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今年も出席、定点観測のバンダイナムコ [株主総会]

昨日の月曜日は定点観測。ほぼ毎年のように出席しているバンダイナムコの総会です。ひどい雨にもかかわらず、今年も盛況。私としては、日ごろ株主総会の話題が出ると、よくここの総会の話をするので、直近の状況もできるだけアップデートしておきたいのです。

Q&Aではいつも通り、オタクな質問が続きます。業績が良かったせいもあるのか、とにかく最初から個別イベントの案件。スーパーアリーナでの謎解きイベントとかアイドルマスターのドームライブとかラブライブサンシャインとか、どんなイベントなのか想像がついて行けません。いつものことですが。(笑)

投資家的視点で意味のありそうな質問としては、IP戦略(IP=知的財産、要はキャラクターのこと)における多様化や新規開発について聞きたい、とか、VR(バーチャル・リアリティ)関連事業の今後の展開は?とか、1時間近くの間にそれほど多くはありません。そんな中で私としては、前期の業績について極めて基本的な説明が欠けていると思い、質問を試みていましたら、「あと2問です」との宣言直後、ご指名いただきました。

最大のセグメントであるネットワーク・エンターテインメント(簡単に言えば家庭用中心のゲームソフトのことです)で増収減益になっている理由。事業報告には、何も書いてないのです。4%増収で5%減益、という数字を見れば、どうしてかな?と思うのが当然でしょう。こういう当たり前の疑問に答えないのってよくないと思うんですよ。よくないことは隠したいのか、という印象を受けます。何年か前もあったんです。記録によると3年前ですね。やはりその時も私は、減益要因を真摯に説明しない態度に不満を表明しています。

今回は明快な回答があってすっきりはしましたが、だったら事業報告に書いてよね、とは思います。減益の理由は、米国での家庭用ゲーム機の売り上げ認識基準が変わった影響。それがなければ利益は横ばいだったとの説明でした。

前後しましたが、「あと2問」の宣言は、ちょうど1時間過ぎたあたりでした。これは改善点。株主の皆さんの質問や意見、バンダイナムコ愛にあふれていて素敵なんですが、細かいオタク的な質問が延々と続くのはちょっと辟易、と思っていたので。今年は「残りの質問は総会後の展示スペースでお答えします」ということで切り上げてくれて、正直ほっとしました。

各取締役候補のひと言スピーチも例年通り。新規の社外候補に日揮の元社長、で、なぜ日揮?という質問とか、社外取締役は皆さん持ち株ゼロで株主視点、っておかしいんじゃないかとか、女性の取締役が少なすぎる、とか、活発な質疑が続きます。

議案の採決後、退任する取締役のスピーチが、ピリッと最後を〆ました。

ガンダム40周年、とのことで、おみやげがガンプラかも、と思ってきた株主もいらしたようですが、おみやげ地味化の時流には逆らえず、クリアファイルとメモパッドという、でも私にとってはガンプラより遥かに役に立つ品でした。

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充実の2時間~ORIXの株主総会~ [株主総会]

昨日金曜日はORIXの株主総会。

実は、過去に出席した中で、最低だと思った株主総会の一つがORIXだったのです。あの有名な、前経営者の時代です。いつだったか記録を調べてみたら、2008年でした。その時はパレスだったか帝国だったか都心部のホテルで、招集通知通りに事業報告を通読した後、質問ありませんか、と一言聞いて、ほとんど待つ間もなく、ありませんね、で終わったのです。えっ、もう終わり? と思いましたね。個人投資家なんかどうせ分かってないんだから、お菓子の包でも持たせてやれば満足して帰るだろう、みたいな印象で、実際立派な洋菓子をもらって帰りました。

さすがにあんなひどいのは今どきないだろうとは思いつつ、それほど期待せずに出向いたのですが、行ってよかったと思える総会でした。セグメント別の事業説明も簡潔ながら比較的分かりやすかったし、多岐にわたる事業構造ながら、何を重視して経営しているのか、しっかり述べていたように思います。

基盤強化や成長のために投資したいから、利益配分は内部留保重視、とはっきり言っているのもいいですね。現在の配当性向30%は上限という感じでしょうか。一般に、特に根拠もなく30%程度としている会社が多いけれど、財務強化したいとか投資したいとか、言えばいいんですよ。で、どちらでもないならもっと配当すべし、でしょう。

自分たちが「分かりにくい」と思われている、という問題意識も持っているようで、「オリックスって何の会社?」というストレートなCMをテレビで流しているとのこと。見た覚え、なくはないけど・・・と思ってYouTubeで検索してみたら、川栄李奈が会社のプレゼンよろしく様々な事業の説明をする、という動画が何本も出てきた。確かに問題点、分かってるみたいですね。株主質問の最後にも、株式市場での評価が低いのは、コングロマリット・ディスカウントだと思うから、もっとIR頑張って、という意見がありました。

さて、Q&Aで良かったもの、面白かったものを挙げてみます。一人目の株主は、投資効率に関する質問でした。日本語ペラペラの外国人株主で、如何にも外資系金融で働いてました、というノリ。個別の案件についてかなり知識があるようで、要は過大投資なんじゃないのか、このところ買収した大きな案件が、それほど投資効率上がってないんじゃないのか、ということでしょう。

