SSブログ

不祥事続き。いい加減終わりにしてほしい三菱電機 [株主総会]

株主総会、シーズン最後は三菱電機です。長時間になるとは予想されていたはずですが、やはり3時間を越えました。

まずは謝罪して総会がスタート。事業報告も経営戦略も問題ありません。この会社のいいと思うところは過去のブログでお話していますが、それは今も変わらず良いと思うのです。しかし何年前からでしょうか、毎年のように労務関係の問題が指摘され、少しずつ企業価値を毀損してきています。それに情報セキュリティーの不祥事が加わり、さらに今年は「品質不適切行為」。何だか公序良俗違反みたいな表現ですが、品質検査でズルしてました、ということですね。

その後の調査で、そうした不正の事例がほとんどの事業所で行われていたと分かり、会社がすっかり不正を許す体質になってしまっていた、ということが明らかになりました。社長始め何人もの幹部の首がすげ替わりましたが、もういい加減、膿を出し切って終わりにしてくださいよ、というのが総会に出席しているすべての株主の声でしょう。

質疑応答では、ほぼすべての質問が、品質不正か労務問題に関することです。皆さん色んな角度で切り込んでいました。

まず、経営陣の認識が甘いという批判。もっと真剣に取り組む態度を見せるべきだ、という指摘。ご本人たちは頑張っているつもりでも、傍から見ればまだまだ足りないということなんです。「会社の風土を変える。ゼロから醸成する。」と最大限の表現を用いてはいても、「株主にはこの程度の説明でいいかな」という態度が透けて見えるというわけです。

厳しいようですけど、過去に労務問題をこれだけ繰り返してしまった上に今回の不祥事ですから、どんなに批判を浴びても仕方ありません。会社の風土を変えるなどというのは、それこそトップのリーダーシップにかかっているのですから、もっと前面に出てアピールしなければ物足りないと、私も感じます。事業報告書には「対処すべき課題」という項目がありますが、株主から見れば「不正や労務問題が起きないようにする」のが1丁目1番地のはずなのに、一番後ろに書かれているのを見ると、また来年の総会もこの話題?なんてチラッと思ったりするわけです。

人事が悪い、こうしたほうがいい、と人事の提案をする質問パターンも見られました。技術者の採用が間違ってるとか、派遣が多すぎるとか、取締役会の構成はこうしたらどうかとか。もちろん女性の人事に関しても、目標が低すぎるんじゃないか、という批判など。過去には家電製品の企画に女性チームの声が活きてます、というような話がありましたが、周りが皆「女性活躍」で競い始めた今となっては、周回遅れになっているかもしれません。

社内の隠蔽体質は多様性の欠如から生じる、ということはあるでしょうから、社内の風土改革を断行するというならば、女性の採用・昇進に熱心であるかどうかは、大いに関連するポイントです。終身雇用制が活きている間は、普通にしていては女性管理職の比率はたいして上がらないでしょう。そう考えると、三菱電機は無策に近いと思われても仕方がないくらい、この方面は目立ちません。取締役も12人中、女性は社外で1人だけ。執行役にはゼロ。

その社外取締役の小出寛子さんの意見を聴きたいという質問もあって、声を聴くことができました。ご本人はしっかりやってくださるのでしょうが、会社としてはもっと何か形にしないと、物足りなく見えます。社内風土改革で忙しいから女性活躍まで考える余裕がない、なんて思っていないことを願いたいですね。

批判だけではなくて、応援団の発言も。祖父が職工で三菱電機に入り、後に協力会社を興して、94で亡くなるまで会社に尽くしました、というスピーチは印象に残りました。若い女性の声でしたけれど、会社を継いでいらっしゃるのでしょう。まずは膿を出し切ってほしい、改革には協力会社も参加させてほしい、という内容。こういう株主総会ならではという発言、好きです。

終盤になって、芝居がかった質問者が現れて、我々はオーナーである、ご主人様である、分かったな、という口調で話し始めたので、ホントに芸人さんが来ているのかと思いました。取締役を呼び捨てにしたり、命令口調で質問したり、目立ちたくてやるのでしょうけど、あまり気分良くはありませんね。何かと話を引き延ばそうとはしているようでしたが、すでに語り尽くされた感じもあって、それほど長くは続かず、ほどなく議案の採決、総会は終了となりました。

