SSブログ

「値動きの激しいものはリスクが高い」ことについて [投資スタイル]

資産運用や投資について語る時、「リスク」の説明は欠かせません。

リスクとは何ぞや?・・・リスクというものを正しく理解してもらうにはどうすればいいのか。これはちょっとした知的なチャレンジです。資産運用における「リスク」については、様々な解説がされていますが、誰もが知恵を絞って工夫を凝らしているのが分かります。標準的にはリスクとは「不確実性」であって、一般に値動きの大きいものはリスクが大きいのだ、という説明になるでしょう。数学的センスのある人々は、事象のばらつきとか、標準偏差という表現を用いるとピンとくるのかもしれません。

私も不確実性、つまりどうなるかわからないことがリスクなのだ、という説明をします。値動きの大きいものはリスクが高いのだ、という説明もしてきました。ただ、この説明でよく分かった、すっきりした、という分かり方をする人がどれくらいいるのかな、と考えてしまうこともあります。値段が大きく上下する株の方が、少しずつ動く株よりもリスクが高い、つまり「投資成果がより不確実」と言ってもいいでしょうし、「明日の株価がより当てにくい」と表現してもいいかもしれません。投資の世界に慣れきってしまうと、疑問の入り込む余地もないわけですが、こうした説明で「そりゃそうだ」とか「納得!」という感じになりますか? 

「リスク」を投資初心者にどう説明するか、あれこれ模索している時にふと気づいたことがあります。「値動きの激しいものはリスクが高い」というより、「リスクをとっているから値動きが激しくなるのだ」ということです。「株主」」と「債権者」を比べてみるとそれが分かります。

企業に融資している債権者は通常、業績が良くても悪くても貰える利息は同じです。ですから企業の業績が良い悪いと言って、債券を売り買いする必要は生じません。ところが株主は、業績が良くなって利益が増えればその分株式の価値も増え、損失が出れば価値が減ります。配当も利益が出るか損失が出るかによって、増減します。

ある企業がすごく有望な技術を開発したら、それによって株式の価値が倍になるかもしれない、もしかすると10倍になるかもしれない、と思うから株式には多くの買い手が群がり、すごい勢いで株価が上がるわけです。でも巨額の開発費をつぎ込んだ研究が失敗するとか、スキャンダルが出たりとかいうことが起きると、株式の価値も大きく下がる、大損する、と皆思うから焦って売るわけです。株式の値動きは当然大きくなります。

それは「株主になる」ということが「損失を全部引き受ける代わり、利益が出たら全部自分のものにする」ということだからです。そしてそれは、債権者に比べて「大きなリスクを負っている」ことにほかなりません。大きなリスクを負っているから、値動きが大きくなるのです。「値動きの大きいものはリスクが高い」は結論的には正しいけれど、本来は順序が逆だ、というお話でした。

タグ:リスク
nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。