個別のことはよく知りませんが、会社の目標とするROE11%以上というのは実際、特に高いわけではありません。将来性に期待して新しい事業にあれこれ投資していれば、どうしても足引っ張られますよね。だから将来性もないのに過大投資するようなことだけはしないでいただきたい、と思うわけです。

そこで私は、リテールの銀行業について話してください、という質問をしました。リテール部門というのはかなり売上比率が高く、主な事業が保険の販売と銀行業なのですが、銀行っていいビジネスなんでしょうか。将来性あるんでしょうか。・・・回答は、まず他の銀行との違いから。ネット経由で必要な額だけ預金で調達するから預貸率が高い。ただRoA3%という目標に対し、実態が1%弱で、普通にしていては2%なんか届かない。手数料ビジネスをどこまで増やせるか・・・。

要するに、投資効率悪いことは問題だと思っていて、このままの状態を続けてはいけない、というお答えでした。RoAがいつまでも上がらなかったら、事業再編の対象になるのかも。この「手数料ビジネス」に関してですが、総会の後のロビーで、銀行の「資産運用サービス」のパンフレットが置いてあったので、販売している投信のラインナップを眺めてみました。すると系列外から選んでいる国内株の2本が、いいファンドなんですよね。詳細は省きますが、とても好印象。だからと言って簡単にRoAが上がるというほど甘くはないんでしょうが、頑張っていただきたいです。

あと、いい質問だと思ったものを順不同に列挙しますと、
 大京の子会社化は本当に正しかったのか。
 中国関連のビジネスはどのくらいあるのか。米中摩擦の影響は?
 株価が安すぎると思うが、対策としての自社株買いは考えないのか。
 カーシェア事業は今は赤字と思うが、今後の展望は?
 社外取締役のスピーチを聞きたい。(辻山栄子さんと竹中平蔵さんをご指名)
 取締役の信条・モットーを聞きたい。
 総会を、ネットでつないで大阪や他の地方でも開催するなどのアイデアは如何?
 コンセッション事業について、災害による損失はないのか。
 ガバナンスについて、CEOの解任基準は?
 オリックス銀行を上場させればよいのではないか。
 投資効率が7・8年前より大幅に下がっていることについてどう考えるのか。

回答全部はここに書きませんが、取締役候補者のスピーチはいいですね。わざわざ来たかいがあったという気分になります。ご指名通りの社外候補者のお二人と、社長御指名で候補者2名、快諾してお話し下さいました。

大京に対する心配も、株主ならばごもっとも。お気持ちわかります、という感じの話しぶりで、一応納得しました。投資効率については、確かに数字は落ちているけど、以前6倍くらいあった負債/資本比率が1.6倍まで下がっているんだから、それを考えたら投資効率が落ちているとは思わない、との答え。難しいところでしょうけど、理解しました。

カーシェアに対する考え方。今は赤字で気分悪いけど、レンタカー事業の一部として見ているから十分損を吸収できている。そのうちこちらが主になるかもしれない、との回答。何ごとも所有から使用へ、という時代です。こういうことにはやはり投資しておかなくては。

オリックス球団への支出を30億程度から倍増させて、もっと強くしてほしい。最下位では企業イメージにとってもよくない。・・・というご意見はご愛敬。株主総会までは3位ぐらいで踏ん張ってほしかったんだけどねー、と社長。お金を出さなきゃ強くならないことはわかるけど、出したら強くなるのかどうかよく分からない、とのお答えでした。

総会後のロビーでの展示、銀行については先述しましたが、不動産事業カーシェアについても、面白いお話が聞けました。11年前のブログのタイトルは「対話のない総会」でしたが、今年は全く別世界、中身の濃い2時間でした。



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メイテック~本社は名古屋でも総会は東京 [株主総会]

今週は木曜日、メイテックの総会に出席。名古屋の会社なのに東京で総会って、珍しいです。本社機能は1996年から東京に移っているので、総会も東京にしているのだとか。午後2時なのは、他社とかぶらなくてありがたいですね。総会のために名古屋から来るスタッフが、日帰りできるようにしているのかもしれません。

まあそんなことはどうでも良いのですが、初めて出席する株主総会、業績は堅調、財務や経営の指標を見ても優秀な会社なので、割と楽しみにしておりました。ただ、結論を先に言ってしまうと、特に面白いこともない総会でしたね。このくらいの規模の会社は、こんなものなのかな。

事業報告は過不足なく、主要な指標は10年以上のデータをグラフにして配られています。エンジニアの数は順調に増えているし、仕事の単価は上がってます。株主還元の方針も明快に示されているし、取り立てて不満を述べるほどのこともありません。かといってわざわざ足を運んで良かった、と思えるほどの話もないのですね。

業績が良いからと言っても、気になることはあります。今後慢性化するであろう人手不足について、将来的にどうなると思っているのか。働き方改革と言って労働時間を減らす努力も行われているわけですが、どう影響を受けているのか、今後の展望はどうなのか。どんな技術分野に力を入れてるとか、どんな需要が伸びそうだとか、そんな話も本当は聞けるといいんですけれどね。