→ 2020年の株主総会
→ 2018年の株主総会
三菱電機の思い出話



nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

去年に続き今年も参加 ソニーの総会 [株主総会]

6月28日は去年に続き、ソニーの株主総会を視聴。如何にもSONYらしい「感動とクリエイティビティ―」というキーワードに、去年は「モビリティー」が加わっていましたが、今年は「安全・健康・安心」。何が出て来るのかと思いましたが、金融部門とメディカル部門をこの一言で集約しているんでしょうか? もちろん重要なテーマには違いありませんが・・・。

プレゼンテーションで強調していたのは「クリエーター」。ゲームと音楽と映画で売り上げの半分以上をあげている今、才能あるクリエーターを惹きつけ続けることは、ユーザーに近づくことと並んで重要。カメラのように、ユーザーが同時にクリエーターであることもある。クリエーターにアピールするテクノロジーでなくてはいけない、というわけです。

金融部門は完全子会社化を果たして、売上構成比は15%と、それなりに存在感があります。ただ、ソニーグループとして何を担っているのか、今ひとつピンときません。コンシューマーに繋がる、と言いう意味では確かに金融はカナメとも言えますから、そのうち活きてくると期待しましょう。プレゼンテーションでちらっと聞こえた「(金融は)ニーズ・クリエーターだ」という表現は、こじつけ気味でちょっと苦しいですね。

モビリティーに関しては、去年よりイメージが具体的になっていたように思います。世界中に走る車の1台1台が、エンタメ空間を備えたケータイ端末になるのだと思えばいい、それらすべてがサービスの対象だ、と。そしてHondaとの提携です。6月半ばに合弁契約を結んだんですね。2025年を目標に、EVの販売とモビリティー向けサービスの提供を行う、ということで、大きく一歩踏み込んだ印象です。

一昔前であれば、ソニーとホンダが提携だなんて、ワクワク感でいっぱい!という取り合わせでした。今はどうでしょうか。ソニーはそれなりに元気を取り戻して見えますが、ホンダは少し心配です。いや、かなり心配かも。自動車業界でどういった位置を占めるのか、なかなか見えてこない中、ソニーとの提携も、将来像は描き切れているんでしょうか。

・・・などと心配していると、Q&Aの最後にこんな質問が出ました。
「車にとっての安全性は、ゲームなどとは全然違う。リコールも訴訟もあるだろう。そうした事態で、このプロジェクトはどこがどのように責任を引き受けるのか」。これにたいしては、「責任を取るのは合弁会社です」と当たり前の回答。そして安全への覚悟は当然必要だと付け加えた。そうか、安全・安心がここで出てくるわけだ。医療機器を扱っているから安全と無縁ではない、という言及は、やはりこじつけ気味のような気がします。「安全」の質が違うと思うので。

この質問には続きがあって、質問者は同じ内容を、ホンダの株主総会でも質問したそうです。その時は、「難しい質問なので答えられない」という回答だったというのを聞いて、心配の度合いが増しました。合弁と言ったって、自動車なんだからホンダがしっかりしてくれないと・・・。

ところでソニーの株主総会では、当日オンラインでの視聴者からも、質問を受け付けていました。総会のライブ配信を行う企業で「出席型」を行っている少数のケースでは、オンラインによる出席者も、会場での参加者とほぼ同じ扱いで、チャット機能を用いてリアルタイムで質問することができます。しかし他のほとんどの企業では、総会を「見るだけ」で出席とは見做されない「参加型」です。そうなると、通常1週間ほど前までに「事前質問」として送らなければなりません。ソニーの場合は、当日の開会30分前から開始後15分まで、チャット機能で質問を送ることができるというルールです。報告を聴いてから質問するわけではないので、一種の事前質問にはなりますが、質問のし易さは、格段にレベルアップしていると思います。好印象。

ソニーのドローンについて語った株主もいらっしゃいました。見本市で見て「勝負できる商品だ!」と思ったのだそうです。社長のほうは、より良い映像を作りたいという思いでやっている商品です、とドローン自体にそれほど熱が入っているようには見えませんでしたが、これも「クリエーター」のための品揃えということでしょうか。ドローンの質問者は、「配当よりも、有望な製品にどんどん投資してほしい」と発言していました。「配当をもっと出せ」という質問が出る総会より、ずっと気分がいいですね。


