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三菱商事 ~ 優等生とはこういうもの [株主総会]

6月22日㈮ 三菱商事

招集通知の事業報告、見やすくできていると思います。セグメントごとの純利益を前年と対比している図とか、キャッシュフローの前年比とか。事業戦略も整然とまとまりすぎてるぐらいきれいに図示されています。如何にも優秀な人が作っている、という感じ。

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コーポレート・ガバナンスについても、かなりスペースを割いています。取締役会と監査役会以外に社外役員を中心とする「ガバナンス・指名・報酬委員会」というのがあって、以前初めて見た時は、すごく整っているという印象を受けた覚えがあります。でもよく見るとこの委員会、取締役会の諮問機関で「提言」するのが役割だそうですから、特段の権限はないんですね。相談役や顧問については、フェードアウトを図ろうと努力していることは見て取れます。すぐには無理、という事情も読み取れるけれど。

3年前に出席した時もそうでしたが、ここの総会では出席票と一緒に、議案の賛否を書き込む用紙を渡されます。会場では拍手で議決ですから投票というわけではないんでしょうが、事後的に議案に対する賛否を集計するのでしょう。総会に出席すると賛否の表明が出来なくなるというのは考えてみればおかしな話ですからいいことですね。

株主質問で、「社外」「独立」取締役候補として三菱重工の会長が挙がっている件、指摘されました。人事担当の役員の回答は、「独立の要件を満たしているからいいのだ」ということと、「三菱商事のことをよく分かってくれているから相応しいのだ」ということ。でも「社外・独立」というのは、よく分かっている人が果たすべき役割なのでしょうか? 会社のことをよく分かっている方がいいのなら、社内の取締役と変わりませんよね。…ということで、先ほどの賛否表明用紙には、この方だけ反対表明しておきました。あとで前回出席した時のメモを見たら、私はその時も「グループ会社出身で社外取締役・独立役員候補になっていた某氏のみ『反対』」と表明したようです。

事業の成長性を気にした質問もいくつかありました。AIやIoTをどう考えるか、とか、もっとスケールの大きいワクワクするような構想を語ってほしい、とか。そうしたワクワク感のあるプレゼンテーションには、この社長はあまり向いてないでしょうね。表情が硬くて謹厳実直な感じ。質問に対する答えは、最初に触れた「整然とまとまりすぎた事業戦略図」ということです。ワクワクする話はそれこそソフトバンクに任せておけばよいので、私は特に不満はありません。

今年から廃止となった総会みやげも話題に上りました。出席者が大幅に減少したのはそのせいなのでしょう。総会の場では半減くらいか、という話になっていましたが、先ほどどなたかがSNSに投稿なさってた記事によれば、6000人超から1000人割れへの激減だそうです。いやはや、効果てきめんというべきか…。お土産目当てに参加する株主が減れば、まじめな株主にはより対話の機会が増えて良い、とのお答え。質問できる確率が上がるということですね。個人株主数が減っているのは気にならないのか、という質問もありましたが、株価が上昇基調にある時は、短期保有の株主が利食い売りで減りますからね。

女性の役員がいませんね、という質問。これは時代の要請ですからどこでも出る質問ですが、あと10年くらいはかかりますよ。年功序列が最後まで残るタイプの会社ですから、役員人事も例外ではあり得ません。現在、役員で一番お若い方が私より3期上です。雇用機会均等法は私の2年後から始まっているので、単純に考えて最短あと5年ですね。質問への回答では、女性総合職の採用がそれなりの規模に達したのは2000年代に入ってからだそうなので、現実的にはやはり10年以上はかかりますよね。当面は社外取締役制度を利用してダイバーシティを確保していただくしかありません。現在部長に到達している女性は5名、管理職の10%、採用では25~30%が女性だそうです。

配当は、現在の配当金額をよほどのことが無ければ減らさない、という「累進配当性」だそうです。傾向的に増えてくれれば、そこまで硬直的にする必要はないんですけど、業績が悪くても減配にしなくて済むくらい、財務に余裕があるということなんでしょう。悪いことではありません。今期もまた増配の予定です。

帰りに、旧知のベテラン・アナリストに遭遇。彼の眼にはどう映ったんでしょうね。

→ 2015年の株主総会
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