出席者が少なくて質問もあまり出ない。拍手も湧かない。要するに盛り上がらないのです。質問に対する回答も、一生懸命答えて下さる割には、印象に残らないし。投資家が何を聞きたいと思っているのか、今一つ通じていないということなのでしょうか。労働時間が減っている件について質問したんですが、根掘り葉掘り質問しようという気にもならず、それ以上の質問はしませんでした。

決議事項の採決、拍手しかけたら、周りに拍手する人が居なくて戸惑いました。社員株主みたいな出席者の低い声が「異議なーし」。粛々と議事が進行して閉会となりました。新卒採用の資料と社内報のサンプルが置いてあったので、あるものは全種類もらって帰りました。社内報、なかなか立派です。

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特に荒れなかった臨時株主総会  [株主総会]

月曜日、日産の臨時株主総会、話題になっていたので混んでいるだろうとは予想していましたが、案の定、入れたのは第3会場でした。15分以上余裕見て会場入りしたんですけどね。インターネット中継をやったというから、招集通知に書いてくれていたら、わざわざ出かけなくてよかったかもしれません。ビデオを通した会場では拍手もないし、しんとしたものです。

総会は、ひと言でいえば平穏でした。現経営陣の責任を問う、と厳しい口調で質問した株主は、24名中私のメモによれば2名。その質問も、賛同の拍手が沸き起こったという状況からは程遠く、経営陣の回答も、おとなしく反省の弁を述べるのみで、怒号が飛び交う、なんてことは全くありませんでした。

でも、新聞社やテレビ局のシナリオは違ったのでしょうね。すべてのメディアをチェックしたわけではもちろんありませんが、2時間半近くにも及ぶ株主質問から各社がニュースに取り上げたのは、「経営陣は総退陣すべきではないか」「けじめをつけてほしい」という株主からの発言。繰り返しますが、2人だけだったんですよ、そういう言い方をしたのは。

中には古参の元社員らしき株主の、決議事項に大賛成、ゴーンは悪すぎる、西川さんよくやってくれました、という発言もあったのです。こちらに対しても支持の拍手が巻き起こったなどということはなく、やはり総会は、多くの関心を集めている割には平穏だったと言うしかないでしょう。この方はゴーン氏への悪口が延々と止まらず、聴いてるほうは思わず失笑。これに対する西川さんの回答は「敢えて何も申しません。大変ストレートなご意見ありがとうございました」。

これからの経営戦略、アライアンスの在り方、ガバナンスの立て直し等々、今後の日産を心配するきわめてまともな質問が多く、株主の皆さん、本当に真面目に参加してらっしゃいます。質問のクオリティーが高いのは、通常の総会に倣って株主質問を事前申し込み制にしたから、ということもあるかもしれません。先ほどの株主氏からは、質問の事前申し込み制も含めてゴーン流は全部やめろとのご意見でしたが、ゴーン流だからダメと言うのは暴論だとしても、質問を制限してしまうのは、会議の進め方という意味ではやはり議論の余地がありそうです。会議が紛糾するのを防ぐ意図がないとは言えないでしょうから。

メディアが協調したがっている「現経営陣の責任」の問題ですが、責任をとれ、退陣せよ、というのは理にかなっているようには見えます。でも今起きていることって所詮権力闘争じゃないの、と思えば、勝っているほうが留まっているのは当たり前じゃないかとも思えます。引責するほどの権力が無かったからこういう事態になったのだ、というのが現経営陣の立場でもありますからね。そう考えると、理にかなっているように見えてもあまり現実的ではない、といったところでしょうか。


帰り道、目が合わないようにしていたんですがテレビ局のマイクにつかまってしまいました。街頭インタビューというのはテレビ局のシナリオにあったコメントを探しているだけですから、私のコメントなど採用されるはずがありません。なにしろ開口一番「総会、全然荒れませんでした」でしたから。

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春風に誘われて、株主総会 [株主総会]

この季節は、12月決算の企業の株主総会です。

今週水曜日。大塚商会の株主総会は2年ぶり2回目です。前回の記憶からすると特に面白いこともなさそうなので、出席するのをやめようかと迷いましたが、暖かそうな春の日差しに誘い出され、風を切ってひとっ走り、ママチャリで出かけました。

業績は好調で財務も安定、紛糾するような要素は見当たりません。質問することがあるとしたら、働き方改革への取り組みぐらいかしら、と思っていたら、事業報告の冒頭から、働き方改革を先取りしてます、との説明。顧客に対する提案も行っているということですから、働き方改革もいわば商品の一部になっているんですね。

この会社、従来から一人当たり売上高という指標を重視しているようで、IRによく登場します。過去20年間に社員数は8%増え、売り上げは倍以上になったということですから確かに優秀です。且つその間の年間休日数は、118日から131日に増えたという説明でした。

2年前に出席した総会は、出席者のほとんどが元社員か取引先など関係者のようで、質問もほとんど出なかったのですが、今回のQ&Aはなかなかに活発でした。純粋な個人株主の参加が増えているのでしょう。良い質問も、面白い質問もありました。