→ 2021年の株主総会
→ 2008年の株主総会
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

伊藤忠、絶好調で笑いが止まらない事業報告 [株主総会]

ついこの間、連続20期増配はえらい!とKDDIを褒めたばかりだったのに、昨日の通信障害騒ぎ、通信会社に付き物のトラブルとはいえ、嫌になっちゃいますね。

さて、伊藤忠商事の株主総会は24日の金曜日、この日もかなり集中してました。今年からはオンライン配信も始まって、やっと見られるようになりました。最初に言っておきますと、投資対象としてこの会社は大変パフォーマンスが良いのですが、株主総会についてはあまり良い印象がありません。大阪の会社ですから一度も出席したことはないのですが、コロナ禍1年目の2020年、株主総会は取締役だけでやりますから来ないでください、と書いて送ってきたのを見て以来、そんなイメージがこびりつきました。(→2020年6月19日)

それでも今年はオンラインとはいえ初めての参加、楽しみではあったのです。が、始まってしばらくは、何度も通信トラブルが発生して画面がフリーズ。普通ならば、慣れてないんだろうから仕方ないね、と寛容に受け流すところですが、そもそも良くない印象があったせいで、「またか」という気分になってしまいました。

業績も株価も絶好調の伊藤忠、もう笑いが止まりません、という感じの事業報告です。昨年度は資源高も加わり、純利益は目標値を次々と突破して史上最高。資源に強いライバル2社には及ばなかったものの、非資源部門の利益ならば圧倒的にトップです。株価も史上最高更新が続き、時価総額は30年で10倍、今や東証で上から18番目とか。連続増配も今回で7期目、自己株取得も実施して、株主還元も言うこと無し。IRの評価も高いし、色々なメディアで就職人気No1。ESGの取り組みも、海外の評価機関からトップランクやアワードをもらってます、と、とにかく好成績の列挙が続きました。

ESGに関してはとかく漠然としたプレゼンテーションをする企業も多い中、車載電池のリユース・リサイクル事業、天然ゴム事業での貧困対策や森林保護など、イメージしやすい具体例を挙げていたのは良いですね。村木厚子さんを委員長に「女性活躍推進委員会」を設けていて、プレゼン資料にも、女性取締役は大写しで登場しています。

実効性があるかどうかはまた別なんでしょうが、形にすることも大事です。取締役会直属の諮問機関ということは、指名・報酬委員会などと並んで「女性活躍」に重きを置いている、という意思表示のはず。確かに、大企業の人事はこのくらいやらないとダメなんじゃないかという気もします。女性の役職3割増という目標が高いのか低いのかは、現在地が分からないと何とも言えませんが、2013年に、子育てしやすい「朝型勤務」というのを取り入れてから女性社員の出生率が上がった、ということをちらっとおっしゃいました。この件、もう少し詳しく聴きたいものです。

業績が絶好調で、増配まだまだ続けます!と気勢を上げて事業報告を終わったわけですが、質疑応答に移り、「累進配当とおっしゃいますが、常に増益とは限らない、何を根拠にそう言えるのか、そんなに増配にこだわる必要はあるのか」という質問。担当の取締役からの回答は、ちょっとタジタジに見えました。どんな時も株主還元を重視してます、とまとめましたが、議長が苦笑いしているのが映りました。こういう正論な質問は予想していなかったということでしょうか。個人株主は増配だとさえ言っておけば文句は言わない、と思っていたのかもしれません。

香港子会社上場廃止の件とか、ファミリーマートの人事の件とか、具体的な質問もありましたが、伊藤忠応援団のような発言も。現会長が「やり残したことが無いと思えるまで続けるから応援してください」と言うと、拍手が起こっていました。しかし、最後に指名された質問者、画面には映りませんが、話しているのを聞く限り高齢の、上品そうな女性です。伊藤忠に頑張ってほしい、とファン宣言してから、きっと具体的に腹に据えかねたことがあったのでしょう、昨今は三方良しの精神が薄れてしまって、社員が役人のようになってしまって、大阪の住民として本当に心配している、…と苦言を呈しました。

