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リクルートの株主総会 ~求人から見る世界景気は? [株主総会]

月曜日、26日は、リクルートホールディングの総会にリアル参加。

リクルートという会社は、私が社会に出たころは目立って元気な会社の一つで、当時から有名な女性取締役がいらっしゃいましたし、私も就職活動でその方のお話、伺いました。しかしその後は大きなスキャンダルもあり、バブル崩壊もありですっかり視界から消えていたところ、気が付いたらグローバルに展開する上場企業になっていた、というわけです。今や売り上げの6割が海外で、取締役も8人中お二人が外国籍、プレゼン資料にも英語が多用されています。

春先までは絶好調で来たけれど、アメリカで銀行の破綻が起きたあたりから、求人の市場は急速に冷えてきて、今期は減収減益です。ただ、会社予想の数字は発表されていません。質疑応答で、その点に不満を表明した株主がいました。なぜこの時期になっても業績予想が出せないのか、と。

それに対する回答を聞いていると、マーケットの状況が相当悪いらしいということが感じ取れます。アメリカでは今、リーマンショックの時の倍のペースで求人が減っているのだとか。山が高かっただけに落ち方も激しいということですね。そのゆくえが読めないというのは、現状に基づいて素直に予測してしまうとあまりにひどい数字になるので、本当にこんなに弱気でいいんだろうか、という迷いを表していると私は理解しました。世界景気の先行き、要注意です。

私も一つ質問しました。Indeedの求人に闇バイトが混じっていたという事件が報道されていましたが、つまりIndeedに載っているアルバイト先に行って、言われるとおりにやったら警察に捕まっちゃった、ということですよね? Indeedに載る求人の、いわばクオリティーの問題です。クオリティーコントロールはどうなっているんですか、と。

月間3億人が利用するサイトには、膨大な数の求人が寄せられ、その審査の過程で毎月数千万件の求人が省かれているそうです。その審査をもってしても、虚偽の情報を検知するのは困難だということ。ユーザーからの通報制度を設けたりもしているそうですが、とにかく十分な問題意識を持ってやっていただきたいですね。回答したのは、若い女性の取締役。落ち着いた話しぶりで、好感が持てました。

変わったところでは、「仲間を動かすコミュニケーションのあり方」という質問。CEOがテレビ番組でそんな話をしたらしいのです。新しいことを始めるために、どうすれば周りがついて来るのかアドバイスがほしいというわけです。株主の質問というよりは、お悩み相談ですね。回答は長くなるので省略しますが、こんな質問も、如何にもリクルートらしくていいんじゃないでしょうか。

収益をIndeedに頼り過ぎではないかという質問もありました。CEOの回答は、ひと言で言えば「それでいいのだ」ということ。この事業にこそ、リクルートの強みがあるのです。求人のマーケットは本当に大きくて、世界でまだまだ成長できるのだから、求人で世界のナンバーワンになることこそ正しいと考えている、というお答えでした。その回答に、3人分くらいパラパラと拍手が起きましたので、私も参加しました。

人材を扱うビジネスは、国内でもまだこれから面白いと思いますし、国境を越えて展開することにも、可能性を感じます。足元の業績はかなり厳しいのかもしれませんが、景気の波は仕方のないことですから。

終了後に、新任取締役のごあいさつ。外国籍の女性、ダイバーシティーのポイント高いですね。この方もけっこうお若い。すごく早口の英語で話し出したと思ったら、その後にきれいな日本語バージョンが続きました。

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ダイフクの総会  さくさく進んで35分で終了 [株主総会]

水曜・木曜と所要のため、総会への出席はお休み。
金曜日はオンラインでダイフクの総会を視聴しました。この日は心惹かれる総会がほかにいくつかありましたが、これまで書いたことのない総会をチョイス。

ダイフクもこの10年でものすごく株価の上昇した銘柄です。アベノミクス直前は130円くらいだったものが、今は3千円近辺ですから。私は実は、低迷していた頃のことはあまり覚えていません。気が付いたら誰もが知る成長株になっていたというわけで、投資したのも比較的近年。ピークからかなり下がってはいても、それほど株価が安いわけではありません。

結論から言うと、事業環境はまだ当分良さそう。ここ何年か、物流倉庫への設備投資が話題になっていましたが、半導体にしても、自動車にしても、設備投資はまだまだ必要でしょう。運ばれている最先端の製品たちは、技術の進化で競争条件がガラッと変わったり業界地図が激変したりすることもあるでしょうが、それを搬送している機械はどうでしょう。当然高い技術は必要とされながらも、新たなライバルに急に入れ替わるとは想像しにくいんじゃないでしょうか。