ごくまともな質問、たとえば現預金はこんなに要らないんじゃないのか、と言うのに対しては、色んな事を言っていましたが、要するにこれから使い道を考えるということですね。経営が順調でキャッシュが積み上がっている会社って、大体こんな感じだと思うんです。経営効率を一生懸命追求してきて、資本の効率はそのあとということに、どうしてもなるのでしょう。

最後の方で出た、AI時代到来でどんな影響を受けるか、というのも良い質問。回答では今時の技術を生かした製品を列挙していました。Chatbotのシステム、顔認証システム、RPA、Webカメラ…。新しい分野の製品が増えること=ビジネスチャンス、ということですね。

どういうビジネスやってるのかよく分からないから教えてくださいという、株主初心者コースの質問もあって、丁寧に回答されていましたが、ここで社長が、会社創業時の理念のような話を補足。青焼きの機械と感光紙からスタートしたんだそうです。顧客の仕事が止まらないように、いつでも1包でも感光紙を届ける、壊れたらすぐサポートに走る…と聞くと、コピー機のビジネスみたいですね。こういう話は会社のイメージがよくわかってありがたいことです。

面白い質問。テレビのCM、とてもいいですね、という話。テレビ東京の経済番組で流れるようですね。私は最近あまり見てないので覚えがありませんが、社長の肝いりで制作しているのだとか。社長自ら、このCMシリーズに込める思いを語っていました。

他には、車好きだそうですがベントレーはまだ乗ってるんですか、というのもありました。車好きだったのは会長だったようで、既に売却済みとのお答え。社長はあまり興味がないようですね。こういうどうでもいいことも含め、社長が静かな口調ながら気持ちを込めてお話になる様子に好感が持てました。

→ 2017年の株主総会

本社前、川沿いの桜並木
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業績に問題はないはずなのに・・・星野リゾートREIT [株主総会]

総会の雰囲気にちょっとびっくり

昨日出席した「投資主総会」では、議事進行役の力量というものをつくづく考えさせられました。投資対象そのものが悪いとも思えないのに、会場の雰囲気は険悪になるばかり。すぐにでも売りたくなるような総会になってしまったのです。

星野リゾート・リート投資法人。結論を先に言っておくと、私の眼には「買わない理由のない銘柄」と映ります。有望なマーケット。業界内の好ポジション。分配金は連続増額、5年で倍近くになっている。財務上も特に問題ない。それで分配金の利回り4.8%です。事前に険悪な総会など予想できませんでした。

招集案内は非常に薄くて、法令の変更に合わせた定款の変更と、任期満了の役員の再任を諮るという、決議事項としてはごく一般的なパターン。質疑応答は決議事項に関することだけとのことだったので、あっという間に終わるのかと思いきや、よくこんなに聞くことあるな、というくらい質問が続きました。

役員が全く証券を保有していないことについてとか、定款変更の主旨についてとか、監督役員は兼務が多すぎじゃないのかとか、特に質問が変なわけじゃありませんが、途中から監督役員についての質問が増えてきて、彼らの資質に問題があるような印象が生じてしまったのです。

当然私には彼らがどういう人たちかという特別な情報はありませんが、投資法人ってそもそも器であって、その監督役員は器がきちんとしているか監督する役のはずなんです。それが、不動産の素人じゃないのか、それは問題じゃないのか、過去に監督していた投資法人に問題があったんじゃないか、といった質問になってきて、不適切な役員を糾弾する、みたいな雰囲気になってしまいました。

投資法人の監督役員って不動産の目利きである必要はないと思うし、兼務が多いのもわりと普通だと思うんですね。だからそういう説明をして疑念を晴らさなくちゃいけなかったのです。出席していた投資家の方からも、その後そういう指摘がありました。皆さん誤解なさってるようだから、投資法人の仕組みを説明したほうがいい、と。 

詰まるところ、議事進行を担った執行役員の力量不足でしょう。終止台本読みなのです。質問に対する回答も、想定問答集の該当箇所を読んでます、という話しかたで、話している内容が相手に伝わらない、というのはこういうことなのでしょう。とにかく余計なことは言わないように、という態度に見えました。必要なところでは毅然とした対応をすべきなのに、あれでは聞いている方も不安になってしまいます。

証券の値段が上がらないのは何故ですか、どうなってるんですか、というよくあるクレームまがいの株主質問がここでも出て、雰囲気の険悪化にまた一役買っていましたが、業績がいいんだから何もひるむことはないんですよね。皆さんのような目の効く投資家が日本にはまだ少ないということでしょう、とか答えておけばいいのではないでしょうか。

議事は険悪なまま進み、採決となりましたが、なんだか拍手していない人が多かったように思います。拍手する気分にならないぐらい雰囲気が悪かったことは確かです。するとまた、こんな拍手で採決していいのかとか、色んな声が上がってクレーム大会になってしまい、ほうほうの体で最後までたどり着いたという印象。