こういう質問は、大阪の会社だから頑張ってほしいという、率直な思いを感じます。私の感覚ならば、最高レベルの丁重さで答えてほしいところ。中身は無くとも、せめてご心配ありがとうございます、というぐらいは当然でしょう。ところが議長の対応たるや「はい、それでいいですか?」と言っただけで、ぞんざいもいいところです。個人投資家をバカにしているのか女性をバカにしているのかよくわかりませんが、両方に当てはまる私には、とても不快な対応でした。

念のために書いておきますが、株主総会が良いからと言って投資対象になるわけでもないし、良くないからと言って売る理由になるわけでもありません。健全な経営によって利益を上げていること、それが一番大事です。ただ、個人投資家と対話する場で印象が悪いと、調子に乗ってて大丈夫?と、最後の質問者と同じような気持ちになってしまうということです。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

無いぞ、知名度。SCSK [株主総会]

SCSK、という銘柄、ご存知ですか?・・・会社のウェブサイトを検索してみると、トップページが開いた瞬間、ズバリ「無いぞ、知名度。SCSK」という文字が現れ、続いて「あるぞ、情熱。」「あるぞ、実績。」などなど、「ある」ものがずらーっと出てくる、という、なかなか意表をついていて面白い趣向です。何しろ、最初のひと言が図星ですからね。でもCSKならば、もう少し知名度はあるでしょう。CSKが住商情報システムに吸収合併されてSCSKになった、という経緯です。

DX化で成長する企業はたくさんあると思いますが、あまりにも新しい分野だと、そもそも私自身よく理解できていないうえに、変化が早くて企業の浮き沈みも激しいでしょう。新しい会社への投資はエキサイティングですが、それこそハイリスク・ハイリターンですからね。幅広い顧客層があって、特徴は無いけど何でもやってます、というイメージの会社は安心かな、という選択。マーケットが伸びていますから、きちんと仕事をしてさえいればよいのです。

株主総会は1週間ほど前でしたが、ノートとりながら視聴していたにもかかわらず、全く思い出せません。(苦笑) はっきり覚えているのは、質問が1問で終わってしまったこと。だいたい株主総会はQ&Aが面白いんですけれどね。

質問の内容は、親会社住友商事との関係について。住友商事が50%以上保有しているので、いわゆる親子上場のケースです。昨今はガバナンスに対する意識が高まって、親子上場に対する目も厳しくなっています。親会社の利益を優先して、個人株主を含む少数株主が不利益を被る可能性がある、というのがその理由で、実際に親子上場は減ってきています。ソニーとか日立とか、上場子会社をスッキリと整理してしまった例はたくさんあります。NTTドコモも上場をやめてしまいましたね。

親子関係を解消するとかTOBがかかるとか、そういう可能性はないのかという質問ですが、親会社の決めることだから何とも言えない、というのが回答。少数株主の権利に精一杯配慮しています、ガバナンス委員会を設けて頑張ってます、ということですが、取締役はほとんど住友商事からいらしてますから、それほど説得力は無いというべきでしょう。

実は正確に言うと、質問は2問あったのです。たった一人の質問者は、受注残の数字も聞きたいけれど、1人1問だというならば、と前置きして、親子上場の件を質問したのです。私が議長ならば、質問が1件しか出なかった時点で、受注残の質問も受けますけどね。だって「1人1問」のルールは、短い時間にできるだけ多くの人に質問してもらうのが目的のはずです。質問数を減らすのが目的ではありません。多くの人が質問してくれないのに、制限する意味がありません。

この状態を何とも思わないで議案採決に移ってしまった、ということは、総会の進行に当たって、株主に対して不遜であるつもりが無いとすれば、思考が停止しているということなのでしょう。ルール自体が目的化して、何のためのルールか考えることをやめてしまうという、日本人に、特に役人化した人種には頻繁に見られるパターンです。

そんなわけで、難点はあれこれありましたが、だからこそ、DX関連できちんと数字が出ているにもかかわらず、お買い求めやすいお値段で投資できるということでもあります。考え方次第ですね。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。