株主からの質問に、自動車がEVになることでどんな影響があるのか、というものがありました。現在自動車向けは好調なのだという回答。今後のEVの生産に対応すべく、設備投資意欲は旺盛なようです。エンジンがバッテリーになると重量が増して、これまで吊り下げていた搬送方式を、ガラッと変えなくてはならないんだそうです。車体がそんなに変わるわけでもないでしょうから、既存の工場の一部をEV対応にすることが多いのでしょう。

人材確保については、今のところ採用ができなくて困るということは無いようですが、女性についてはなかなか大変とのこと。機械系の技術者となると、そもそも数が少ないわけです。現在社員の女性比率は14~15%、外国人比率も同じくらい。今年はインドから女性を2人採用したんだそうです。

総会は非常にてきぱきと、気持ちよく進みました。始まる時に「事前配布の動画をご覧いただいたと思いますが…」と切り出されて、あ、予習が必要だったんだなと。ですから事業報告も要点だけ簡略に済ませ、今後の課題を3つにまとめ、株主質問が始まるまでにかかったのは約15分。業績が好調だからということも間違いなくあるんですが、質問の受け答えも淀みなく、整理されています。

閉会は10時35分。短時間で終了です。その後新任の取締役の紹介。一人ずつマイクの前に呼ばれて、何か話をするのかと思ったけれど、「よろしくお願いします」だけでした。ちょっと拍子抜け。でもこれがふつうですね。

終わってから、事業報告の動画、ちゃんと視聴しました。

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3年連続ソニーの総会、今年は久々のリアル [株主総会]


火曜日、ソニーの株主総会は、コロナ後初めて出席するリアル総会でした。

30分以上余裕をもって会場に着いて中に入ると、一列目のど真ん中に20~30人、間を空けずに座っているのは、社員株主でしょうか。今どき総会対策というものがあるのかどうか分かりませんが、白髪頭が一人もいない集団が一言も発せずにじーっと座っているのは、やはり少々不自然です。

私もせっかくですからできるだけ前のほうに着席しました。最前列、係員の隣の席には白杖を持った出席者が1人。ひな壇の下には要約筆記画面が置かれていて、聴力障碍者であれば、その画面の前の席に座るのでしょう。バリアフリーな株主総会への努力。

かつては一部屋に収まらないほどの出席者が集ったことを思えば、会場は寂しいとも言える出席数です。後のQ&Aで、会場に来てみて参加者が少なくて驚いた、と発言した株主もありました。配信で視聴する株主が増えたからだろうとは、誰でも思いつく要因ですが、それだけではないのかもしれません。技術の最先端にいる、という高揚感はあまり感じられません。今は昔、でしょうか。

業績は、金融部門がノイズを発して凸凹していますが、右肩上がりと言って良いでしょう。為替の影響もプラスですから実態以上によく見えるということはあるにしても、株価は円建てなんだし、素直にポジティブと受け取っておきましょう。株主から、称賛と応援の発言もありました。是非言いたい、と言って発言してくれる株主はありがたいものですね。

金融部門はスピンオフを考えている、という説明がありました。独自の資金調達力をつけてほしいからと。他の部門とは異質ですから、そのこと自体に異論はありません。それにしても、親子上場が悪いと言ったり良いと言ったり、ファッションの流行みたいなものなんでしょうか。

ソニーが目指すのは「クリエーターに選ばれる会社」。イメージ動画には色んな表現が出てきますけれど、これが一番分かりやすい、というか、私にはピンときます。数年前に元気が出て来てからのソニーは、この路線で変わっていません。ただ昨年との違い、気になったのは「ソニーホンダ・モビリティー」の話題が影を潜めたこと。事業報告でほとんど言及が無かったので、誰も質問しなければ私がしようかな、と思ったら、割とすぐに出ました。2025年から先行受注。数を追わず、高付加価値モデルと高付加価値サービスの提供を目指す方針だそうです。

株主の質問では、当然のようにAIに関するものや株主還元について、またアフリカでの事業活動なんてちょっと変わった話題などありまして、最後の質問は、元社員という女性から、社外取締役からコミットメントなど話を聞きたい、という要望でした。それはいいね、と思って聞いていたら、議長が指名したのは、これまで取締役会議長を務め、今回退任する社外役員だったのですね。「コミットメントを聞きたい」と要望されているのに、退任する人を指名してどうすんのよ、と思ったのでした。

