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日産自動車の配当利回り [株式の個別銘柄]

2~3日前、株式関連の番組で、視聴者の投稿なのか、ジェレミー・シーゲルの「株式投資の未来」を読んだら配当を重視して株式投資すると書いてあってショックを受けた、という話をしていました。投資の意味が全く分からないまま投資している人が、相変わらず多いということなのでしょう。お陰さまで、それほどハイリスクでもないのに配当利回りが高くてハイリターンな投資対象が、今も放置されているわけです。皆が配当を重視して投資するようになったら、こうはいかないかもしれません・

現在の株式市場で、誰もが知っているような大企業で最も配当利回りが高いのは、多分日産自動車じゃないかと思います。会社発表の今期配当で計算して、現時点で4.6%です。どうしてこんなに高いのでしょうか。投資家が配当を重視しないからと言っても、いくらなんでもねえ、と私は思うのです。そこで、こんなにも配当利回りが高いのはどうしてか、理由を色々とつけてみました。

理由をつける前に、まず業績を見てみると、減益ではありますが、売り上げが減るわけではないし、そもそも配当性向が低かったこともあり、配当を予定通り支払うのに全く支障はなさそうです。しかも増配です。会社予想が53円/株のところ、四季報では53-59円ということですから、会社発表よりも多いかも、と予想しているわけで、上限の59円もらえたら、利回り5.1%です。すごい!

ここ数年の配当の推移を見ると、かなりのペースの増え方です。四季報のページで見られるのは4期前までですが、その時30円ですから、今期53円として、年15%のペースで伸びてきているわけです。この増配のスピードが速い、ということが高配当利回りの要因の一つでしょう。株価が増配ペースについてきていない。業績がそんなに伸びていませんからね。株式市場はいつのころからなのか、もうずっと成長志向なので、どうしても売上や利益に反応します。日産の業績も悪くはありませんが、今後もずっと伸び続けると簡単に予想してくれるほど、マーケットは甘くありません。

さて、まず「自動車」という業種。このところEV(電気自動車)や自動運転技術の話題が盛んです。技術的な革新が起こりそうな予感に、投資家も浮足立っているといった感がありますね。その中で既存の自動車会社は攻め込まれる立場にあるわけです。台数の普及も地域によってはまだまだ進むと思われますが、それよりも技術革新で苦境に立たされるのではないかという思惑の方が強く働いているようです。それを反映してか、日産に限らず自動車メーカーの配当利回りは全般に高めです。

未来の車がどうなるか、そして既存のメーカーの立ち位置がどうなるか、あまり正確に見通せるとは考えないほうが身のためです。予想については謙虚に参りましょう。現在のマーケットの見方は、少し既存のメーカーに厳しすぎるような気がしますが、どうなんでしょうね。自動車というのは、なにしろ家電などと違って人命を預かるものですから、動力系の変化だけですべての勢力図が変わる、というものでもない可能性はあります。また、電気自動車には電力が必要だということも忘れてはいけません。巨大な人口を抱える中国もインドも、発電には環境問題やインフラの問題を抱えていますよね。大きく勢力図が変わるにしても、時間がかかることはほぼ確実なのでは、と思います。

それから「日産」という会社への評価。超長期的なスパンで見れば、最先発のメーカーではあったものの、トヨタをはじめとする後発のライバルに追い上げられ、追い越され、記憶にある限りずっと右肩下がりの会社、というイメージです。バブル後日本経済が低迷すると、経営は潰れそうなところまで悪化して、仏ルノーの傘下に下りました。そんな会社ですから、基礎となる評価はどうしても低くなりがちなのです。また、規模も非常に大きいので、簡単に変われるとも思ってもらえないでしょうね。株価の評価というのはどの業種でも、そう簡単にランクが変わったりはしないものです。

日産の場合、もう外資系ですから、海外自動車メーカーの配当利回りの影響が同業他社より大きい可能性もあります。業種が当然同じですから、海外メーカーだって同じように厳しく見られているわけです。親会社のルノーは3.8%とのことですが、ドイツ車は、スキャンダル渦中にあったVWはともかく、BMWもダイムラーも4%台です。アメリカ車、GMは3.8%、フォードは5%に載っています。(データはいずれもBloombergより。) その中で4.6%のNissan、というのは、しっくりくるというべきかもしれません。

こうして見てくると、日産の4.6%というのは、特におかしな値ではない。他の日本メーカーとのバランスで、もう少し低くてもいいのかもしれないけれど、国外に目を向けると、そんなに下がらないかもしれない。つまり、配当利回りが高いという理由で株価が上がるということにはそれほど期待せず、この高い利回りを目的に買う、ということなら良さそうです。もちろん、業績が伸びて配当も増えれば株価は上がるでしょうね。この配当利回りの水準は、国際的に見ても高い方ですから。



ご参考 → 私流 株式投資

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