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久々の為替介入 [市場と経済]

日本の通貨当局が、久しぶりの為替介入というニュース。色々な受け止め方があるのでしょうけれど、私には一種のお芝居を見ているような感覚で、当局も市場も真面目に効果を期待しているとは、どうしても思えません。外国為替市場の規模は、既にとうの昔に、介入が太刀打ちできるサイズを遥かに超えてしまっているのではありませんでしたっけ。効果が無くとも、「日本政府は現在の円は安すぎると思っている」という意思表示が必要ということなのでしょう。

前回大規模な為替介入があった11年前は、円売り介入だったのですが、その時は円の上昇がどうにも止まらない、金利もこんなに下げているのに、もうできることは為替介入しか残っていない、という状況だったと思います。当時の記録を見ますと、ユーロ危機や東日本大震災など、金融当局として対処しようのない出来事が円高の要因だったのですね。金利は既にスイスと並び世界で最も低い水準に引き下げられていましたから、もう効果が無くとも、とにかくやらねばならぬ、ということだったわけです。それは、これ以上円高にさせてはならないという、通貨当局の強い決意の表明として、それなりに見せ場のあるお芝居だったのではないでしょうか。

今回はと言えば、本当に円安が困るというならば、なぜそこまで低金利にこだわるのか、と誰が見ても言うことは決まっています。為替について、ちょっと前にこのブログに書きましたが、為替レートは短期的にはまず、金利差を反映して動きます。より高い金利を求めてお金は動きますから、金利が上がらない円から金利が上がるドルへ流れて行くのは原則通りです。日本の当局が円レートより低金利を選んだ結果、円安になっているのですから、今度のお芝居は見ているほうもシラケてしまいます。ウケるお芝居には筋の通った脚本が必要ですからね。

お芝居がウケるかどうかはともかく、介入の決断はやはりそう軽いものではありません。過去の介入の経緯を振り返ってみると、円が高すぎると言って売り、円が安すぎると言って買っているわけです。何だか、本来投資家のあるべき姿とそっくりですね。為替レートの場合は株式と違って、何が高くて何が安いのか、評価が難しいとは思います。しかしこれも先日のブログに書いた通り、長期的には物価上昇率の差を反映するのです。それをもとに算出された「購買力平価」に対して、高いとか安いとか判断することは可能です。

国際通貨研究所のサイトを見ますと、購買力平価は今、108.71だそうです。ですから、140円台の円というのは、かなり安く見えます。それでもまだ円が下がり続けるだろう、と考えるならば、その背景にあるのは
① 今後日本の物価が世界の平均以上に上昇して、購買力平価自体が円安方向に動く。
② そもそも購買力平価なんか信用できない。
のどちらかということになるでしょう。

私には、世界よりも急激な物価上昇が日本で起きる、ということはそんなに近いうちに起きるとは思えませんが、予想は予想に過ぎません。それから購買力平価について、私自身は一つの指標として十分価値があると思っていますが、別に私が計算しているわけではありませんからね。責任は持てません。

通貨が高くても安くても、私はよい会社に投資する、ということに専念したいと思っています。どこの国の会社でも、しっかり収益を上げられる会社ならばあまり気にすることはありません。

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