こういうところに、今のソニー経営陣の性格が現れているような気もします。この指名は、「自分と気心の知れた人物ならば安心だ、よく知りもしない社外役員など、何を言うか分からないからやめておこう」という心の声が聞こえるようです。リスクを抑えるのはもちろん大切なことです。かつてはクリエイティビティ―に走り過ぎて、お金を稼ぐことを忘れた組織。それを立て直したのは多分こうした、慎重で細かい計算ができて地味な仕事をする人たちだったのだと思います。それが、今ひとつ高揚感に欠けた株主総会となっている要因だとしても、非難すべきことではないのでしょう。


→ 2022年の株主総会
→ 2021年の株主総会
→ 2008年の株主総会
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シーズン1社目は第一三共・・・今年から招集通知の封筒が薄くなりました [株主総会]

今年から、株主総会に必要な資料の交付は電子的に行うだけでいいという規則になったので、送られてくる招集通知の封筒が薄くなっているものも多くなりました。それらの企業は、総会の議題だけに絞って送付している場合がほとんどですが、議題さえも含んでいない書面のケースもあります。もちろん、事業報告まで含んだ従来通りの書類を送って来る企業のほうが多いとは思います。これまでと違うことをやろうとすると、それなりのコストがかかりますからね。新ルールへの対応は、企業それぞれということです。

総会シーズンの1社目は今週月曜日の第一三共。当日は所用で、11時には出掛けなければいけなかったので、そのぎりぎりまで、オンラインで視聴しました。ですから最後までは聴けずに残念でしたが、それでもそんな隙間の時間に株主総会の様子が見られるのですから、オンライン化はやはりありがたいことです。ちなみにここの書面も、議題のみの薄い冊子です。

この銘柄は、過去10年で最もパフォーマンスの良かったものの一つです。ただ本格的に上がり始めたのはこの4年ほどで、それまでには苦節20年といったところ。新薬の開発は本当に大変です。過去の経緯については、2019年にブログ記事があります。

株価が示す通り、がん領域の製品は予想を超える出来のようで、中期計画が年度初めに上方修正されています。順調な時の株主総会は、むしろあまり面白い話が無いもので、第一三共もご多分に漏れず。ジェネリックの子会社を、調剤薬局のクオールに売るという話がありました。先月公表されてますね。事前質問で、譲渡金額の妥当性を問うものがありました。金額はともかく、ジェネリックの売却は合理的と思います。

Q&Aではその他、女性役員の登用であるとか、為替の影響とか、株主還元などがとり上げられました。特筆すべきこと無し。特定の薬についての質問もありましたが、門外漢の私には評価できません。

ちょっと面白かったのは、社長に「座右の銘を教えてください」という質問。奥沢社長はマハトマ・ガンジーを引用していました。インドに赴任していたとのことですから、あのランバクシー社に関わっていたのでしょうか。そういう質問で、考えるでもなくスラスラと答えが出てくるというのは、大企業の社長ともなると、そういう質問はよくあることなんでしょうかね。

「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」 マハトマ・ガンジー

 → 2021年の株主総会 



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不祥事続き。いい加減終わりにしてほしい三菱電機 [株主総会]

株主総会、シーズン最後は三菱電機です。長時間になるとは予想されていたはずですが、やはり3時間を越えました。

まずは謝罪して総会がスタート。事業報告も経営戦略も問題ありません。この会社のいいと思うところは過去のブログでお話していますが、それは今も変わらず良いと思うのです。しかし何年前からでしょうか、毎年のように労務関係の問題が指摘され、少しずつ企業価値を毀損してきています。それに情報セキュリティーの不祥事が加わり、さらに今年は「品質不適切行為」。何だか公序良俗違反みたいな表現ですが、品質検査でズルしてました、ということですね。

その後の調査で、そうした不正の事例がほとんどの事業所で行われていたと分かり、会社がすっかり不正を許す体質になってしまっていた、ということが明らかになりました。社長始め何人もの幹部の首がすげ替わりましたが、もういい加減、膿を出し切って終わりにしてくださいよ、というのが総会に出席しているすべての株主の声でしょう。

質疑応答では、ほぼすべての質問が、品質不正か労務問題に関することです。皆さん色んな角度で切り込んでいました。

まず、経営陣の認識が甘いという批判。もっと真剣に取り組む態度を見せるべきだ、という指摘。ご本人たちは頑張っているつもりでも、傍から見ればまだまだ足りないということなんです。「会社の風土を変える。ゼロから醸成する。」と最大限の表現を用いてはいても、「株主にはこの程度の説明でいいかな」という態度が透けて見えるというわけです。