険悪な空気は運用状況の報告会が始まっても続き、もう「文句の一つも言わなきゃ損だ」とでも言わんばかりです。早く報告聞きましょうよ、と声を上げようかと思ったぐらい。別に業績が悪いわけでもなく、スキャンダルを抱えているわけでもないのに、雰囲気悪すぎです。それでも無事運用状況の報告が始まり、そのうち場の空気も治まりました。

あの険悪な空気は、「イジメ」の空気と同じ性質のものだったと思います。今回の進行を担った執行役員、子どもの頃いじめられっ子だったとか?その場にいると、さしたる理由もないのにだんだんといじめに加担してしまう。それが当然のようにその場の空気に飲み込まれてしまうんですね。恐ろしいものです。

本題の運用状況報告

さて、本題だったはずの運用状況の説明、特筆すべきことはそれほどありません。過去5年でファンドの規模も順調に拡大し、それに伴って資金調達も楽になり、それが外部成長を援けるという好循環にあるように見えます。

昨年は北海道や関西・中国地方など自然災害が多くて損失も出ましたが、自然相手では如何ともし難いでしょう。大阪のハイアットが良くないとか旭川の新規物件が良くないとか発言している投資主がいらっしゃいましたが、個々にはそういうものもあるのかもしれません。そこまで細かく見ていませんけれども。

外国人客の利用は全体の平均で2割ほど。特に高級リゾートの「星のや」に多い。温泉旅館の「界」はまだ1割ぐらいで、今後伸ばせそう。インバウンド客は、曜日や季節の凸凹を埋めてくれるありがたい存在だそうです。

Q&Aで、利益相反が起きないのか、という指摘がありました。つまり星野リゾートが切り捨てたい物件を押し付けられることはないのか、という意味。仕組みからするとその可能性はあるわけですが、そこは星野リゾート全体に対する信頼の問題というしかないのでしょうね。不動産業のグループでREITを持っているところは、同じ事情を抱えていると思います。

星野リゾートになる前の星野温泉から利用しているという投資主の発言もありました。非常にロイヤルなお客様、一番大事にすべき投資主ですね。彼女はあの「いじめの現場」をどう思って見ていたのでしょうか。

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久しぶりの株主総会はHIS [株主総会]

昨日は久しぶりの株主総会。HISは数年ぶり、確か2回目です。(前回のメモはこちら

よく講演会などで、演台の左右、目の高さにある透き通った板、あれ、プロンプターですよね?澤田社長が右側のプロンプターを見ながら話していると、その透明板のちょうど先に私の席があって、ずっと私の顔を見ているみたいにこっちからは見えるわけです。そんな、何となく落ち着かないような特等席で、昨日は聴いておりました。

終わった年度の業績は、順調と言ってよいと思います。連結範囲が増えているので表面上は大幅増収ですが、既存事業でも6%近く伸びてるようですね。増益率も為替差益・差損の影響を除けば2桁増益でしょう。

海外の旅行先は韓国が復調していると言ってましたね。欧州も良いというのは年末年始の曜日の並びがよかったとか、個人消費が強かったとか、そういうことなんでしょうか。ビデオによる事業報告では、海外中心に安全の確保や人材の教育に努めている、というアピールに力が入っていました。クオリティの向上ということですね。

株主質問で聞くまで知らなかったのですが、ブライダルツアーでちょっとした事件があったのですってね。ツアー開催の当日に、新築のチャペル(とホテル?)が完成しなかったとか。当事者は260組。代わりのツアーを用意しました、ということで、私も気がつかなかったということは、多分危機管理が上手く行ったのでしょう。

余談ですが、若いころNYからフランスへスキーに行った時のエピソードを思い出しました。大勢でアパートメントを一部屋借りるという形だったんですが、現地に着いてみたらその建物がどうしても見つからない。幸い現地の案内所に日本人スタッフがいて(さすがバブル期ですね)調べてもらったら、建物が建築中だった、ということがありました。世界の常識では珍しくないことなのかもしれません。

昨年、3カ月間の海外視察旅行に出かけたという澤田社長、その感想を質問されての回答。昔と今の旅行の違いはスマホの存在が大きい、と。スマホの利用がサービス開発の鍵、ということなのでしょう。それから、東欧の発展が印象に残ったとのこと。太陽光発電の関連施設も見て回ったようです。電力事業に対してもそこそこ意欲的。

何人かの株主が質問したのは統合型リゾート施設。例のカジノです。そのために定款に関連事業を加えてます。取り組みを質問されての回答は控え気味。まずは自治体が動かないと・・・と。でもやるとなったらちゃんと協力しますよ、当然メリットがあるし、というのがお答えでした。自治体にすれば、ハウステンボスのような絶好調のリゾート施設を地域に抱えながら手を上げないわけには行かないだろうし、HISにすれば当然期待に応えないわけには行かないということでしょう。

昨今は人手不足が深刻の度を増しているので、人材の採用に支障をきたしていないか聞いてみました。採用には困ってません、とのお答えでしたが、どうなんでしょうね。昔から人材の出入りが激しい企業ではないかと思われるので、状況の変化を感じないだけかもしれません。或いは人事的ノウハウが貯まっているのかもしれません。経験知というわけです。

