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資産所得倍増と金融教育

今年最後の一日。年末の雑談です。

岸田政権が「資産所得倍増」だと言い出してから、金融教育へ注がれる関心の度合いも急激に膨らんでいるようです。金融教育にかかわる皆さんは、張り切っているんじゃないでしょうか。このブログを読んでくださる人が増えるとすれば、もちろん私も嬉しいわけです。

「金融教育」とひと口に言いますが、人によって、そのイメージするものは相当違っているかもしれません。対象は子どもなのか大人なのか。若者なのか中高年なのか。また対象が同じでも、家計の管理なのか、社会保障や税なのか、資産運用や投資なのか、内容は多岐にわたります。何が最も大切なのか、教える側にもいろいろな考え方がありますし、受け取る側の置かれている状況も様々です。

今注目を浴びているのは、当然のことながら「資産運用」の分野でしょう。資産所得を倍増するわけですからね。私が関わっているのもこの分野ですし、自分もまだまだやることがあると感じています。でも、運用する資産を確保できる人って、実際全体の何割ぐらいなのでしょう。

学校でも金融教育が取り入れられ、高校では資産運用についても教えるようになったと聞きます。歓迎すべきことではありますが、初めから運用できる資産があることを前提にしてはいないか、と少し心配でもあります。国として、行政として金融教育を語るならば、まずは運用までたどり着けるようにする、という面を重視してほしいと思うのです。

今の時代は、お金を借りることがとても身近で簡単になっているように見えます。特に若い世代では、借りているという実感がないまま借金している、という状態にある人は、結構いるのではないでしょうか。オンラインでさらに敷居が低くなっているような話も聞きます。こんな時こそ、稼ぐ以上に使ってはいけない、という一見当たり前のことを、しっかり教えなくてはいけないはずです。上の世代、特に金融教育に携わる人たち(自分もそうですが)にとっては当たり前すぎて、あまり強調されていないのではないでしょうか。

低金利が長く続いたこともあり、世の中にはお金を貸したくてたまらない金融業者はたくさんいるはずです。一旦借り始めてしまうと、なかなか解放してもらえないということもありそうです。あの手この手に引っかかって、いつまでも借金を返し続ける人生になってしまいます。いつかは金利も上がっていくでしょうから、深刻な状態になる人もいるでしょう。そうなれば資産運用どころではありません。

そのほかに私が学校などで具体的に教えてほしいと思うのは、簡単な金利の計算です。金融にかかわる私たちには信じられないくらい、金融に関心のない層の金利に対する理解度は低いように思います。小学校で百分率を習ったら、そこで金利の計算問題を入れてほしいものです。それができたら、複利についても教えてほしいと思います。お金を借りたら、如何に簡単にその額が膨らんでいくか理解できるように。

当たり前のように思っていることこそ大切です。資産運用も投資も重要ですが、何事も基本がしっかりなくてはなりません。高く積み上げるにはしっかりした土台が必要です。


さて、今年もお付き合いありがとうございました。マーケットはそれほど明るい気分でもありませんが、資産運用にはそのくらいの時のほうが良いかもしれません。皆さま、良いお年をお迎えください。

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川合玉堂「兎」 山種美術館
タグ:金融教育
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