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「インデックス」というものと「アクティブ投資」について [投資スタイル]

このブログでは、個別株投資に関わることをたくさん書いているわけですが、もしかすると、「個別株投資(またはアクティブ投資)はインデックスに勝てないんでしょ?統計的に証明されてるんじゃないの?」と思う人がいらっしゃるかもしれません。否定も肯定もしませんが、その辺のところを、ちょっと整理しておきましょう。

まず、統計的に証明されているとすれば、それは投資信託のユニバースではないでしょうか。統計の対象になっているのは、投資信託だということ。ですから、決着がついているとするならば、それは投信選びの議論です。運用するということと、投信を買うということは、同じではありませんね?

投信を買うということは、個別銘柄にあまり関心がないのでしょうから、インデックス投信という選択肢は良いと思います。言うまでもないことですが、アクティブ運用の投信を買うと必ずインデックスに負ける、ということではありません。ランダムに選んだアクティブ投信は、インデックスに勝つ確率より負ける確率が高い、という意味です。

投資信託のパフォーマンスが、常識的に考えて普通の正規分布に近いとすると、図のような形になっていて、パフォーマンスのすごく良いものも悪いものもあるはずです。そしてその数の一番多いところ(ベルの頭のところ)の位置が、インデックスの成績よりも悪くなっている、というのが「アクティブ投信はインデックスに勝てない」ということの意味するところでしょう。アクティブ投信は運用コストがかかっているので、それをカバーして余りある運用成績が必要なのですが、それが出来ている投信が十分にないというわけです。

投信の分布.png

もちろん投信を買う時には「ランダムに」買うわけではなく、良さそうな投信を選ぶでしょうから、良い投信があれば、インデックスである必要はありません。ただ、正しい投信選びのアドバイスを求められても自信をもってお答えすることができない、というのが正直なところです。運用方針を見て、「これならば長期的にインデックス以上の成果があるだろう」という説得力のある投信には、なかなかお目にかかれません。そういうわけで、私も投信を買うならインデックス、という方針に、特に異論はありません。

さて、では投信から離れて「アクティブ運用」はどうなのでしょう。マーケットで資産を運用するすべての投資家を対象に、統計的に分析するなどということは不可能です。一般の投資家は、運用成績をきちんと計測するということもしていないのです。でも、頭の体操として、想像上の分布図を描くことは可能です。やはり常識的に考えて、すべての投資家の運用成績は、正規分布のような形になるでしょう。(ここでは投資信託は、それぞれの「ファンドマネージャー」が対象です。)そしてベルの一番高いところは、ほぼインデックスと一致するだろうと思います。アクティブ運用で、このベルの右半分に入るのは十分可能なように思える、というのが私の感覚です。

確率的な話をすれば、インデックスを上回るも下回るも同じでしょうから、アクティブ運用が有利ということもありません。ただ少なくとも、インデックスのほうが有利という証拠もないというわけです。

投資家の分布.png

この先は私の経験と想像の産物ですから面白がって読んでいただければよいのですが、そもそもインデックスのパフォーマンスって、どうなんでしょう。インデックスというものは、マーケット全体を表すように工夫されていますけれど、それ自体が一つのファンドを運用しているようなものです。TOPIXのような時価総額加重タイプであればより純粋なパッシブに近く、日経平均のような時々銘柄が入れ替わるタイプならば、一種のアクティブ・ファンドと言えなくもありません。

アメリカのSP500指数は時価総額加重平均タイプの指数ですが、メンバーに採用されるにはそれなりの条件が必要とのことで、時々銘柄の入れ替えも行われています。もし銘柄の入れ替えを行わなければ、パフォーマンスはもっと良かったはずだ、という内容のレポートを、かつて見た覚えがありますが、インデックスであっても、パフォーマンスの良し悪しはあるわけです。

何を言いたいかと言えば、インデックスのパフォーマンスと、想像上の真の平均的パフォーマンスは、同じではないかもしれないということ。そしてインデックスの作成に課された諸々の条件と、個人投資家が与えられた銘柄選択の条件を比べて、必ずしもインデックスのほうが有利とも限らないのではないかということです。

アクティブに近いインデックスに新たな銘柄が加わる際は、条件となる指標が誰の眼にも明らかになってから採用されるわけです。良くなるはずだと思って前もって加えることはできませんし、ましてや「これ以上悪材料は出ないだろうから」なんて理由で採用することなどできません。純粋なパッシブに近い、たとえばTOPIXのような全銘柄採用・時価総額加重平均型のインデックスはどうでしょう。時価総額加重ですから、一つの銘柄について見ると、株価が高い時にたくさん買い、低い時に少なく買う方法、ということになります。ドルコスト平均法の考え方からすると、特に有利な投資法とも思われません。

長年株式市場を見てきた経験から言うと、長きにわたって市場を牽引するような銘柄は、継続的に高い利益率を誇るような、案外誰の眼にも明らかな優良企業です。そしてその数はそれほど多いわけではありません。見るからにパフォーマンスの悪そうな企業のほうが遥かに多く、その中で優良企業に変われるケースは稀と言ってもよいように思います。過去の株価バブルのような事態が発生すればまた別かもしれませんが、株価バブルから特段利益を得たいとも思いません。そのように考えると、優良な企業を選んで長く保有するというシンプルな方法は、悪くないと思うのです。

投資家とindex.png


過去に、機関投資家に比べて個人投資家が不利ということは必ずしもないと思う、という内容で書いたものもあります。ご参考まで。
運用報告、要りません
個人投資家バンザイ
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