厳しいようですけど、過去に労務問題をこれだけ繰り返してしまった上に今回の不祥事ですから、どんなに批判を浴びても仕方ありません。会社の風土を変えるなどというのは、それこそトップのリーダーシップにかかっているのですから、もっと前面に出てアピールしなければ物足りないと、私も感じます。事業報告書には「対処すべき課題」という項目がありますが、株主から見れば「不正や労務問題が起きないようにする」のが1丁目1番地のはずなのに、一番後ろに書かれているのを見ると、また来年の総会もこの話題?なんてチラッと思ったりするわけです。

人事が悪い、こうしたほうがいい、と人事の提案をする質問パターンも見られました。技術者の採用が間違ってるとか、派遣が多すぎるとか、取締役会の構成はこうしたらどうかとか。もちろん女性の人事に関しても、目標が低すぎるんじゃないか、という批判など。過去には家電製品の企画に女性チームの声が活きてます、というような話がありましたが、周りが皆「女性活躍」で競い始めた今となっては、周回遅れになっているかもしれません。

社内の隠蔽体質は多様性の欠如から生じる、ということはあるでしょうから、社内の風土改革を断行するというならば、女性の採用・昇進に熱心であるかどうかは、大いに関連するポイントです。終身雇用制が活きている間は、普通にしていては女性管理職の比率はたいして上がらないでしょう。そう考えると、三菱電機は無策に近いと思われても仕方がないくらい、この方面は目立ちません。取締役も12人中、女性は社外で1人だけ。執行役にはゼロ。

その社外取締役の小出寛子さんの意見を聴きたいという質問もあって、声を聴くことができました。ご本人はしっかりやってくださるのでしょうが、会社としてはもっと何か形にしないと、物足りなく見えます。社内風土改革で忙しいから女性活躍まで考える余裕がない、なんて思っていないことを願いたいですね。

批判だけではなくて、応援団の発言も。祖父が職工で三菱電機に入り、後に協力会社を興して、94で亡くなるまで会社に尽くしました、というスピーチは印象に残りました。若い女性の声でしたけれど、会社を継いでいらっしゃるのでしょう。まずは膿を出し切ってほしい、改革には協力会社も参加させてほしい、という内容。こういう株主総会ならではという発言、好きです。

終盤になって、芝居がかった質問者が現れて、我々はオーナーである、ご主人様である、分かったな、という口調で話し始めたので、ホントに芸人さんが来ているのかと思いました。取締役を呼び捨てにしたり、命令口調で質問したり、目立ちたくてやるのでしょうけど、あまり気分良くはありませんね。何かと話を引き延ばそうとはしているようでしたが、すでに語り尽くされた感じもあって、それほど長くは続かず、ほどなく議案の採決、総会は終了となりました。

→ 2020年の株主総会
→ 2018年の株主総会
三菱電機の思い出話



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去年に続き今年も参加 ソニーの総会 [株主総会]

6月28日は去年に続き、ソニーの株主総会を視聴。如何にもSONYらしい「感動とクリエイティビティ―」というキーワードに、去年は「モビリティー」が加わっていましたが、今年は「安全・健康・安心」。何が出て来るのかと思いましたが、金融部門とメディカル部門をこの一言で集約しているんでしょうか? もちろん重要なテーマには違いありませんが・・・。

プレゼンテーションで強調していたのは「クリエーター」。ゲームと音楽と映画で売り上げの半分以上をあげている今、才能あるクリエーターを惹きつけ続けることは、ユーザーに近づくことと並んで重要。カメラのように、ユーザーが同時にクリエーターであることもある。クリエーターにアピールするテクノロジーでなくてはいけない、というわけです。

金融部門は完全子会社化を果たして、売上構成比は15%と、それなりに存在感があります。ただ、ソニーグループとして何を担っているのか、今ひとつピンときません。コンシューマーに繋がる、と言いう意味では確かに金融はカナメとも言えますから、そのうち活きてくると期待しましょう。プレゼンテーションでちらっと聞こえた「(金融は)ニーズ・クリエーターだ」という表現は、こじつけ気味でちょっと苦しいですね。

モビリティーに関しては、去年よりイメージが具体的になっていたように思います。世界中に走る車の1台1台が、エンタメ空間を備えたケータイ端末になるのだと思えばいい、それらすべてがサービスの対象だ、と。そしてHondaとの提携です。6月半ばに合弁契約を結んだんですね。2025年を目標に、EVの販売とモビリティー向けサービスの提供を行う、ということで、大きく一歩踏み込んだ印象です。

