SSブログ

NISA、役に立ってます? [投資スタイル]

何らかの金融商品に投資している人のなかにはNISA(少額投資非課税制度)を利用している人も多いと思います。私も利用しています。非課税にしてくれるというものは利用しない手はない、と考えるのが普通です。

この制度が始まってもうすぐ7年目ですが、5年で一区切りという制度なので、今年末は2回目の「ロールオーバー」を経験しています。NISAというのは投資によって得られた利益が非課税になる、という制度ですから、利益が出なければ無用の長物なのです。ただ無用であるだけならばよいのですが、この「ロールオーバー」をやらないと損になる、というのが厄介です。個人に投資を促す目的で制度の利用を奨励するのであれば、ぼうっとしていると損をするというのは制度の欠陥ではないかと思うのですが、制度を利用して損をするのじゃたまりませんから、私も届けを出しました。

NISAだからと言って、とりたてていつもと違う銘柄選択をしたわけではありません。配当が高いものを買ってみたり、成長が持続しそうなものを買ってみたりしましたが、分かったことは、NISAは長期投資向きではないということでした。よく新聞記事などを見ていると、NISAが短期売買に「利用されてしまっている」と非難めいて書かれていますが、長期投資には向かないのだから、仕方がないのではないでしょうか。

長期投資のつもりですから、株式であれば長期的に価値が増えると思う企業を選びます。企業の価値に見合った株価がどこかの時点で実現するので、途中で株価が上がったり下がったりしても気にせず保有していよう、というのが基本のスタンスです。何年後にいくらになっているかはよくわからないし、それを特に分析しようとも思わないのです。ただ最終的には右肩上がりであろうと予想し、できれば割安な株価で買おう、というだけのやり方です。

このやり方で5年後の年末の時点で必ず利益がプラスであるように、というのは、結構難しいことです。プロの機関投資家ですと決まった期間ごとに報告義務があるので、常に運用の「期間」に縛られているわけですが、個人はこの期間の縛りがない、ということが非常に有利な点なのです。ところがNISAで運用すると、5年で成果を上げろ、ということになります。いつもの「買ったら忘れている」という楽ちんな方法をとっていると、うっかり損してしまいかねません。

もちろん5年経つ以前に売却することは可能です。5年目に株価が下がって面倒な手続きが発生したり、それを忘れて損してしまったりを心配するくらいなら、少しでも利益が出ているところで売ってしまおう、という発想にもなるでしょう。ただ、そんなつもりで保有していると、大きな利益は期待できそうにありません。実際私の保有している株式でも大きく利益が出ているのは「買ってから忘れている」銘柄で、5年よりも長く持っている株がほとんどのように思います。

さて、5年目の年末まで持ち続けた結果マイナスに沈んでいる私のケースですが、別にこの投資対象を見限るつもりはないので、次の年のNISA口座に「ロールオーバー」したわけです。でももしこの時、この銘柄選びは失敗だった、もう持っていたくないから売ってしまおう、と思ったとするとどうなるでしょうか。

これがNISAでなければ、他に利益の出る銘柄を売却するときに損失と相殺することができ、これはこれで支払う税金を減らすことができます。しかしNISAであれば、その使い方はできません。売却損は単なる売却損です。それは悔しいから、売るべきものも売らずにロールオーバーして売り時を待つ、または損を承知で課税口座に移管し、将来の売却益との相殺に備える、といった選択肢があるでしょう。

と、ここまで書いてきて、NISAって本当に得なのか?という気分になってくるのは私だけでしょうか。ただ買って忘れているはずだったものが、こんなに色々と運用判断を迫られるのだったら、もうやめちゃおうかな、という気にもなります。この5年縛りのまま続くとすると、最大どのくらいメリットがあるんでしょうか。

もちろん大当たりして、5年以内に2倍にも3倍にもなることはあるでしょうが、常識的な範囲でうまくいって3割ぐらい(年平均なら5%超)とすると120万円×30%=36万円 そこにかかる税金は36万円×20.315%≒7.3万円 のお得、ということになります。これを大きいと思うか思わないかは人それぞれですが、その程度のメリットのある制度、と思っておくのは悪いことではないでしょう。

現在買い付けは2023年までとなっている期限を、そのうち恒久化してくれるんじゃないかなあと期待しているんですが、そういう話はないのでしょうか。過去にも税制に惑わされて判断を誤った経験のある身としては、NISAの利用も考え直そうか、とちょっと思っている年末です。皆さま、良いお年をお迎えください。

P.S. ロールオーバーについて解説してあるサイト、分かりやすく説明されているものは案外少ないですね。こちらは割と分かりやすくできていると思います。(一覧表の中の売却期限が、更新をわすれたのか、間違っているとは思いますが。)


nice!(1)  コメント(4) 
共通テーマ:

長期投資のための銘柄選択・・・? [投資スタイル]

パソコンを新しくしたらなかなか調子が出ず、最近ようやく使用環境が安定してきました。予想もしないことでつまずいて、頭にきて赤くなったり、データが壊れた、と青くなったり。データのバックアップはもう一つ作ろうと思ったのでした。何事もリスク管理!

