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パリ祭・フランス革命・歴史の蓋然性 [市場と経済]

7月14日といえばパリ祭。フランス革命の発端となったバスチーユ襲撃事件のあった日ですね。(我らベルばら世代にはお馴染みです。)

高校のころ、世界史の先生がこんなことをおっしゃいました。
「この日パリはものすごく蒸し暑かったんです。だからみんなイライラしてた。そうじゃなければ、バスチーユを襲撃しようなんて、思わなかったかもしれないんです。そうしたら、フランス革命も起こらなかったかもしれないの。こういうのが歴史の蓋然性ね。」と。
私は「蓋然性」という聞きなれぬ言葉に少々面食らって、その時はピンと来たというよりは、ちょっとおもしろい、というぐらいに思ったという覚えがあります。

長じて資産運用にかかわるようになり、リスクとどう付き合うかという課題と日々向き合うようになって、よくこの言葉を思い出すのです。将来を予想するというのは、もっと正確には、将来「起こり得ること」を予想しているのです。そしてリスク管理するということは、その起こり得る確率を想定することなのです。

あのフランス革命でさえも、起こる前は、蓋然性に過ぎなかった。つまり何%かの確率で起こり得る事象のひとつに過ぎなかったのです。学校で習う歴史的な出来事は、あたかも必然的に起きたかのような錯覚とともに記憶されますが、実はどれも、起こらなかったかもしれないことばかり。誰かが気まぐれでとった行動が、大きく歴史を変えることもあるわけです。それを「クレオパトラの鼻」と表現することもあるのでしょうが。

日々生じている市場での出来事も、常に理由があって必然的に起きたように解説されます。しかしどの出来事も、起こらなかったかもしれないのです。起こるか起こらないかわからない、そのことを「リスク」というのですね。そしてそもそも「金融」というのは、そうした「リスクに値段をつける作業」と言っていいのではないでしょうか。

毎年7月14日が来ると、改めてこうしたことを思い返すのです。歴史の蓋然性について語ってくださった恩師は、今も御年九十三でご健在です。


似たようなことを最近書いていました。→ リスクと確率

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