一昔前であれば、ソニーとホンダが提携だなんて、ワクワク感でいっぱい!という取り合わせでした。今はどうでしょうか。ソニーはそれなりに元気を取り戻して見えますが、ホンダは少し心配です。いや、かなり心配かも。自動車業界でどういった位置を占めるのか、なかなか見えてこない中、ソニーとの提携も、将来像は描き切れているんでしょうか。

・・・などと心配していると、Q&Aの最後にこんな質問が出ました。
「車にとっての安全性は、ゲームなどとは全然違う。リコールも訴訟もあるだろう。そうした事態で、このプロジェクトはどこがどのように責任を引き受けるのか」。これにたいしては、「責任を取るのは合弁会社です」と当たり前の回答。そして安全への覚悟は当然必要だと付け加えた。そうか、安全・安心がここで出てくるわけだ。医療機器を扱っているから安全と無縁ではない、という言及は、やはりこじつけ気味のような気がします。「安全」の質が違うと思うので。

この質問には続きがあって、質問者は同じ内容を、ホンダの株主総会でも質問したそうです。その時は、「難しい質問なので答えられない」という回答だったというのを聞いて、心配の度合いが増しました。合弁と言ったって、自動車なんだからホンダがしっかりしてくれないと・・・。

ところでソニーの株主総会では、当日オンラインでの視聴者からも、質問を受け付けていました。総会のライブ配信を行う企業で「出席型」を行っている少数のケースでは、オンラインによる出席者も、会場での参加者とほぼ同じ扱いで、チャット機能を用いてリアルタイムで質問することができます。しかし他のほとんどの企業では、総会を「見るだけ」で出席とは見做されない「参加型」です。そうなると、通常1週間ほど前までに「事前質問」として送らなければなりません。ソニーの場合は、当日の開会30分前から開始後15分まで、チャット機能で質問を送ることができるというルールです。報告を聴いてから質問するわけではないので、一種の事前質問にはなりますが、質問のし易さは、格段にレベルアップしていると思います。好印象。

ソニーのドローンについて語った株主もいらっしゃいました。見本市で見て「勝負できる商品だ!」と思ったのだそうです。社長のほうは、より良い映像を作りたいという思いでやっている商品です、とドローン自体にそれほど熱が入っているようには見えませんでしたが、これも「クリエーター」のための品揃えということでしょうか。ドローンの質問者は、「配当よりも、有望な製品にどんどん投資してほしい」と発言していました。「配当をもっと出せ」という質問が出る総会より、ずっと気分がいいですね。


→ 2021年の株主総会
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伊藤忠、絶好調で笑いが止まらない事業報告 [株主総会]

ついこの間、連続20期増配はえらい!とKDDIを褒めたばかりだったのに、昨日の通信障害騒ぎ、通信会社に付き物のトラブルとはいえ、嫌になっちゃいますね。

さて、伊藤忠商事の株主総会は24日の金曜日、この日もかなり集中してました。今年からはオンライン配信も始まって、やっと見られるようになりました。最初に言っておきますと、投資対象としてこの会社は大変パフォーマンスが良いのですが、株主総会についてはあまり良い印象がありません。大阪の会社ですから一度も出席したことはないのですが、コロナ禍1年目の2020年、株主総会は取締役だけでやりますから来ないでください、と書いて送ってきたのを見て以来、そんなイメージがこびりつきました。(→2020年6月19日)

それでも今年はオンラインとはいえ初めての参加、楽しみではあったのです。が、始まってしばらくは、何度も通信トラブルが発生して画面がフリーズ。普通ならば、慣れてないんだろうから仕方ないね、と寛容に受け流すところですが、そもそも良くない印象があったせいで、「またか」という気分になってしまいました。

業績も株価も絶好調の伊藤忠、もう笑いが止まりません、という感じの事業報告です。昨年度は資源高も加わり、純利益は目標値を次々と突破して史上最高。資源に強いライバル2社には及ばなかったものの、非資源部門の利益ならば圧倒的にトップです。株価も史上最高更新が続き、時価総額は30年で10倍、今や東証で上から18番目とか。連続増配も今回で7期目、自己株取得も実施して、株主還元も言うこと無し。IRの評価も高いし、色々なメディアで就職人気No1。ESGの取り組みも、海外の評価機関からトップランクやアワードをもらってます、と、とにかく好成績の列挙が続きました。

