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親の資産を運用する話 [投資スタイル]

今日は少々私事を書きます。

11月にもう今年の総括みたいなことを書くのもなんですが、今年は色々なことがありました。両親が相次いで亡くなり、今はまだ相続の手続き中です。もう十分に高齢でしたし、母が先に逝きそうになるところを耐えて、父を待っていたらうっかり先を越されてしまったので慌てて追っかけた、というように見えました。最期のときまで仲睦まじく寄り添っていられて、娘の眼から見て、良かった、という思いが残りました。人間必ず最期が来るのですから、良かったと思える終わり方は大切です。

15年ほど前から両親の金融資産の面倒を見ていました。2つの証券会社に口座があり、どちらも「代理人契約」が必要だと言われたので、契約書を交わしました。その後運用に当たり、A社では私の指示で何でもすることができて、たいへん使い勝手の良い口座でした。ところがB社のほうは2年ぐらい経ったところで、契約更新だから本人たちに会わせろと言って来ました。親の居る老人ホームには行ってほしくなかったので、口座の中の売れるものは売ってしばらく放っておいたら代理人契約の期限が切れ、解約したいから口座の中身を知らせてほしいと頼んだら、もう代理人ではないので教えられないと言われました。では相続が発生するまで凍結しておいてくださいということに。高齢者の口座に対するサービスは、今どのあたりが標準なのでしょうね。

それはさておき、実際の運用です。一般に高齢者の資産運用は、リスク資産を少なく保有せよ、という原則があります。80歳なら8割を債券・2割を株式、などと言ったりもします。しかし日本という国には、適当な低リスク資産が無いというのが実情。債券を買おうと思っても、品ぞろえが十分あるとは言い難い状態です。そもそも超低金利ですから、国債などリスクの非常に低いものとなると、銀行預金よりはましという程度の金利になってしまいます。個人向け国債は悪い商品ではもちろんありませんが、余命が何年か分からないときに、ほとんど収益のない資産運用では心もとないでしょう。

急場をしのげる現金さえあれば、高齢者の資産運用であっても、株式等を中心とした運用でよい、というのが私の結論。日本の保険制度は素晴らしく親切で、高額な医療費が発生しても、なんだかんだと補助してくれます。急に多額の現金を用意しろとは言って来ません。(親切すぎて制度の将来が不安ですが。)ですから無理に債券を持つのではなく、株式ポートフォリオの中身を高齢者向けに調整すればよいと思いました。ここで敢えて「リスクを低く」という表現を使っていませんが、それは分散の度合いを落とすからです。

債券でも外債ならよいではないかというご意見もあると思います。しかし為替のリスクを負う以上、円建ての債券と同列に論じることもできません。高齢者の外貨投資については、以前このブログにも書いています。

まず配当重視の方針をさらに一歩進め、配当利回りの低いものは手放していきました。かつてのハイテク株など、成長に期待して買うタイプの銘柄は、たとえ成長性があると思っても、それがいつ実現するのかわからないので、高齢者には向きません。株価は上がればラッキー、というくらいの気持ちで、配当がしっかりもらえる、ということのみを重視した銘柄にそろえていきました。

業種は当然偏ります。通信株と商社株が多くなりました。通信というのは携帯電話。業績の上下はあっても、ほとんどのユーザーが毎月きちんと支払ってくれる、安定したビジネスです。株式市場では成長性がないと思われているようで、あまり人気がありませんでした。商社は総合商社。コングロマリット・ディスカウントとよく言われる現象で、株価が割安でした。(総合商社株についてはこんな記事→「投資の神様」の商社株投資

アメリカ株も買いました。P&GやJ&Jのような生活必需品の銘柄は本来ディフェンシブの王道で、安定志向の運用に適しています。ただその安定志向が日本では強すぎるのか、花王もライオンも配当利回りはあまり魅力的ではありませんでした。またアメリカの高配当業種、石油株も買いました。

GAFAMのような成長株は、一切買っていません。良いか悪いかの議論ではないのです。成長の勢いがある産業は、変化が起きるときは一気に起きます。振り返って買えばよかったのに、というのは簡単ですが、何らかの技術革新や経営判断のミスで、あっという間に消えてしまうこともあるのです。高齢者の生活を支えるための運用を、そんな状況にさらすことはできません。

実は一番増えたのはREIT(不動産投資信託)です。国内のJ-REITです。REITは株式のように内部留保しません。不動産から上がる賃料は原則すべて分配金として払い出します。その分資産価値の上昇は抑えられますが、収入が必要な高齢者には良い投資対象です。REITについては改めて書くことにしましょう。

こうしてふり返ってみると、配当利回りが高い=株価が安いと思って買った銘柄は、その後株価が上がって、今はそれほど高利回りにも見えなくなっていたりします。目的は配当収入を得ることでしたが、資産価格の面でもそれなりの成果が上がったということになります。また、私が長い間高いと思い続けていたアメリカ株の配当利回り、日本との差はかなり縮まっていることが分かります。先ほど見てみたところ、花王とP&Gの配当利回りがほぼ同じでした。他にもJTとフィリップモリスがほとんど同じだったり、キャタピラーよりずっとコマツが高かったり。常識が塗り替わりつつありますね。

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