「変なホテル」については、ホテル一軒あたり従業員何人で稼働できているのか聞きました。前回も似たようなこと聞いているんですね。その時は6人。今回も、予備人員含めて7人ですから実質は同じなのでしょう。安全のための規制などもあるでしょうから、減らせるだけ減らすというわけにも行かないのかもしれません。とはいえ、この事業は柱の一つになっていくという勢いが感じられます。都心部に新しく2軒オープンしたらしいので、是非一度泊まってみたいものです。

最後に質問した株主、お土産のカステラ、2本にしてくれないかなあ、というのはご愛敬。澤田さんは、2本はちょっとと言いながら、来年は「金のカステラ」にしてもいいかな、なんておっしゃってましたが。

ところで、株主総会の部屋の隣に、相談センターのような場を設けていました。これはNTTドコモにもありましたが、一種のクレーム対策なんでしょうか。消費者相手のサービス業では、株主質問にクレームが混じるって、割とよくあることでしょうからね。総会の場でクレームが出たら、終わってから隣で伺います、と言えるわけです。今日は特に出番はありませんでした。

→2017年の株主総会



タグ:株主総会 HIS
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三菱電機の株主総会 ~ 長年保有しているのに初の出席 [株主総会]

6月28日、今シーズンの株主総会集中日は、三菱電機を選びました。長年保有していて好きな銘柄なのに、総会に出るのは初めて。集中日にやっていることが多いのでしょうね。

開会の前に、総会の様子は撮影してメディアに公開されます、とひと言。ホームページで公開されるのでしょうか。こういうおことわりを聞くのはじめてです。総会を公開するという会社は今のところあまり聞きませんね。結構あるのでしょうか?

事業報告に続いて、社長から経営戦略についてのプレゼンテーション。経営戦略の中に「社会貢献」を組み込んでます、という話と、あとは普通に事業戦略。どんな技術に強いとかどんな分野に注力するとか。そして数値目標。少し特徴的なのは、知的財産活動に力を入れているという項目でしょうか。

株主質問の冒頭、4名の株主から寄せられた事前質問に回答。①職場環境・労働時間管理について。②女性の登用について。③防衛産業について。④製品に不具合があった場合の対応について。・・・それぞれ回答がありましたが、まあ通り一遍というか、特筆すべきことはありません。ただこれらの項目は、その後の株主質問でも繰り返されました。

特に労務関連の質問は何度も繰り返されました。いくつも訴訟を抱えているようで、個別案件に通じているらしい株主からの質問もありましたし、純粋に株主的観点から、労務管理をちゃんとやってもらわないと困る、企業価値を毀損する、という発言もありました。あまり注意を払っていませんでしたが、労務関連のトラブル、特に多いのでしょうか。

労務関係については、働き方改革ちゃんとやってます、パワハラについては内部通報制度あります、というぐらいのことで、特にユニークな方策があるとも思えません。昨今話題の「裁量労働制」の導入には否定的なようです。完全終身雇用・年功序列で人事が出来ていてこの状態を存続させたいのであれば、裁量労働制がしっくりこないのは当然でしょう。こういうところをみても、如何にも体質の古そうな会社です。

女性の登用については、新聞や雑誌の記事で見かけることもありますし、長年勤めている女性の友人もいるので、可もなく不可もないと思うのですが、株主総会をこうして聴いている限りは、先進的な雰囲気からは程遠いというのが正直なところ。女性の取締役は社外に1名のみです。大企業で年功序列から女性の取締役が出てくるにはまだかなり時間がかかる、とはこれまでも何度か書いていますが、この会社ではすでに事業所長級で4名、部長級で13名女性がいらっしゃるとのことですから、意外と早く誕生する可能性もありますね。

株価が低迷しているから不満だ、という株主がここでもいらっしゃいました。会場からは、不満なら売ればいい、という野次が。私なら逆に買えばいい、と思いますけどね。回答は、事業戦略を確実に実行して価値向上を図るのみ。情報開示やIRも頑張ります、ということでしたが、それでよいと思います。自社株買いや消却という予定は当面なく、配当で還元します、とのこと。投資したい案件がたくさんあるから、自社株買いで資金を減らしたくはないということです。

中期計画の収益力目標が低すぎるのではないか、という指摘もありました。2020年までに営業利益率8%がその目標です。昨年度は7.2%、傾向的には7%をはさんで横ばい状態、という感じでしょうか。確かに野心的な目標とは言い難いですね。RoEの目標も、現状より低い「10%以上を継続すること」ですから、現状にほぼ満足と言っているようにも聞こえます。

この会社の収益構造というのは、ファナックのやっているようなFA部門、この会社では産業メカトロニクスとなっていますね、ここで利益の半分以上を稼いでしまって、あとは収益性の低いその他の部門をどうコントロールするかってことなんでしょう。因みに産業メカトロニクス部門の利益率は13%、次いで売り上げの大きい重電システム部門はたったの4%です。FAの部門も、ファナックははるかに高い利益率を稼いでますから改善の余地はあるのでしょうけれどね。数字だけが目標ならば重電部門を小さくしてしまえばよいわけですが、それは企業として目指しているものが違うということだと思います。