ESGに関してはとかく漠然としたプレゼンテーションをする企業も多い中、車載電池のリユース・リサイクル事業、天然ゴム事業での貧困対策や森林保護など、イメージしやすい具体例を挙げていたのは良いですね。村木厚子さんを委員長に「女性活躍推進委員会」を設けていて、プレゼン資料にも、女性取締役は大写しで登場しています。

実効性があるかどうかはまた別なんでしょうが、形にすることも大事です。取締役会直属の諮問機関ということは、指名・報酬委員会などと並んで「女性活躍」に重きを置いている、という意思表示のはず。確かに、大企業の人事はこのくらいやらないとダメなんじゃないかという気もします。女性の役職3割増という目標が高いのか低いのかは、現在地が分からないと何とも言えませんが、2013年に、子育てしやすい「朝型勤務」というのを取り入れてから女性社員の出生率が上がった、ということをちらっとおっしゃいました。この件、もう少し詳しく聴きたいものです。

業績が絶好調で、増配まだまだ続けます!と気勢を上げて事業報告を終わったわけですが、質疑応答に移り、「累進配当とおっしゃいますが、常に増益とは限らない、何を根拠にそう言えるのか、そんなに増配にこだわる必要はあるのか」という質問。担当の取締役からの回答は、ちょっとタジタジに見えました。どんな時も株主還元を重視してます、とまとめましたが、議長が苦笑いしているのが映りました。こういう正論な質問は予想していなかったということでしょうか。個人株主は増配だとさえ言っておけば文句は言わない、と思っていたのかもしれません。

香港子会社上場廃止の件とか、ファミリーマートの人事の件とか、具体的な質問もありましたが、伊藤忠応援団のような発言も。現会長が「やり残したことが無いと思えるまで続けるから応援してください」と言うと、拍手が起こっていました。しかし、最後に指名された質問者、画面には映りませんが、話しているのを聞く限り高齢の、上品そうな女性です。伊藤忠に頑張ってほしい、とファン宣言してから、きっと具体的に腹に据えかねたことがあったのでしょう、昨今は三方良しの精神が薄れてしまって、社員が役人のようになってしまって、大阪の住民として本当に心配している、…と苦言を呈しました。

こういう質問は、大阪の会社だから頑張ってほしいという、率直な思いを感じます。私の感覚ならば、最高レベルの丁重さで答えてほしいところ。中身は無くとも、せめてご心配ありがとうございます、というぐらいは当然でしょう。ところが議長の対応たるや「はい、それでいいですか?」と言っただけで、ぞんざいもいいところです。個人投資家をバカにしているのか女性をバカにしているのかよくわかりませんが、両方に当てはまる私には、とても不快な対応でした。

念のために書いておきますが、株主総会が良いからと言って投資対象になるわけでもないし、良くないからと言って売る理由になるわけでもありません。健全な経営によって利益を上げていること、それが一番大事です。ただ、個人投資家と対話する場で印象が悪いと、調子に乗ってて大丈夫?と、最後の質問者と同じような気持ちになってしまうということです。

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無いぞ、知名度。SCSK [株主総会]

SCSK、という銘柄、ご存知ですか?・・・会社のウェブサイトを検索してみると、トップページが開いた瞬間、ズバリ「無いぞ、知名度。SCSK」という文字が現れ、続いて「あるぞ、情熱。」「あるぞ、実績。」などなど、「ある」ものがずらーっと出てくる、という、なかなか意表をついていて面白い趣向です。何しろ、最初のひと言が図星ですからね。でもCSKならば、もう少し知名度はあるでしょう。CSKが住商情報システムに吸収合併されてSCSKになった、という経緯です。

DX化で成長する企業はたくさんあると思いますが、あまりにも新しい分野だと、そもそも私自身よく理解できていないうえに、変化が早くて企業の浮き沈みも激しいでしょう。新しい会社への投資はエキサイティングですが、それこそハイリスク・ハイリターンですからね。幅広い顧客層があって、特徴は無いけど何でもやってます、というイメージの会社は安心かな、という選択。マーケットが伸びていますから、きちんと仕事をしてさえいればよいのです。

株主総会は1週間ほど前でしたが、ノートとりながら視聴していたにもかかわらず、全く思い出せません。(苦笑) はっきり覚えているのは、質問が1問で終わってしまったこと。だいたい株主総会はQ&Aが面白いんですけれどね。

質問の内容は、親会社住友商事との関係について。住友商事が50%以上保有しているので、いわゆる親子上場のケースです。昨今はガバナンスに対する意識が高まって、親子上場に対する目も厳しくなっています。親会社の利益を優先して、個人株主を含む少数株主が不利益を被る可能性がある、というのがその理由で、実際に親子上場は減ってきています。ソニーとか日立とか、上場子会社をスッキリと整理してしまった例はたくさんあります。NTTドコモも上場をやめてしまいましたね。

