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資産運用は百人百様 [投資スタイル]

資産運用について語る時に私がいつも言うことですが、投資や資産運用の仕方に「正しい」「正しくない」というのはありません。個人の事情や考え方の違いによって、投資も資産運用も千差万別でいいのです。

昨今資産運用についてある程度学んでいる人は、幅広く投資するインデックスなどの投資信託を主に、そして付け足し程度に個別銘柄を持つのがよい、と教わっているのではないでしょうか。株式投資に興味がない、時間を割きたくないという多くの人には、インデックスを中心に資産を構成するのが賢明な方法だと私も思います。でもそこで確認しておきたいのは、それが正しくてそれ以外はダメな運用法、というわけではないということです。

私自身は日本の個別株を中心に保有していて、外貨資産の比率はかなり低く、債券は、特に国内についてはほとんど持っていません。こうした資産配分は、多分教科書的なやり方からはかけ離れているかもしれません。しかし私はそれなりに考えて、十分な理由があって、こうした資産配分にしているわけです。

日本株について投資信託を買わないのは、自分でできることを他人に手数料を払ってやってもらうのは合理的ではないし面白くもないからです。外貨資産が少ないのは、外貨を持つということが、それだけで十分に大きなリスクだと考えるからです。時価総額比率に従って日本株の配分を8%にする、などということは全く考えません。過去にはほとんど米国株しか持っていなかったこともありますが、今は日本株にも十分保有するに値する企業がたくさんあります。債券にしても、内外の利回り格差はかつてに比べると魅力的ではなくなりました。

インデックス投信の類は、マーケットが急に動いて銘柄選択する余裕がない時や、自分で銘柄選択できない海外のマーケットを買う時に少しだけ利用します。どうしてもインデックスを買うと、本来持っていたくない銘柄の方が、持っていたいと思うような銘柄よりも多くなってしまうからです。

今日ここでは、自分の資産は自分に合った方法で運用すればいい、と言いたいだけなので、資産配分の話はまた別の機会に。個別銘柄に投資することは、別に時代遅れな運用方法でもないし、必ずしも効率の悪い運用というわけでもありません。興味があるかないか、ある程度時間を割けるかどうか、そしてリスクをとる余裕があるかどうか、それだけの問題です。大切なのは、どんな方法でもちゃんとリスクが管理できていること。こうしたことがクリアできる方は、ぜひ株式市場に参加していただきたいものです。

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伝説のチャンピオン [投資スタイル]

今年最後の1日です。もうマーケットもお休みですから、今日は肩の力を抜いて、イマドキの話題で。

今話題の、と言えば、社会現象にさえなっている映画、「ボヘミアン・ラプソディー」。私も、この世代としては見ないわけにはいくまい、ということで、遅ればせながら鑑賞してまいりました。当時熱心なファンということはありませんでしたが、「ボヘミアン・ラプソディー」という曲には度肝を抜かれたものです。なんと今も家の棚にシングルレコードがあります。

これからご覧になる人もあるでしょうから、映画の中身については語りませんが、終章のライブで「伝説のチャンピオン」を歌う場面があります。その歌詞の中に「No time for losers」というくだりがあって、過去のプロデューサーのひとりがチラリと画面に映るのですね。その人物は、ボヘミアン・ラプソディーのシングルカットを認めようとしなかった人物です。少しのリスクをとらなかったために、大きな果実を取り損ねたのです。

その時私の脳裏には、投資すればよかったのに、または売らなければよかったのに、逃してしまった大きな魚の名前がいくつか通り過ぎたのでした。過去の株式投資での失敗として思い浮かぶのは、ほとんどがこうしたものです。買って損したことはほとんど忘れてしまっていますが、「買えばよかった」「売らなきゃよかった」は忘れません。なぜならそういう銘柄は大きく育って、いつでも私の目に入るところにあるからです。そしてその金額も、投資するはずだった金額の何倍にもなっているからです。

これから株式投資を始めようという人は、買ったものが下がるのは怖い、と思っていることでしょう。でも考えようによっては、それはたいした「損」ではないのです。全財産を賭けるようなことさえしなければ、という条件付きですけれど。

ところで、ネット検索してみると、実際はボヘミアン・ラプソディーのシングルカットを巡る移籍という事実は無いようですね。ある程度フィクションを織り交ぜた映画ということなのでしょう。

それでは皆さま、良いお年を。

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落ちてくるナイフを掴む [投資スタイル]

