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楽天…大きくなっているのに成長してない? [株式の個別銘柄]

年末のブログ記事の中で、思ったほどパフォーマンスの上がらなかった銘柄の例として楽天を挙げました。どこが悪いのか、今日はもう少しよく考えてみようというわけです。

楽天の株を買ったのはいつだったでしょうか。リーマンショックより前、初めて株主総会に出たときに楽天イーグルスのグッズをもらった覚えがあるので、そこから推定すると2005~06年頃でしょうか。

2020年12月期の売上収益が1兆4555億円、企業の公式サイトで見ることのできる資料が2006年からなので、その年の売上高を見ると2032億円ですから、7倍ほどになっています。2019年度のコーポレートレポートには、グローバル流通総額が19兆円、と出ています。それに当たるものを比べれば、同じ期間にこちらは10倍では効かないように見えます。20倍くらいでしょうか。

それだけ会社が大きくなっていて、株価が倍にもならないって、どういうことなんでしょう。その後の最安値で投資していたとしても、株価はせいぜい3倍です。そしてこの間、ちょうど3倍ぐらいになっているのが、純資産額です。株式というものは純資産に値段をつけて売買するわけですが、業容がどんどん拡大し、純資産当たりの売り上げが大きくなっても、それに対する評価は上がらなかった、という事になります。

足元は、モバイル通信の設備投資が嵩んで大きな赤字が計上され、純資産額が減少しました。今は携帯電話で大手の一角に入り込み、「楽天経済圏」をさらに拡大しようということのようですから、単年度の赤字に目くじらを立てるつもりはありません。しかしこれまでの「楽天経済圏」の拡大で、何かいいことがあったんだろうか、と改めて考え込んでしまいます。

私がここに投資した時は、ドットコムバブルの熱もとうに冷め、株価も業績もすでにパッとしなかったはずです。私は、インターネットを介した消費は確実に増える、そして楽天は日本のネット小売りで圧倒的なシェア1位だ、というシンプルな理由で買いを判断しました。そしてその通り、ネット通販のマーケットは順調に拡大してきました。

常識的に考えれば、楽天は非常に有利な条件のもとにあったと思うのです。確かに業容は大きく伸びました。しかし振り返ってみると、多くの買収や新規事業を手掛けているにもかかわらず、成功している、上手く行っている、という印象が全然ありません。そうこうするうちに、圧倒的だったはずの国内の小売市場は、Amazonのような強力なライバルが跋扈する場となりました。その間、楽天はいったい何をやっていたんでしょう。

楽天という会社は、例えて言うならば、基礎体力のトレーニングを怠ったまま、難度の高い技に挑戦し続けるスポーツ選手みたいなものではないでしょうか。基礎体力というのは小売りです。ネット通販です。誰よりも早く進出し、圧倒的なシェアを築き上げた事業です。しかしその小売りで、サービスの質の向上に目を向けることはなかったように思います。

楽天の小売りのサイト、ってやっぱり使いにくいと思いませんか? 以前は強力なライバルもなく、何かネットでほしいものを探せば、意図的に選ばなくても、売っている店が楽天のモール上にあり、結果的に楽天を通して買い物している、という状態が普通にありました。今はAmazonがすっかり浸透していますし、使いやすい通販サイトはどんどん増え、今後も競争は激しくなっていくと思います。圧倒的に強かったのに、もったいないことです。

「楽天経済圏」には小売り以外にも、金融・通信など消費者ビジネスが数多くあります。通販も金融も電話も同じ「消費者」が相手です。ネット通販でがっちり顧客を掴んでいることが、その他のビジネスの成功の底力になるはずだと思うのですが、どうも「楽天ファン」という消費者って、イメージが湧きません。スポーツチームを買ったりもして消費者にアピールしているのに、それがビジネスに結びついている感じがしないのは、「基礎体力」の強化を疎かにしているからじゃないんでしょうか。

金融サービスの質は大丈夫なんでしょうか。今後勝負する携帯電話サービスも心配になります。どちらも自分で利用して試してみればいいのでしょうが、正直言ってそこまで熱意の湧かない状態です。何せこれだけ時間がかかって、たいして株価の上がらない企業ですから。

タグ:楽天
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