親子関係を解消するとかTOBがかかるとか、そういう可能性はないのかという質問ですが、親会社の決めることだから何とも言えない、というのが回答。少数株主の権利に精一杯配慮しています、ガバナンス委員会を設けて頑張ってます、ということですが、取締役はほとんど住友商事からいらしてますから、それほど説得力は無いというべきでしょう。

実は正確に言うと、質問は2問あったのです。たった一人の質問者は、受注残の数字も聞きたいけれど、1人1問だというならば、と前置きして、親子上場の件を質問したのです。私が議長ならば、質問が1件しか出なかった時点で、受注残の質問も受けますけどね。だって「1人1問」のルールは、短い時間にできるだけ多くの人に質問してもらうのが目的のはずです。質問数を減らすのが目的ではありません。多くの人が質問してくれないのに、制限する意味がありません。

この状態を何とも思わないで議案採決に移ってしまった、ということは、総会の進行に当たって、株主に対して不遜であるつもりが無いとすれば、思考が停止しているということなのでしょう。ルール自体が目的化して、何のためのルールか考えることをやめてしまうという、日本人に、特に役人化した人種には頻繁に見られるパターンです。

そんなわけで、難点はあれこれありましたが、だからこそ、DX関連できちんと数字が出ているにもかかわらず、お買い求めやすいお値段で投資できるということでもあります。考え方次第ですね。

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KDDIの株主総会 ~ 通信インフラはみな連続増配 [株主総会]

6月22日(水)、KDDIの株主総会を視聴。

電話会社は3社とも保有しています。通信インフラは保有していて当たり前、という感覚。今やどこの会社の話を聴いても、テーマはDX、リモートワーク、IOTです。経営の将来設計に、必ず「通信」はついて回ります。個人の生活も、多くの人がスマホどっぷり。そしてほとんどのユーザーが遅滞なくキャッシュで料金を払う。料金が下がったり、ユーザーを取り合ったり、まあ色々あるでしょうけど、細かい心配しないことにしてます。

増配が連続20期、立派ですね。配当性向は40%超の継続が目標。言うことありません。私は残念ながらそれほど長く保有しているわけではないけど、長期にわたる資産運用って、こういう銘柄をいくつ持てているかということが大事なんじゃないでしょうか。携帯電話というと、かつては市場が新しくて高成長ビジネスでした。株式市場も成長株の時代を覚えているものですから、ユーザー数の伸び無くなった電話株なんて魅力がないと言わんばかりの評価を与えているように見えます。

総会での事業報告は、全体に納得感がありました。マテリアリティの策定が重要だとか、人材重視だとか、カーボンニュートラルだとか、如何にもマニュアル通りって感じだな、と思ったことを除けば、良いプレゼンテーションでした。

Q&Aから抜粋。
ミャンマーでのビジネスはどうなっているのかという質問。質問者は、非民主的な国に対して無駄な投資はしないでほしいというニュアンスのように聞こえたが、KDDIは、ミャンマーの人々にとって必要なインフラは提供すべきだと回答。従業員の安全には十分配慮している、と言い添えた。

政治体制に対して関心を払っていないのか、敢えて触れないようにしているのか不明。国際世論を無視はできないが、今はウクライナで手いっぱいで、ミャンマーへの関心が薄れていることは否めない。何が正しい、と簡単に割り切れるようなことでもない。政治を語らなくて済むならそうしたい、ということなのでしょう。

テスラとの提携について、という質問。スペースXのことですね。イーロン・マスクの会社でしょうけれど、テスラと資本関係はあるんですか?…それはさておき、KDDIの回答は、宇宙通信には50年の歴史があるわけだから、スペースXのスターリンク事業に、これまでの経験と知見を活かせる、というもの。出資するには相手が大きすぎるので提携です。

以上。

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株主総会ライブ視聴、コマツからスタート [株主総会]

株主総会は、今シーズンもオンライン参加のみとなりそうです。総会で集客力のある企業は、今年も招集通知に「会場には来るな」という意味の一言を載せていますし、歓迎されないところへ出かけて行くのはやはり気が晴れないものです。それに、オンライン視聴はなんだかんだ言って楽ですからね。今週は毎日総会があるので、ぼやぼやしているうちに溜まって来てしまいました。総会メモ、アップしていきます。

