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平成を振り返ってみる [市場と経済]

世の中こぞって「平成振り返りモード」なので、私もやってみようと思います。

私は昭和の末期に就職したので平成時代は社会人としてフルに経験しているわけですが、平成を簡潔に表現すれば「平和と停滞」でしょうか。大災害の類は少なくありませんでしたが、それによって社会が揺らいだ、それで社会がひっくり返った、ということは起きませんでした。

一方社会・経済が停滞したのも事実です。アベノミクス以降「女性活躍、云々」という文言が頻繁に聞かれるようになりましたけれども、これこそ停滞の象徴です。私はいわゆる総合職採用で就職しましたが、その直後に男女雇用均等法が制定され、社会全体も女性を採用しようという方向に向かっていました。ですから、昨今の「女性活躍~」には既視感を覚えます。30年かけて、まるで何も変わっていないかのようです。

昭和のバブルが崩壊して経済はじり貧になっていきましたけれども、いわゆる「ゆでガエル」の状態で、危機の進行を肌で感じることができませんでした。毎日平和に暮らしていると、変革しようという気運はなかなか生まれません。変革には大きなエネルギーが必要ですから、多くの賛同を得なければ動かないのです。何もしなくても平和なのに、どうして動かなくちゃいけないのか、という状態が続いたのが平成という時代だったと思います。

数字を見ても、経済が停滞していたことはよくわかります。名目GDPは1990年代の初めから2015年ごろまで、完全に横ばいです。経済統計ではよく「実質GDP」が使われますが、物価が下がっているせいで生活水準が上がった、などと喜んでいるわけには行きません。名目GDPが上がっていないということは、日本経済につけられた値段が上がっていないということと同じです。この間、株式市場がパッとしないのも当然ですね。

アベノミクス以降、名目値で見る経済は少し上を目指し始めたように見えます。株価指数も同様です。だからと言って、この先も上向いていると信じる理由は特にありません。日本人は日本の経済力に自信を失っているし、与えられた条件が成長を後押しするわけでもありません。平成が令和になったからと言って、平和な世情が覆されるわけではありませんが、経済や社会に変革を迫る要因があるとすれば、急激に進む労働力不足がその役割を果たすのではないかと思います。

「女性の活躍、云々」に話題を戻せば、30年前は景気が良かったわけで、雇用を増やしたいという経済的ニーズがあったからこそ、雇用機会均等法もそれなりに受け入れられたのでしょう。ですから、経済の停滞で雇用が余剰になってしまったことと、30年を経て同じような「女性活躍」推進を未だにやっていることとは、無関係ではないはずです。

今後絶対的な労働力の不足で、女性の、というだけでなく、雇用慣行が大きく変わっていく可能性はあると思います。当たり前のように語られる「終身雇用制」も、元をたどれば戦後の高度成長で、長期間働く安定した労働力を必要としたから定着した制度でした。同じ雇用慣行が、この先も続いていくのはむしろ不自然ではないでしょうか。不自然を続けているせいで、正規・非正規のような労働市場の歪みも深刻化するのです。
 
ただ、変革には多大なエネルギーを要します。それが上手く進むために必要なのは、成長する企業だと思っています。それが新しい、若い企業であれば、より良いですね。新しい会社が雇用の在り方も変えていく・・・そして雇用の変革がまた起業を増やす。そんな好循環に入れればいいのですが。

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特に荒れなかった臨時株主総会  [株主総会]

月曜日、日産の臨時株主総会、話題になっていたので混んでいるだろうとは予想していましたが、案の定、入れたのは第3会場でした。15分以上余裕見て会場入りしたんですけどね。インターネット中継をやったというから、招集通知に書いてくれていたら、わざわざ出かけなくてよかったかもしれません。ビデオを通した会場では拍手もないし、しんとしたものです。

総会は、ひと言でいえば平穏でした。現経営陣の責任を問う、と厳しい口調で質問した株主は、24名中私のメモによれば2名。その質問も、賛同の拍手が沸き起こったという状況からは程遠く、経営陣の回答も、おとなしく反省の弁を述べるのみで、怒号が飛び交う、なんてことは全くありませんでした。

