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外貨を持たなくちゃならない? [投資スタイル]

先週末、「経ママサロン」を開催しました。
これは私の主宰している「経済に強いママを増やす会」で不定期に開催している、口コミベースのゆる~いセミナーです。
この日のお題は「個人型確定拠出年金(iDeco)」がメインで、経ママ仲間の岩城さんにお話ししていただいたのですが、そこから資産運用の色んな面に話は発展しました。その一つに「分散投資」、特に外貨分散、という話がありました。

教科書的な話をすれば、資産はできるだけ広く分散すべきで、当然外貨も持つべき、ということになります。聞かれれば私もそう答えるでしょう。しかし今現在、自分の資産に外貨を持っていない人は、たくさんいらっしゃると思います。資産運用について少し学んで、外貨を持つべきだ、と納得していただくのはよいのですが、あまり「外貨を持たなくちゃ」と、焦ることはないと思うのです。

このところ外貨建ての保険商品を勧める金融機関が多いと聞いていますが、どうみても大してお得ではない、というか全然お得ではない外貨建ての商品をつい買ってしまうのは、この「外貨を持たなくちゃ」、という意識からくる場合もあるのではないでしょうか。

外貨を持つということは、為替変動のリスクを引き受ける、ということです。最近は世界中低金利で、魅力的なほどの金利差を得られる機会も減りました。リターンが生まれるのは、主に円安になった場合です。逆に円高になれば損をするわけです。

さて、もしあなたが外貨を持っていない状態で円安になってしまったら、あなたは「ああ、外貨でとれたはずの利益を取り損なった」と思うでしょう。一方、外貨を持った状態で円高になってしまった場合、あなたはストレートに「損した!」と思うわけです。同じ損をするのでも、両者の感じ方はかなり違うのではないでしょうか。あなたが非常にソフィスティケイトされてグローバルな感覚を持った人物であっても、日本に住み、日本円で生活している限り、外貨で取り損なった得べかりし利益と、円建てて減ってしまった自分の資産を、同じ気持ちで感じることはなかなかできないと思います。

ですから私はいつも、外貨を持つのはいいけれど、ホームバイアス(自国資産を多く持つこと)大いに結構、と言います。自分でよくわかり、情報も豊富にある自国資産を多く持つことは決して間違っていません。近くにあってよくわかるものと、地球の裏側にあって何が起きているかわからない資産は、決して同列ではありません。

日本人として日本にずっと住んでいると、日本の悪いところは非常に目につきます。人口構成の問題、財政赤字や巨額の国家債務、企業の不正、国際競争力の劣化・・・。そこへ持ってきて外貨に分散投資せよ、と言われれば、外貨、外貨、と焦ってしまうかもしれません。しかし、外国に住めばこんどはその国の悪いところも見えてきます。どの国も地域も、それなりに色々な問題を抱えています。

現状の円の評価は、正しいかどうかは別にして、何か不穏な出来事があれば、世界中の人が日本円を買う、という状態にあります。不安なのは、何も日本人だけではないのです。また、外国為替の理論値は原則として、物価の上昇しがちな国の通貨が安くなります。ここで将来の物価動向を予測するつもりはありませんが、日本の物価が他国を大きく引き離して上昇する、という経済状態は、まだ当分の間起きないのではないかと私は思います。

私も外貨資産を持っていますし、海外に投資することを否定するつもりはさらさらありません。ただ、外貨に分散しなきゃ、と思うあまり、お得でもない外貨商品を買ってしまうくらいなら、円資産の上にどっかりと落ち着いていた方が良いと思いますよ、というお話でした。

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株しかない? [投資スタイル]

株価が高値を付けているからなのか、最近ネットで「株しかない」という本の広告を見かけて、またまた煽るようなタイトルつけるんだから、いやになっちゃうわ、と思ったのですが、考えてみると私も同じようなことを言っているんですね。先日も友人から、老後に備えての相談事。よくある類の質問でしょうが、「減らしたくはないんだけど、どうしたらいい?」と。(ちなみにその書物は読んだわけではないので、内容については全く存じません。単なるタイトルの印象。)

