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チケット高額転売問題~月刊国民生活 [市場と経済]

書くべきことを貯めてしまったので、昨日・今日と連投です。

月刊「国民生活」の2月号「私たちと経済」連載第二回のテーマは「市場経済とは」。前回もそうでしたが、当たり前のように金融市場に接していると、改めて市場経済とは何か説明しようという試みは、ちょっとした挑戦です。株式の「板」を応用して市場価格の決まり方を解説してみたり、需要と供給の調節機能について説明したりしています。また、社会主義、民主主義、自由主義といったこととの関係、拡大する貧富の差の問題などにも言及しています。

自分の書いたもの以外で興味を引いたのは、「チケット高額転売は抑え込めるのか」という記事。問題になっていますよね、人気のチケットが、半ば組織的な転売で異常に高騰するという事態です。昔からダフ屋という商売は存在しますが、ネットを通じたチケット販売、ネットオークションを利用した転売など、道に立って売りつける牧歌的な時代とは比べ物にならない規模で行うことが、可能になっているわけです。その結果、イベントを提供する側が来てほしいと望む層の手に届かなくなっているのです。

悩ましいのは、チケットの転売が市場を通じた自由な経済活動であって、その結果ついている価格が、市場の実勢価格であるということです。だから、関係のない者の眼から見れば、そんなの放っておけば? という種類の問題でもあるわけです。実際転売という行為は、条例違反になることはあっても違法ではない、とこの記事でも解説されています。ただ、イベントの当事者からすれば事態は深刻ですよね。ミュージシャンであれば、本来来てほしいと思うファンの手に、チケットが届かないわけですから。

最近は、大量に買い占めて転売するような行為は詐欺罪で摘発するようになっているとのことですが、常軌を逸しているとは分かっても、どこからが犯罪なのかという線引きは、なかなか微妙な気もします。そもそも最終的に異常な高値でも買ってしまう人が大勢いるから、こういう問題が起こるわけです。本来の市場であれば、消費者は価値を正当に判断して、高すぎれば需要がしぼむはずなのですが、商品の性格上、冷静な判断を欠くというところに問題があるのでしょう。どんなに高くても欲しいと思ってしまう、というわけです。

お金を出そうと思えば出せてしまうような豊かな人が多くいることの証左でもあるのでしょうが、欲望の抑えの効かない人間が増えているのかもしれません。そしてそれを助長してしまうのは、市場機能の弱点のひとつと言えるのかもしれません。少なくとも自分は、物の価値を冷静に判断できるように努めたいものです。

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