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公的な資金を運用するということ [市場と経済]

今日の日経新聞に、「大学基金 身構える銀行」という見出しがあります。政府が10兆円規模の資金を運用機関に預けてその収益を研究資金や人材育成等に充てる、というのが大学基金の構想だったと思いますが、記事では、預けてくれても運用先が無くて困るということが語られています。

基金構想の良し悪しを論評することはここではしませんが、大学基金に限らず、ある程度公的なお金を運用するとなると、このご時世、似たような悩みはついて回るでしょう。運用先が無い、というわけです。本当は無いわけではないのですが、もう少し正確に言うと、確定利回りの運用先が無い、ということなのでしょう。何事もリスクをとらないと収益はゼロ、という投資環境なのです。

本当は、TOPIXや日経平均のインデックスファンドでも買って放っておけば、配当で2%くらいは回るのです。私の感覚では、よほどのことが無い限りかなり確実です。ただだれもそれを保証する人はいませんし、年によって利回りは高くも低くもなるでしょう。かなり確実と思っても、私だってその運用をやれと言われたら、面倒だからお断りです。評価損が出るたびに、言い訳しなくてはならないからです。

もし世の中の多くの人が株式投資についてよく理解していれば、評価損が出たからと言っていちいち非難されたりすることは無いでしょう。利回りを稼ぎたいのなら、時々評価損が出るのは当たり前のことで、心配してもしょうがないということ。株価は企業の業績を表し、市場は経済の成果を表すということ。上場市場は国の経済活動を担うトップクラスの企業の集まりであること。これだけのことを、例えば国民の半分が理解していれば、そんなリスクさえとれないなんて、本来あり得ないと思うのです。

マスコミが不勉強なのは今に始まったことではありませんが、それは世間一般の反映でもあります。国や地方の政策を担うような人々であっても、株式市場に対する理解は怪しいと思わざるを得ません。株式市場に詳しくなってくれ、などと高い要求は致しません。せめて誰かが「リスク」を引き受けなければ、収益は上がらないのだ、ということだけでも理解する人が増えてもらわなければ困ります。

公的なお金を使っていても、収益が必要ならばリスクはついて回ります。しかし一瞬でも損が出るとはけしからぬ、というのが一般の感覚でしょう。現実は厳しいですね。資産運用に限りません。福祉についても似た様な事を感じます。税金を使うのだから、正しいものに使わなければならないという感覚。でも本当の弱者は「正しく」は見えないようなところに存在すると私は思います。どこから見ても誉められたものではない、という状況に、多くの弱者は置かれていると思うのです。

少々脱線しました。私は機会さえあれば、株式市場に関するお話をしていますが、それはこうした状況が、ほんの少しでも変わってほしいと思うからです。どの株が上がるかという話をする人は世の中にたくさんいらっしゃるでしょうから、そういう大変なお仕事は皆さんにお任せして、株式市場に対する理解を、それとともに「リスク」をとることに対する理解を広めるために、地味~に続けて行こうと思うわけです。

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