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今年もよろしくお願いします [市場と経済]

2020年が稼働を始めました。残念ながら、明るい希望に満ちた新年、というイメージではないようですね。スパイ映画まがいの逃亡劇で幕を開け、中東情勢を巡る不安感も漂っています。ただ、この手の暗さは最近始まったことでもなく、アメリカに現大統領が登場して以降、はっきりと感じられるようになりました。大統領が事態を引き起こしたというより、時代が生んだ大統領ということなのでしょう。

ベルリンの壁が崩壊して以降の20年間は、概ね明るい時代だったと言っていいと思います。世界は一つの方向に向かっていく、という一体感に包まれていました。もちろん、壁の向こうから来た人々にはどう見えたのかわかりませんが、私たちは、彼らも私たちと同じマーケットに参加して、同じ価値観を分かち合えるようになると感じていました。そして世界的にマーケットは拡大し、実際に世界は豊かになりました。

それが今、世界は逆にばらばらになろうとしています。リーマンショック以降だんだんと富の偏在が目立つようになり、経済が拡大しているのに豊かにならない、と多くの人が感じるようになりました。明るい希望だったグローバル化が、敵視さえされるようになってきました。世界を豊かにしてきたマーケットの、負の面が誰の目にも明らかになってきたのです。

資本主義、または市場主義の経済は、自由に任せると貧富の差が必然的に拡大するもののようです。一旦差がつくと、大きいものにとって競争条件はより有利になります。規模の経済が利くでしょうし、財力があれば、より大きなリスクをとることができます。リスクをとることができれば、成長するチャンスも得やすくなります。ですから勝者が勝ち続け易いし、大きなプレイヤーのいる市場には新規参入が難しい、ということにもなるでしょう。

近年は、経済のグローバル化で市場が大きくなっている分、貧富の差もスケールが拡大しているということなのでしょう。それに加えて新しい産業では、勝者が勝ち続ける傾向が一層強くなっています。そしてマーケットシェアの寡占が、そのまま富の分配にも反映しているかのようです。もちろん、世界がばらばらに動けば富が平等に行きわたるというわけではありませんが、これまでのように、市場のメカニズムを信じることができなくなっているのは確かです。

企業経営の場でESGが強調されるのも、市場メカニズムの修正の一環と考えることができます。環境や社会的価値を守ることによって企業の価値が高まるので株主にも恩恵がある、と従来の市場のメカニズムの枠内で説明されるのが普通かもしれませんが、私は少しそれには無理があるような気がしています。経済的効率をひたすら追求する「市場」に任せすぎると弊害が無視できないので、それをコントロールしようするのが、ESGやSDGsの推進といった動きだと、私は捉えています。

一体化しつつあった市場を分断し、効率を犠牲にして社会的価値を守る、という流れに世界経済は入っている、これが現状に対する私の理解です。去年からの弱気の虫は、元を正せばこういうことです。弱気な話を長々としても面白くないのでこのくらいにしますが、当分の間はこんな感じが続くと思われるので、年初にあたり整理してみました。あまり明るい気分ではありませんが、どんなときにも資産運用は続いていきます。投資する対象はたくさんありますからね。今年もよろしくお願いします。

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