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大株主、日本銀行 [市場と経済]

ご存知の人は多いでしょうけれど、日銀は今、日本株の大株主です。日本株保有で世界一、とどこかに書いてあったので、GPIF(公的年金の積立金を運用している)よりも多いの?と思ってホームページを見たら、昨年末でGPIFの保有する日本株は45兆円となっています。日銀の保有残高は公表されているわけではありませんので正確には分かりませんが、新聞記事などによれば、まあだいたい同じくらいと言っていい範囲でしょう。東証の時価総額に対して6~7%ということになります。

この状態が健全かと言われれば、そうは言い難いのでしょうけれど、仕方ないのかな、という気にもなるのが正直なところです。日本にはお金はあるはずなのに、株式に回る金額が多分足りていないのです。民間の金融資産が、現金のような低リスクのものに極端に偏っているのでしょう。そのバランスを埋めるために日銀が保有することになってしまった、そんな風に私には見えるのです。

日本はそもそも需要不足の国で、普段から経済が公的な消費に支えられています。毎年新たに国債を発行して国民の代わりに消費する、ということを長年続けているのです。新規国債発行額は、目先はコロナ禍の影響で急増するでしょうが、過去10年ぐらい振り返ると毎年30~40兆円。名目GDPは500~560兆円ですから、これまた6~7%近辺ということになりますね。必然ではないけれど、偶然とも思えない数字です。毎年の経済活動の6%を支えている経済主体が、上場株式の6%を保有している、と考えると、何だか妙に自然に思えてしまいます。

ところで、日銀が日本株のETFを購入するのに使った金額、つまり元本は約35兆円だそうです。新聞報道が正しければ、10兆円内外の評価益があるということになります。日銀の財政状態が良くなるのはもちろん喜ばしいことですが、その35兆円は、本来であれば私たち一般の国民が投資しているべき35兆円ではないのでしょうか。もちろんこの議論は「日銀が株を買うなんて本来健全なことではない」という見方を前提としているわけですが、もしそうであれば、今日銀のお財布にある10兆円の利益(評価益)は、我々国民が儲けそこなった10兆円、というわけです。

よく新聞雑誌テレビの類いは、年金基金などで運用している資産に評価損が出ると、国民のお金を無駄にしているかのように騒ぎ立てるわけですが、日銀が10兆円儲けていることに対して、少しは悔しがったらどうでしょうか。どうせ文句を言うなら、「なんでもっと国民に株を買うよう勧めなかったのだ、そのせいで10兆円も儲けそこなったじゃないか」と言って騒ぎ立てていただきたいですね。私の経験から言うならば、本当に悔しいのは、買ったものが下がることよりも、買えたはずのものを買いそびれることなのです。長い目で見れば、その方が遥かに金額が大きいものです。

タグ:日銀 ETF
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