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バリュー系の銘柄 [投資スタイル]

先日、とあるセミナーでお話した時、「バリュー系の銘柄、というのはどういう意味ですか?」という質問を頂いたので、ここでも簡単にご紹介したいと思います。質問なさった方は、ご自分の保有するファンドの定期的な運用報告の動画で、ファンドマネージャーが「バリュー系の銘柄を増やした」というのを聴いたのだけれど、それはどんな銘柄を増やしたということなのか分からなかった、ということでした。

私はその動画を見ていませんし、実際どのような銘柄を増やしたのか存じませんが、一般的に「バリュー株」と言えば、「割安株」ということになります。ただ、割安な株の定義はひとつではありません。基本的には利益、純資産、配当などが指標となりますが、それらを組み合わせたり加工したり、そこに運用者の創意工夫が盛り込まれる余地があります。

中にはかなり「バリュー株」を拡大解釈して、「このくらい成長するのだから割安だ、だからこれもバリュー株だ」という説明をする運用手法も目にすることがありますが、あまり拡大解釈しすぎるのは誠実ではないと私は思います。

私の考える純粋な「バリュー」の要点は、「成長性に対する期待を織り込まないこと」です。成長性というのは、予想するのがとても難しいものです。それに対して、足元で上げている利益、今手にしている資産、前期や今期の配当をもとに株の価値を分析するのは、難しいことではありません。そうした確実な指標に基づいて評価した株価が割安である場合、それは「割安株」「バリュー株」でしょう。

何かすごい技術を持っている、とか、どんどん成長しそうな市場に商品を供給している、とか、そういった銘柄は「成長株」で、ほとんどの場合、株価は高い評価を得ています。成長株は予想されたとおり、またはそれ以上に成長することが求められます。なぜならば、株価は既にそのつもりで高くなっているからです。もちろん本当に成長する企業は、業績が何倍にもなりますから、買う時点で株価が高くても問題ありません。問題なのは、本当に成長するかどうかなのです。期待を裏切れば、たとえ利益が伸びても株価が下がってしまいます

これに対し「バリュー株」は、ピカピカのストーリーを持たない株です。時代遅れのビジネスに見えたり、作っている製品が何の変哲もない物だったり、成長性が感じられない銘柄であることが普通です。あまり期待されないので、株価の評価も低いのです。ですから持っている資産の価額よりも株価が安かったり、配当利回りがとても高かったり、ということが起きるのです。企業が高成長することは、やはり滅多にありませんが、期待値が低い分、期待を上回る業績を上げることは難しくありません。期待を上回れば、その分株価の評価は上がるのです。

さて、ご質問の方は「バリュー系の銘柄」とおっしゃいました。どうやら純粋の「バリュー株」ではないのでしょうね。成長期待は織り込んでいるけれど、ピッカピカのストーリーではありませんよ、というくらいのニュアンスなのではないでしょうか。

写真は本題とは関係ありませんが、先日見た天野山金剛寺の枝垂桜。

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