん、報告のためにデータを集めたり文書を作成したりという、実際お金と時間のかかることも含まれるでしょうが、それよりも重要と思われるのは、投資判断に与える影響です。

運用判断は、まず合理的であることが求められます。これも当然です。誰が見ても納得のいく合理的判断であることが望ましいわけです。「ピンと来たから」とか、「これが好きだから」というわけには行かないのです。ですから運用上の判断は、合理的に説明のつくこと、さらに言えば、理路整然と説明しやすいことが優先されるようになります。

この事は一見とても正しいことのようですけれど、実際は運用の足を引っ張る大きな要因となり得るのです。誰もが納得するような説明というのは、大抵の場合ほとんどの人が既に知っていることです。ということは、既に株価に織り込まれている部分も多いということです。一方、よく考えると合理的であっても日頃の常識とずれているようなアイデアは、説得力に欠けることも多い。しかし、荒唐無稽とも思えるアイデアが実現した時は、本当に大きなリターンが得られます。誰でも思いつくような、万人受けするような、理路整然と説明しやすいアイデアよりも、ちょっと聞くとあり得ないように思えるけれど、考えてみると合理的、という方が、投資アイデアとしては貴重なのです。

運用報告というのは、正規には1年に1回か2回でしょうけれども、たいてい毎月とか四半期ごととかいった頻度で、何らかの形で行われているのではないかと思います。ですから、その期間ごとに運用成果も明らかにされるわけです。流石に毎月毎月好成績でなくても非難されないとは思いますが、ベンチマークに勝てない状態が半年とか1年とか、またはそれ以上続くような事態は、誰だって避けたいものです。ですから、5年とか10年とかを視野に長期投資で、と言っても、しばらく市場に負けていると、どうしても短期的に挽回しようという意識が働いてしまうものです。また、運用報告書に人気の銘柄が載っていないと文句を言われそうだから、なんて理由で銘柄を選ぶようなことも、ままあるのです。(ウィンドウドレッシング、なんて言ったりします)

これが、長い運用実績を誇る老舗運用会社ともなると、もっと余裕のある対応ができるのでしょうね。1年や2年ベンチマークに勝てていなくても、うちには何十年のレコードがありますから、長期的にはご心配には及びません、と言えるのです。日本にはそんな運用会社は無いかもしれませんけれど。

ファンドマネージャーも、普通の人間です。(普通じゃない人もいるとは思いますが。)いくら自分で良い投資アイデアだと思っても、なんでベンチマークに勝てないのだと文句を言われながら、半年も一年も、成果が出るまで耐え続けることは、少なくとも日本の運用環境ではなかなか困難でしょう。そこまで運用者に要求する運用会社も、そうした風圧から守ってくれる運用会社も、そうそうあるとは思えません。

そこへ来ると、個人投資家は心置きなく長期投資に集中できます。そもそも株価指数と競争する必要もありません。競争相手は最終的には物価上昇率です。もちろん収益率は高ければ高いほど良いけれど、資産が物価以上に増えていさえすれば、最低限困ることはありません。自分で良いと思うアイデアをかかえて、しばらく成果が出なくても、そのうち上がるから見ておいで、と心の中でほくそ笑んで待っていればよいのです。果報は寝て待て、というではありませんか。

⇒ 私流 株式投資

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