さて、総会の進め方について、社長のリーダーシップを感じない、もっと社長が自分で答えてほしい、という株主がいらっしゃいました。一方で、露出度の高い社長がいいわけではない、という株主も。私はどちらかと言えば後者ですね。何でもかんでも自分でお答えになる社長は、どうしても独善的というか、細部についてはいい加減に答えている、という印象を受けます。今回のケース、社長は初めにまとまったプレゼンテーションをなさっているわけですし、担当ごとに役員に幅広く割り振って答えさせるというのが正しいと思います。壇上の役員の皆さんがしっかりお仕事なさっているところを見られる方が好ましい、というのが私の感じるところです。

それにしても、三菱電機の株主総会自体、特に褒めるような点はありません、残念ながら。それなのにどうして好きな会社なの? という話はいつか改めて書きますので。

総会を終わって、部門ごとの展示パネルの前を通ると、利益の6割を稼いでいる産業メカトロニクスの展示はすごく小さくて見ている人もいません。収益構造のところでも触れましたが、利益率の低いところをどうやるかが重要なんですよね、多分。せっかくなので、解説のスタッフに、AIの技術がFAシステムにどう生かされるか、解説していただきました。

今年のハイシーズンは、この総会が最後です。

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日産の株主総会 ~ 株主質問は抽選制 [株主総会]

配当利回りが高いということで、このブログにも取り上げた日産自動車。株主総会は初めてです。横浜はちょっと遠いので。

何千人も出席するような巨大会場での総会は、入場するのに時間がかかることがよくあるので早めに行った方がいい、と思ってはいたのですが、予定していた電車に乗り遅れ、着いたのが10分前。受付のある1階から議場の入り口の2階に上るエスカレーターがボトルネックになっていて、滑り込みセーフでした。余裕があればドリンクコーナーで一服したかったところですが、あれ以上遅れたら、第二会場になってしまいます。臨場感が全然違います。

入り口に向かう途中には、素敵な制服に身を包み笑顔で株主を迎える女性スタッフが数名。そういえば日産には「フェアレディ」という女性たちがいましたよね?就職したころ、高校の友だちがフェアレディやってるらしいと風の噂でききましたが、要はそれは美人です、ということを意味していたわけです。会場でそういう女性たちに迎えられて微妙な気分というか、タイムスリップした感がありました。この総会での女性の位置づけは、他とは違うものがあります。(正しくは「ミス・フェアレディ」だそうです。)

ゴーン会長が英語でお話になるので、同時通訳がイヤホンを通じて提供されます。でも慌てて滑り込んだため、どこに機械があるのか分からず、ま、いいやってことでゴーンさんのお話は英語でそのまま伺いました。ネイティブじゃないので、ややこしい英語表現もないし、早口にもならないので分かりやすいです。

日産の総会のやり方は、他では見たことのない点がまだあります。招集通知に事前質問用紙が同封されていて、総会に間に合うよう返送するようになっているのです。それらの中から多くの株主が関心を寄せている事項を取り上げて回答するわけです。まずゴーン会長が、日産・ルノー・三菱自動車のアライアンスによるシナジー効果について語り、そのあと西川社長が、去年の不適切検査問題について話しました。

当日の株主質問も、整理券配布のうえ抽選という、他では見たことのない方式。壇上で、あの素敵な制服の女性が箱から番号を取り出すのです。通常の総会のように、事業報告の内容を聴きながら質問を考える、というのは許されません。そして始まる前から「総会は2時間で終わらせたい」と言い渡されます。

こうした運営の仕方は非常に現実的で、多くの出席者にとってはありがたいでしょう。あまりに長い総会は疲れますからね。でもそれでいいのかな、という気分は残ります。実際会場では「全部質問させろ」という野次が飛びましたし、質問時にも異議を唱えた株主がありました。これだけの巨大総会になると、質問が尽きるまで延々と、というのも難しいでしょう。せっかく事前質問を受け付けているのですから、大きなテーマだけに絞らないで、もう少し事前質問に答えるという形で時間をとればよいのではないでしょうか。むしろそちらをメインにするぐらいで、会場からの質問は賑やかしのおまけ、という位置づけでもいいのかも。…なかなか難しいですね。

抽選制による質問、最初と2番目は女性でした。最初の方は環境問題、2番目は自動運転装置について。この「自動運転装置は価格の低いクラスにも付きますか」という質問、壇の下にいらした「星野さん」という女性が、国内販売の責任者としてお答えになりました。この方、あの星野リゾート社長の奥さまですよね? 余談ですが、経歴を改めて見てみたら、日産にスカウトされる前にいらしたマーケティングの会社って「インテージ」だそうですね。私も株主総会に何度か行ってます。

ゴーン氏応援団という感じの株主から、ゴーン会長に「会社は社会とどうかかわるべきか」というテーマで話してください、という質問。いわゆる「ESG」に対する考え方、ということだと思いますが、ゴーン氏の答えは、まずProfit次がGrowth、それから「社会の直面するBig Challengeをサポートすること」とまとめられました。この回答はまさに我が意を得たり、ですね。会社なんだから、利益が無くちゃ始まらない。この辺り、とても良いスピーチだったので拍手したかったんですが、メモするためにペンを走らせていたら、さっさと次の質問に移ってしまいました。この時に限らず、この総会は拍手があまりありません。最初の方の会長や社長のスピーチでも聞かれませんでした。普通それなりのスピーチの後では拍手するものだと思いますけどね。

