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三菱電機の株主総会 ~ 長年保有しているのに初の出席 [株主総会]

6月28日、今シーズンの株主総会集中日は、三菱電機を選びました。長年保有していて好きな銘柄なのに、総会に出るのは初めて。集中日にやっていることが多いのでしょうね。

開会の前に、総会の様子は撮影してメディアに公開されます、とひと言。ホームページで公開されるのでしょうか。こういうおことわりを聞くのはじめてです。総会を公開するという会社は今のところあまり聞きませんね。結構あるのでしょうか?

事業報告に続いて、社長から経営戦略についてのプレゼンテーション。経営戦略の中に「社会貢献」を組み込んでます、という話と、あとは普通に事業戦略。どんな技術に強いとかどんな分野に注力するとか。そして数値目標。少し特徴的なのは、知的財産活動に力を入れているという項目でしょうか。

株主質問の冒頭、4名の株主から寄せられた事前質問に回答。①職場環境・労働時間管理について。②女性の登用について。③防衛産業について。④製品に不具合があった場合の対応について。・・・それぞれ回答がありましたが、まあ通り一遍というか、特筆すべきことはありません。ただこれらの項目は、その後の株主質問でも繰り返されました。

特に労務関連の質問は何度も繰り返されました。いくつも訴訟を抱えているようで、個別案件に通じているらしい株主からの質問もありましたし、純粋に株主的観点から、労務管理をちゃんとやってもらわないと困る、企業価値を毀損する、という発言もありました。あまり注意を払っていませんでしたが、労務関連のトラブル、特に多いのでしょうか。

労務関係については、働き方改革ちゃんとやってます、パワハラについては内部通報制度あります、というぐらいのことで、特にユニークな方策があるとも思えません。昨今話題の「裁量労働制」の導入には否定的なようです。完全終身雇用・年功序列で人事が出来ていてこの状態を存続させたいのであれば、裁量労働制がしっくりこないのは当然でしょう。こういうところをみても、如何にも体質の古そうな会社です。

女性の登用については、新聞や雑誌の記事で見かけることもありますし、長年勤めている女性の友人もいるので、可もなく不可もないと思うのですが、株主総会をこうして聴いている限りは、先進的な雰囲気からは程遠いというのが正直なところ。女性の取締役は社外に1名のみです。大企業で年功序列から女性の取締役が出てくるにはまだかなり時間がかかる、とはこれまでも何度か書いていますが、この会社ではすでに事業所長級で4名、部長級で13名女性がいらっしゃるとのことですから、意外と早く誕生する可能性もありますね。

株価が低迷しているから不満だ、という株主がここでもいらっしゃいました。会場からは、不満なら売ればいい、という野次が。私なら逆に買えばいい、と思いますけどね。回答は、事業戦略を確実に実行して価値向上を図るのみ。情報開示やIRも頑張ります、ということでしたが、それでよいと思います。自社株買いや消却という予定は当面なく、配当で還元します、とのこと。投資したい案件がたくさんあるから、自社株買いで資金を減らしたくはないということです。

中期計画の収益力目標が低すぎるのではないか、という指摘もありました。2020年までに営業利益率8%がその目標です。昨年度は7.2%、傾向的には7%をはさんで横ばい状態、という感じでしょうか。確かに野心的な目標とは言い難いですね。RoEの目標も、現状より低い「10%以上を継続すること」ですから、現状にほぼ満足と言っているようにも聞こえます。

この会社の収益構造というのは、ファナックのやっているようなFA部門、この会社では産業メカトロニクスとなっていますね、ここで利益の半分以上を稼いでしまって、あとは収益性の低いその他の部門をどうコントロールするかってことなんでしょう。因みに産業メカトロニクス部門の利益率は13%、次いで売り上げの大きい重電システム部門はたったの4%です。FAの部門も、ファナックははるかに高い利益率を稼いでますから改善の余地はあるのでしょうけれどね。数字だけが目標ならば重電部門を小さくしてしまえばよいわけですが、それは企業として目指しているものが違うということだと思います。

さて、総会の進め方について、社長のリーダーシップを感じない、もっと社長が自分で答えてほしい、という株主がいらっしゃいました。一方で、露出度の高い社長がいいわけではない、という株主も。私はどちらかと言えば後者ですね。何でもかんでも自分でお答えになる社長は、どうしても独善的というか、細部についてはいい加減に答えている、という印象を受けます。今回のケース、社長は初めにまとまったプレゼンテーションをなさっているわけですし、担当ごとに役員に幅広く割り振って答えさせるというのが正しいと思います。壇上の役員の皆さんがしっかりお仕事なさっているところを見られる方が好ましい、というのが私の感じるところです。

それにしても、三菱電機の株主総会自体、特に褒めるような点はありません、残念ながら。それなのにどうして好きな会社なの? という話はいつか改めて書きますので。

総会を終わって、部門ごとの展示パネルの前を通ると、利益の6割を稼いでいる産業メカトロニクスの展示はすごく小さくて見ている人もいません。収益構造のところでも触れましたが、利益率の低いところをどうやるかが重要なんですよね、多分。せっかくなので、解説のスタッフに、AIの技術がFAシステムにどう生かされるか、解説していただきました。

今年のハイシーズンは、この総会が最後です。

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