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配当と成長 [投資スタイル]

私は常日頃、「株式の銘柄を選択する際には配当を重視するのがおススメ」と言っているのですが、先日「それでは企業の『成長』をとらえることができないのでは?」という質問をいただきました。

確かに配当利回りの高い銘柄は、利益は出ているけれど成長性はないと思われているから高い配当利回りでとどまっている、と考えられます。それが合理的な株価というものです。ですからご質問は尤もなことです。これに対する答えはいくつか考えられます。

まず一つは、現在の株式市場では「成長性はない」と評価されているけれど、その評価が間違っているかもしれない、ということ。市場がいつも正しいわけではない、と考えるのが、そもそもアクティブ運用の発想です。それが見つかれば「割安だ」ということになるわけです。成長性が十分あれば、配当も増えていくでしょう。そうなれば投資は大成功ですね。

ただ、成長性を予想するのは難しいものです。それでも、売上や利益だけを見て予想するよりは、配当をしっかり出している会社に絞った方が、良い投資になる確率は高いと思います。そのうえで利益率やROEが高いもの、過去からのトレンドが上向いているものなどを探します。

配当利回りに加えて利益率もROEも比較的高く、且つ業績が右肩上がりなんて、そんな都合のいい銘柄なんか見つからないと思われるかもしれませんが、少なくとも日本の株式市場には案外転がっています。理由は一つではないでしょうが、日本株の投資家が、配当を重視しないという過去の高度成長期の伝統を、未だに守っている(?)ということが大きいのではないかと思います。

高度成長期は、それが合理的だったのです。売上がどんどん伸びたので、配当を出すより事業に投資するべきでしたし、株主は配当がもらえなくても、株価の上昇で十分に報われました。今や時代はすっかり変わったというのに、株式投資に対する関心が高まらないために合理的な投資態度が浸透せず、惰性のまま配当軽視が続いているように見えます。

別の答えとしては、「成長性」をもっと広い意味で捉えて、あまり欲張るのはよしましょう、という考え方。欲張らなくても、配当がとりあえず減らなそうな会社であればOK。毎期利益を上げて配当を払い続けている会社であれば、投資は十分成功です。その場合、株主の持ち分である純資産は、成長し続けているはずですから。

最後に、配当利回りの低い会社でも、別に買って構わない、という当たり前の答え。本当に成長する会社は、上述した高度成長期の日本企業のようなもので、配当が低くても買うべきなのです。成長を逃したくなければ、本当に成長すると思う会社があるならば、株価が割安でなくてもいいのです。しかし、これも繰り返しますが、成長性を見極めるのは難しいということをお忘れなく。

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