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予想が難しいのは何と言ったって… [株式の個別銘柄]

私は自分がある程度、投資経験が豊富であると思っているわけです。だからこうしてこんなブログを書いているわけですね。

投資経験が豊富だと、そうでない人と何が違うのでしょうか。
銘柄選択が少しは得意かもしれません。でも、投資経験の長さと銘柄の当たり外れは、必ずしも連動していないように思います。ビギナーズラックのみならず、投資経験以外から出てくる優れた投資アイデアは、たくさんあると思うのです。

じゃ、投資経験は何の役に立っているのかといえば、予想が如何に当たらないものか、未来が如何に予測できないものか、ということが、身に沁みてわかっているということじゃないでしょうか。様々に予想を立てながらも、それがもしかしたら全然当たらないかもしれないと思って投資判断をしているのです。

そんな中でも、いつも予想が難しいことを実感するのは薬品株です。
薬品株というのはある意味シンプルで、新薬の開発が成功するかどうかにすべてかかっていると言っても過言ではありません。だから、成功しそうな新薬があるかどうかを調べることになります。開発中の薬にどんなものがあるか、開発はどのステージにあるのか、成功したら売上規模はどのくらいか、等々といったことです。

しかし、ここまでの調査分析はできても、開発の途中で、その薬が成功するかどうか予想することは難しいのではないでしょうか。開発の結果が出る前に分かることは、もし成功すればどのくらいの収益になるかということだけであって、どのくらいの確率で成功するかまでは、やっぱり分からない、そういう前提で投資する業種だと思います。

財務が健全で資金が豊富ならば、研究開発に注ぎ込める額が大きいということは分かりますが、それが積極的に投資する理由にはなりません。そして厄介なのは、薬の特許が切れること。現在財務的に潤沢ということは、まだ特許の切れていない商品が稼いでくれているということで、特許が切れてしまえばガラッと状況が変わるわけです。財務分析はもちろん重要ですが、新薬が開発できなければ何も起こらないということなのです。

尤も薬品といっても日用品に限りなく近い類の薬もありますから、すべての薬品メーカーが新薬依存ということでもないとは思います。商品構成によって、リスク・リターンの性格が大きく異なるのです。


ところで、私は第一三共という銘柄を持っていますが、これが2年ほど前から活発に動き始め、特に今年に入ってからは、急騰と言っていい上がり方をしています。どうやら研究開発の成果が出て、がん治療薬がものになりそうだという話。イギリスの大手、アストラゼネカとの提携のニュースで株価は大幅高しましたが、後になって見返してみると、2017年ころから予兆があったのかもしれません。

実はこの銘柄はかなり昔、所謂「累投」で買い貯めていた銘柄で、まだ「三共製薬」だった当時、若かった私の目には、全く非の打ちどころのない銘柄に見えました。「メバロチン」という大きな稼ぎ頭があって、とにかく儲かっている会社でした。後々鳴かず飛ばずになってしまうなんて、想像もできなかったのです。

しかしそれに続く期待の新薬候補が開発中止になるなどして、結局投資し始めてからの株価はたいして上昇することもなく、全くパッとしない銘柄になってしまいました。その後何度か株主総会にも出席し、インドへの投資がトラブった時には、もういつ売ってもいいと思いながらも、売らずに持ち続けていました。

積極的に保有していたというより、放置していたに近いというのが正直なところですが、結果論としてはそれでよかったということになります。仕事で運用しているのであれば、常に保有している理由を説明できなくてはなりませんから、適当なところで見切っていたのでしょうが、個人の資産は説明する必要がないので、売る理由がなければ売らないという判断でも全く構いません。いつ上がるか分からないけれど、そんなに下がりはしないだろうと思って保有している銘柄はいくつもあります。

会社のホームページには、研究開発の内容や新薬の薬効について、いくつもの説明資料が公開されています。眺めていると面白そうではありますが、私は薬学の素養もありませんし、こうした説明によって売買の判断はできないでしょう。それでも売らない選択をした理由が何かあっただろうかと思い返してみると、社長が中山氏に替わった時、その時はインドでの事業で大きな損が出ていましたが、新しい社長のもとで良い方に向かうのではないかと、確たる根拠もなく思ったことを思い出しました。そんな程度です。長く持っているとそれだけでも親近感が湧くものです。

保有していた期間の長さを思うと、ちょっと急騰したからと言って、大したパフォーマンスでもありませんが、新薬が軌道に乗りつつあるというからには、これからは実際に上市されるのを楽しみに待つばかりです。目出度しめでたし。

→ 2014年の株主総会
→ 2011年の株主総会
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