21日火曜日は、小松製作所の総会を視聴。第2会場まで人が入っていたようですから、参加者多かったんでしょうか。

世界の景気が回復して売り上げは過去最高、トップエンドは寡占市場ですし、安定と成長がバランスした優良企業、景気敏感株の代表選手といったところです。中期的な戦略も、特筆すべきことはないにしても、不満はありません。資源高で、鉱山機械の好調も当面続きそう。ハードロック事業と言うんですね、銅とかニッケルとか、石炭以外の鉱石のこと。つい、ギュイーンとギターが頭の中で鳴り出しそうです。

中国の市場が急成長していた頃には、中国関連のようなイメージもあったけれど、手元の資料を見ると、売上の多くを占める建機・車両部門で、前期中国向けは3.8%だけ。かつてはどのくらいあったのでしょうね。同じ頁には各地域別に、建機・車両の売り上げの伸びが載っているのですけれど、中国向けが激減しているのを除けば、日本は目立って低いのが分かります。台数が伸びないのか、日本だけ価格が上がらないのか、その辺は分かりませんが、きっと両方でしょう。円安の影響もあるはずです。売上が過去最高というのも、ドル建てならば達成していないかも。

コマツは売り上げの9割近くを海外で上げる、非常にグローバルな会社です。経営のビジョンや計画には、長々と英語のタイトルやキャッチフレーズがついていて、日本語プレゼンテーションには収まりが悪いけれど、世界中の社員がシェアするのだから、英語になるのはむしろ自然です。そんな中、中期経営計画には「DANTOTSU Value」という名前がついているんですね。

これもグローバルに掲げているのでしょう。日本語のエキゾチックな感じと、発音しやすくて力強い響き。外国人には案外好評かもしれません。昔、私が初めて海外に出た時、自動車メーカーとしてNISSANがDATSUN と一般的に呼ばれていたのを思い出しました。ドイツだったのでダッツン、と。響きが似てます。私たちがカッコいいと思わなくても、世界ではかっこよく響いたりするものです。かつてNYの日本企業で働いた時も、私が格好悪いと思っていた漢字の社章を、現地の皆さんは喜んでシャツにプリントしていましたっけ。

Q&Aから抜粋。箇条書きで行きます。
 〈ロシア事業について〉 事業は主に建設・鉱山機械。2021年度売上全体の約7%がCIS諸国向け。現在生産はストップ、在庫ある物のみ販売。約1000名の従業員には給与を100%保証している。敵対的な企業の従業員が逮捕される可能性もあるので、判断は慎重にする必要がある。従業員の安全を重視。6/17からは輸出規制が強化されている。

 〈社外取締役に再任の3人には株式を保有してほしいという意見に対し〉 選任規準には含めていない。

この議論は、一般にはどう受け止められているのでしょうね。「社外」という役職が導入されたそもそもの経緯から言えば、株主の代表としての地位ですから、この意見は至極真っ当です。ただ日本では、株主の権利がないがしろにされた、という時代の記憶もないし、社外の役割は、他での就業経験がほとんどない取締役の知見を補完することが中心のようなところがあります。いつもはアメリカ崇拝気味の「専門家」の皆さんも、この点は関心ないようですね。

 〈キーコンポーネントが油圧から電動になると、外注の調達が増え、競争力が低下するのではないか〉 バッテリーセルを外から買うことになっても、モジュール化やマネジメントシステムを内製化する。パ-トナーと組みながらも、社内に技術の蓄積を図る。

電動化でポジションが悪化する、というのは、自動車業界の立たされている状況と同じですね。自動車メーカーを脅かすGAFAMのような存在が、建設機械の世界にもいるのでしょうか。いずれにしても、電動化は避けて通れません。

 〈中国向けが大幅に減っている件〉 現在中国の建機市場は85%が中国メーカー。2010年には7割が外資系であったが、国産化は国策であって如何ともしがたい。実際中国メーカーの技術も良くなって性能は遜色ない。キーコンポーネントの性能を強化して販売していく。但し余剰生産能力の削減など構造改革は必要で、先日合弁の中国企業を独資化した。今後はタイと同様、クロスソーシング拠点と位置付ける。

以上。

記録によると、私は5年前に1回、コマツの総会に出席しています。読んでみると、「7社兼任している社外取締役がいる」というくだりが出てきます。それってどうなのよ、という質問です。兼任が多い取締役には、議決権行使の際に私も×つけたりしますが、昨今あまりひどい例は見なくなりました。多くて4社ぐらいかな? 5年経つと、やはり世の中少しは変わってます。

→ 2017年の株主総会



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