減らしたくないけど増やしたい。ご要望に沿いたいのはやまやまですが、今、元本保証がありながら、資産が増えるほどの金利がつくものは、はっきり言いますが、無いわけです。それをはっきり言いたくないものだから、アイデアを絞って色んな金融商品が考え出されているのでしょうが、そういうものは無い、というのが基本です。国債や銀行預金の金利がかぎりなくゼロに近い時、何をどうこねくり回しても、無から有は生まれないのです。

金融収益というのはリスクに応じた金利です。金融業というのはリスクに金利という値段をつける仕事、と言ってもいいと思います。金利という形の値段も、ほかのものと同じように市場で決まりますから、同じだけのリスクには、同じ値段しか付きません。減らしたくない、銀行預金や国債と同じように元本を保証してほしい、と思えば、それにつく金利も同じようなレベルになります。それをごまかすために色々な工夫をすれば、それだけコストもかかるはずですし、金利に応じたリスクをどこかでとっているはずなのです。

ちょっとの間も減らしたくないならば、増やそうと思ってはいけません。「減らしたくないんだけど」…という相談に対する答えは「銀行預金か国債」ということになります。現状、個人向け国債で0.05%ですから、これをどう割り振ってもほとんど何も起こりません。それは嫌だというならば、投資信託も含め「株式を買うしかないんじゃない?」と私も答えるでしょう。もちろん、人によって、何のリスクをとりたいかは違います。外国為替がいいとか、不動産がいいとか、いろいろあるでしょう。個人的には「株式がいいんじゃない?」と思いますが。



ご参考→ 株式は債権より儲かるのか、というお話
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悪い話が出た時は [株式の個別銘柄]

ここで個別の銘柄をとり上げることなんて、そう頻繁にはやっていないにもかかわらず、日産の配当利回りについて書いた直後に大規模なリコールのニュース。リコールは車には付き物だとはいうものの、あまり気分のいいものではありません。悪いニュースには違いありませんから。

以前から書いていることですが、株式を保有したら、気にするのは配当が減ることだけ。株価が下がることを心配するのではなく、配当が減ることだけを心配するのです。だからこういう悪いニュースが飛び込んできた時も、それによって配当が減るかどうかだけを考えるわけです。

新聞記事によれば、リコールにかかる費用は250億円以上とのこと。「以上」というのは気になりますが、さすがに見込みの5倍や10倍に膨らむようなことはないでしょう。リコール以前の会社発表では、今期の純利益は5350億円、これに対して費用が250億で済めば、純利益の4.6%ということになります。その倍に膨らんだならば9.2%、1割弱ですね。そのくらい見積もっておけばとりあえず保守的と言ってよいでしょう。

さて、純利益が1割これによって吹き飛ぶとして、配当には影響があるでしょうか。日産自動車の配当性向は、先ほどの予想純利益5350億円に対して38.7%、これは、一株当たりの予想配当=53円 を、一株当たり純利益=136.8円 で割って算出します。つまり純利益の4割弱が配当に回っているということです。ということは、純利益が1割減っても、配当を減らす必要はありません。

それでも配当が減るとすれば、それは今回のリコールが、今後長きにわたって悪影響を及ぼすという判断をする場合でしょう。今回の事例を新聞等で読む限り、製品自体に欠陥があったというわけではなく、製品の検査に際して法令順守を怠ったということです。今後は製品検査の体制を改善しなくてはいけませんが、それは会社として当然のこと。適切な対処を期待してもよいと思います。

ただ、会社がコンプライアンスに甘い体質である、という印象は残りますね。それで会社の評価が低くなるということはあり得ます。ここで甘ければ、ほかで似たような失敗をしているかもしれない、という発想にもつながります。実際に似たような失敗が起こり、配当を減らさざるを得ないようなダメージがあれば、そこで初めて、この投資は失敗だったかな、ということになります。印象の悪化のみで株価が下がれば配当利回りはもっと高くなるので、投資額は増やすのが正しい、ということになりますね。

そんなことを考えながら、投資するのかしないのか、増やすのか減らすのか、…どちらの答えが正しいというものではありません。自分がどういう期待を持って、どんなリスクをとって投資判断しているのか、ということが大切です。


ご参考 私流 株式投資

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