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英Economist誌のアベノミクス評 [市場と経済]

もう最新号でもないので今さらではあるのだけれど、かのEconomist誌にこうして大きく取り上げられているわりには話題になっていないような気がして、ネット上を検索してみたら、やはりほとんど出て来ませんね。以下、一件だけ、要約を載せてる記事がありました。

「Overhyped, underappreciated (過剰宣伝、過小評価)が記事のタイトルです。このわずか 2 語で本文を表しています。うまい。 」

と、一言だけ論評してます。ふつうこれを読むと、「過剰宣伝」の印象が強く残るんじゃないでしょうか? 実際英語の原文を読むと、むしろ「過小評価」のほうに光を当てているような印象。

少なくとも私の読解力では、アベノミクスは結構評価されてます。ごくおおざっぱに要約すれば、アベノミクスはよくやってる。よくやってるけど、それでも日本の企業や消費者にお金を使わせることは、かくも困難な事なのだと。

特集記事は「日本って国はそもそも自分を卑下しがちなところがあるからね、」と書き出し、「デフレでこれだけ苦しんでるから、自分たちを過小評価し続けるのも無理はないけど」と同情したりして、さすがよくお分かりです。でも海外の目も、アベノミクスをちゃんと評価していないとも言ってます。

アベノミクスを非難するのは「too cynical」であり、安倍首相の取り組みは「no doubt sincere」であって、真の関心事が改憲であったからと言って、経済政策を非難する理由にはならない。そりゃ確かにインフレ率2%はまだ全く届かないかもしれない。でもアベノミクス以前と比べてごらんよ、雲泥の差だよ、と。他の先進国はex.エネルギーを物価指標としているのに、日本は原油価格も入ってしまっている。それを除けば緩やかとはいえ32カ月連続の上昇。同じ時期に豪、英、仏、独、伊、西、といった国々では物価が下がっていたのに。

雇用も増え、可処分所得も増えてる。でも問題は、使わないんですよねえ、個人も企業も。確かに賃金の上昇は遅れている。企業が賃金を上げるよう仕向けなくちゃいけない。貯めこんだお金を、投資しないのであれば株主還元させなくちゃいけない。だからアベノミクスがコーポレート・ガバナンスを打ち出したのはすごく正しい。日銀の金融政策は、必ずしも思ったように行ってないかもしれないし、限界もある。でも企業ができることはもっともっとあるはずだ。国家の債務が膨れ上がってるのにまた28兆の公共事業。これだって、民間が使わないんだから、バランス上しょうがない。クラウディングアウトさえ起らないんだから。

改革という意味ではまだまだやることがある。それでもTPPは、政権発足時と比べれば大きな進展を見せた。雇用改革など、なかなか進んでいないようだが、そもそも日本人って、「kaikaku」より「kaizen」が好きな人々だからねえ。

・・・という具合に、改革が進まない原因は自分たちでしょ、とまで皮肉って見せたりして、アベノミクスを擁護する論調。企業や消費者が、アベノミクスの成功を信じてお金を使えば成功するんだけどねえ、というのが結論と言えば結論のようです。

世間一般の評価が低いからこそ書いた記事だと思うので、手放しで褒めているわけじゃありませんが、冷静に評価してね、という話です。

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