さて、1か月半ぶりのブログ更新です。

10年単位の長期で投資対象を選ぼうとするときに、何を見て選ぶのがいいんですか? という質問が時々あります。多分長期投資をしようとする人にとって、当然の疑問でしょう。誰だって知りたいですよね?

でも残念ながら、これを見ていれば大丈夫、といった指標などがあるわけではありません。そりゃそうです。そんなに簡単なはずはないのです。簡単ではないけれど、それでもやはり、投資するかしないか、判断材料は必要です。

まず一つには、その属する産業なり商品なりの将来性です。「テーマ株投資」というんでしょうか、何らかの「テーマ」に沿って関連する企業に投資する、というやり方がありますけれど、長期にわたって有効なテーマであれば、それがそのまま長期投資ということになります。

昨今常識的に語られている長期的なテーマですと、高齢化に伴う医療ですとか、世界的な所得水準の上昇で需要の増す食品や消費財、テクノロジーの関係ではロボットや人工知能、再生エネルギーなどなど、数十年先まで成長しそうな産業がいくつか思い浮かぶでしょう。それらに関連する企業、要するにその商品やサービスを供給する企業に投資するというわけです。

ところがこれ、言うは易しですが、投資成果を上げるのはなかなか難しいものです。成長すると思った産業が実は違った、というケースももちろんありますが、たとえ産業レベルで予想通りになっても、実際活躍する企業まではたどり着かなかったりもします。産業が成長しても、過去にはなかった技術が出てきて市場が別の企業のものになってしまう、とか、活躍すると思っていた企業が大企業病にやられて競争に負けてしまう、などなど、数十年の間にはいろいろなことが起きるものです。

過去を振り返ると、いくつも思い当たります。私の駆け出しのころ、日本は例の不動産バブル真っただ中。いたるところ再開発が進んで東京が大発展する、と思われた時代です。30年経って、実際に湾岸には新しい街ができていますし、東京の街では切れ目なく再開発が行われていますが、そのテーマで投資していたらどうなったでしょうか。・・・バブルの中では、実態より株価がずっと先に行ってしまっていたんですね。

昨今はプラスチックごみが大問題になっていますが、「生分解プラスチック」というのも、30年ぐらい前には人気テーマのひとつだったように記憶しています。当時多くの人が期待したように、あるいはそれ以上に需要は実現しているのではないかと思いますが、技術のほうはどうなったのでしょう。フォローしていないので詳しくは分かりませんが、実用化に漕ぎつけられなかったのでしょうね。

パソコンが普及し始めたころ、その市場の拡大を信じた人は多かったでしょうけれど、マイクロソフトと競合していた企業はほとんどが、競争に負けてしまったわけです。新しい産業は成長性は高いけれど、新しいだけに参入障壁がないので競争は熾烈になりがちです。その中でどこが勝つのか予想することは、不可能に近いかもしれません。

投資家として、それでも産業の将来性を考えることはやめませんが、それが単純に銘柄選択に直結するわけではない、ということです。遠くを見据えながらも、実際に銘柄を選ぶには、企業の稼ぐ力を吟味することになります。そのために必要になるのが、利益率だったり資本効率だったりといった財務分析なのです。

遠い将来のことは分かりません。だからこそ、実力のある企業に投資することが重要です。予想が当たって市場が拡大すれば、当然その中で優秀な企業は成長するでしょう。予想もしない展開になればそれなりに、強い企業は逆境に耐えてくれることを期待できますし、環境の変化に対応して成長の道を辿ってくれるかもしれません。

実力のある企業であっても、それが永続するとは限りません。長い間に実力が衰えてしまう企業もあるでしょう。絶対確実な投資というものはないのです。あとは確率の問題です。良い投資対象を見出す確率を少しでも上げるために、私たち投資家は、地道に財務分析やそれ以外の分析を行うわけです。長期だから特別、という方法はないのです。



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。