そのほか、外国人研修生の労働問題、広告支出の問題など。

事業内容には全く触れない総会メモになってしまいましたが、実際印象に残るほどのものが無かったということ。業況が悪いという意味ではありません。一つ付け加えますと、日産の招集通知の書面、最も古典的なタイプです。モノトーンでほとんど文字だけ。分量も今シーズン受け取ったものの中で、一番薄いんじゃないかと思います。ここまで極端だと、それなりの主張を感じますね。

予定通り2時間ほどで閉会。ひと渡り車の展示を見て外へ出ると、潮風がいい気持ち。海はいいですねー。

 →日産自動車の配当利回り 
 →悪い話が出た時は

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三菱商事 ~ 優等生とはこういうもの [株主総会]

6月22日㈮ 三菱商事

招集通知の事業報告、見やすくできていると思います。セグメントごとの純利益を前年と対比している図とか、キャッシュフローの前年比とか。事業戦略も整然とまとまりすぎてるぐらいきれいに図示されています。如何にも優秀な人が作っている、という感じ。

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コーポレート・ガバナンスについても、かなりスペースを割いています。取締役会と監査役会以外に社外役員を中心とする「ガバナンス・指名・報酬委員会」というのがあって、以前初めて見た時は、すごく整っているという印象を受けた覚えがあります。でもよく見るとこの委員会、取締役会の諮問機関で「提言」するのが役割だそうですから、特段の権限はないんですね。相談役や顧問については、フェードアウトを図ろうと努力していることは見て取れます。すぐには無理、という事情も読み取れるけれど。

3年前に出席した時もそうでしたが、ここの総会では出席票と一緒に、議案の賛否を書き込む用紙を渡されます。会場では拍手で議決ですから投票というわけではないんでしょうが、事後的に議案に対する賛否を集計するのでしょう。総会に出席すると賛否の表明が出来なくなるというのは考えてみればおかしな話ですからいいことですね。

株主質問で、「社外」「独立」取締役候補として三菱重工の会長が挙がっている件、指摘されました。人事担当の役員の回答は、「独立の要件を満たしているからいいのだ」ということと、「三菱商事のことをよく分かってくれているから相応しいのだ」ということ。でも「社外・独立」というのは、よく分かっている人が果たすべき役割なのでしょうか? 会社のことをよく分かっている方がいいのなら、社内の取締役と変わりませんよね。…ということで、先ほどの賛否表明用紙には、この方だけ反対表明しておきました。あとで前回出席した時のメモを見たら、私はその時も「グループ会社出身で社外取締役・独立役員候補になっていた某氏のみ『反対』」と表明したようです。

事業の成長性を気にした質問もいくつかありました。AIやIoTをどう考えるか、とか、もっとスケールの大きいワクワクするような構想を語ってほしい、とか。そうしたワクワク感のあるプレゼンテーションには、この社長はあまり向いてないでしょうね。表情が硬くて謹厳実直な感じ。質問に対する答えは、最初に触れた「整然とまとまりすぎた事業戦略図」ということです。ワクワクする話はそれこそソフトバンクに任せておけばよいので、私は特に不満はありません。

今年から廃止となった総会みやげも話題に上りました。出席者が大幅に減少したのはそのせいなのでしょう。総会の場では半減くらいか、という話になっていましたが、先ほどどなたかがSNSに投稿なさってた記事によれば、6000人超から1000人割れへの激減だそうです。いやはや、効果てきめんというべきか…。お土産目当てに参加する株主が減れば、まじめな株主にはより対話の機会が増えて良い、とのお答え。質問できる確率が上がるということですね。個人株主数が減っているのは気にならないのか、という質問もありましたが、株価が上昇基調にある時は、短期保有の株主が利食い売りで減りますからね。

女性の役員がいませんね、という質問。これは時代の要請ですからどこでも出る質問ですが、あと10年くらいはかかりますよ。年功序列が最後まで残るタイプの会社ですから、役員人事も例外ではあり得ません。現在、役員で一番お若い方が私より3期上です。雇用機会均等法は私の2年後から始まっているので、単純に考えて最短あと5年ですね。質問への回答では、女性総合職の採用がそれなりの規模に達したのは2000年代に入ってからだそうなので、現実的にはやはり10年以上はかかりますよね。当面は社外取締役制度を利用してダイバーシティを確保していただくしかありません。現在部長に到達している女性は5名、管理職の10%、採用では25~30%が女性だそうです。

配当は、現在の配当金額をよほどのことが無ければ減らさない、という「累進配当性」だそうです。傾向的に増えてくれれば、そこまで硬直的にする必要はないんですけど、業績が悪くても減配にしなくて済むくらい、財務に余裕があるということなんでしょう。悪いことではありません。今期もまた増配の予定です。

帰りに、旧知のベテラン・アナリストに遭遇。彼の眼にはどう映ったんでしょうね。

→ 2015年の株主総会
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