でも、新聞社やテレビ局のシナリオは違ったのでしょうね。すべてのメディアをチェックしたわけではもちろんありませんが、2時間半近くにも及ぶ株主質問から各社がニュースに取り上げたのは、「経営陣は総退陣すべきではないか」「けじめをつけてほしい」という株主からの発言。繰り返しますが、2人だけだったんですよ、そういう言い方をしたのは。

中には古参の元社員らしき株主の、決議事項に大賛成、ゴーンは悪すぎる、西川さんよくやってくれました、という発言もあったのです。こちらに対しても支持の拍手が巻き起こったなどということはなく、やはり総会は、多くの関心を集めている割には平穏だったと言うしかないでしょう。この方はゴーン氏への悪口が延々と止まらず、聴いてるほうは思わず失笑。これに対する西川さんの回答は「敢えて何も申しません。大変ストレートなご意見ありがとうございました」。

これからの経営戦略、アライアンスの在り方、ガバナンスの立て直し等々、今後の日産を心配するきわめてまともな質問が多く、株主の皆さん、本当に真面目に参加してらっしゃいます。質問のクオリティーが高いのは、通常の総会に倣って株主質問を事前申し込み制にしたから、ということもあるかもしれません。先ほどの株主氏からは、質問の事前申し込み制も含めてゴーン流は全部やめろとのご意見でしたが、ゴーン流だからダメと言うのは暴論だとしても、質問を制限してしまうのは、会議の進め方という意味ではやはり議論の余地がありそうです。会議が紛糾するのを防ぐ意図がないとは言えないでしょうから。

メディアが協調したがっている「現経営陣の責任」の問題ですが、責任をとれ、退陣せよ、というのは理にかなっているようには見えます。でも今起きていることって所詮権力闘争じゃないの、と思えば、勝っているほうが留まっているのは当たり前じゃないかとも思えます。引責するほどの権力が無かったからこういう事態になったのだ、というのが現経営陣の立場でもありますからね。そう考えると、理にかなっているように見えてもあまり現実的ではない、といったところでしょうか。


帰り道、目が合わないようにしていたんですがテレビ局のマイクにつかまってしまいました。街頭インタビューというのはテレビ局のシナリオにあったコメントを探しているだけですから、私のコメントなど採用されるはずがありません。なにしろ開口一番「総会、全然荒れませんでした」でしたから。

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キャピタルゲインを出さない金融商品 [投資スタイル]

私事ですが、今年の確定申告では、私が事務作業を任されている親の証券口座で、思っていたよりも売却益が出ていて、納税額がずいぶんと増えてしまいました。(納税するのは親ですが。) 

高齢の年金生活者は年収も少ないですし、キャピタルゲインにかかる所得税は、重く感じられます。配当ならば配当控除がありますが、売却益が出てしまうと、どうしようもありません。そうなると、配当を思いっきり出してくれて株価があまり上がらない、という株式があればありがたいような気もします。(もちろん一概には言えません。)

一時はブームとなってもてはやされながら、その後悪者扱いされるようになった、毎月分配型という種類の投資信託がありました。高い配当が人気の源でした。しかし、時として元本を食いつぶしながら配当を払うのはよろしくない、ということで人気も下火になったのです。

もちろん、配当によって元本が減ることもある、という説明をしっかりせずに販売すれば誤解を招き、非難されるのは当然です。しかし、既に「貯める」段階を終えて「取り崩す」段階に入っている世代にとっては、元本が割れたら割れたで、運用しながら取り崩すという便利な機能を提供してくれているわけですから、商品自体は非難されるようなものではありません。

私の親の口座にも、ブームの頃に買ったと思われる毎月分配型の投信が保有されています。買ったときにはどんな説明がされていたのか、今となっては詳しいことはもうわかりませんが、結果的にはこのまま持っていても問題ないと思っています。

そういえば以前、知り合いがこんなことを言っていました。「配当金をたくさん払ってくれて、自分が死ぬときには価値がゼロになるような金融商品があればいいのに。」どうして最後がゼロなのかと聞けば、「相続のトラブルがおきないでしょ?」とおっしゃいます。ならば、元本をどんどん食いつぶしながら思いっきり高配当をだす毎月分配型ファンドなんて、おあつらえ向きですね。但し、ゼロにするピッタリのタイミングは、どうやったって測れませんけれども。

タグ:毎月分配型
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