今日は(正確には昨日ですね。日付が変わってしまいました)三連休明け、株式市場は暴落に近い下げを演じました。
今朝のCS放送では、配当利回りに注目しましょう、といった話をやっていましたが、テレビの類は相場が悪くなると配当の話をするんですね。でも本当は、相場が良くても悪くても配当に注目していてください。配当をもらうために投資するのは基本のひとつだからです。そしてもし配当が増え続けるならば、それは優秀な企業だからです。

相場は本格的に悪くなってきました。まだ下がるかもしれない、とは思うものの、今日は何銘柄か買いました。もっと安く買えればもちろんその方がいいけれど、この配当利回りなら十分かな、と思う銘柄を選んでいれば、それ以上の贅沢をする必要はありません。今日の投資で、私の来年の年俸はまた何万円か増えたわけです。買った銘柄の配当収入のことです。

4%台半ば以上の配当利回りが得られる銘柄は数多いので目移りしますが、日産の7%近くというのは、やはりちょっと異常値という気がします。会社で異常なことが起きているのだから当然とも言えますが、異常なものはそのうち正常に向けて修正されるでしょう。

修正される道筋は2つ、配当が減るか株価が上がるかしかありません。日産に限らず、配当利回りが高すぎると思う銘柄を選ぶならば、考えるべきことは同じです。「配当は減るだろうか?」・・・日産がどうなるか予想しようなどというのは時間の無駄かもしれませんが、「配当が減るか?」に絞って考えると、必ずしもその確率は高くないように思います。それに、少しぐらい配当が減ってもまだ十分高いでしょう。

その他にも、設備投資関連を一つ、レジャー産業から一つ選択しました。電話会社もいいと思いますが、料金を下げるという話もありますし、ソフトバンクがあれだけの額出てきているので、急ぐことはないという判断。

繰り返しますが、まだ下がるかもしれないけれど、だから買わない、という結論には必ずしもなりません。底がどこかという予想は難しいというのもそうですし、本当に底が近いと思う時に、自分は株価を見ている暇があるとは限りません。毎日こればかりやっているプロとは違いますから。

「落ちてくるナイフをつかむな」などと言いますが、つかんでもいいんです。今日の時点で配当利回りが十分高くて、今後配当が減り続けるような事態が予想されないならば、株価がまだ下がってもまた戻ってきます。まだ下がっても、売らなければ損ではなくて評価損にすぎません。プロではないのですから、誰にも評価損を公開するわけではありません。落ちてくるナイフを、分厚い手袋でもしてつかめばよいのです。


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成長株は高い、でも投資したい [投資スタイル]

半年ほど前に、「バリュー株」について書きました(4月2日付)。そこで私がバリュー株の要点として挙げたのは、「成長性に対する期待を織り込んでいないこと」です。

これに対して株価が成長性を織り込んでいる株が成長株」です。株価がどうであっても企業が成長すれば「成長株」ではないのか? と思われるかもしれませんし、そういう定義をしている投資家や運用者もいるかもしれません。しかし私の定義はあくまでも織り込んでいるかいないかであって、成長するかしないかではないのです。

なぜならば、成長するかどうかなんて、誰にも分からないからです。成長する、という期待は人によって違います。誰でも成長すると思えば成長株、というのでは、あまりにも主観的です。これに対し、「市場が成長すると認めた株」であれば、ある程度客観的な基準と言えるでしょう。非常に未発達な市場であるならばともかく、少なくとも先進国市場であれば、株価は市場のコンセンサスを反映します。

さて、成長株の定義についてはこのくらいにして先に進めましょう。私は基本的には、バリュー株投資の考え方の方が個人の資産運用には向いていると思いますが、個別の株式に投資するなら成長しなくちゃ面白くない、と考えるのも、ある意味自然なことです。何しろ成長するものは、買ったときは高いと思っても本当に10倍にも20倍にもなりますからね。

そこまで欲張らなくとも、成長株には投資したい。そこで、投資するならばどんなことを考えて投資すればよいのかというお話です。こういうことには「正解」はありません。高いと分かっていて買う、つまりリスクの高いものに投資する時の心の持ちよう、というぐらいのことです。

繰り返しになりますが、成長株の株価は高いのです。でもその分成長すればよいわけなので、一般的にはPEGレシオなどというものを持ち出すことになります。ふだん皆さんの使うPER(株価÷EPS)を、さらに成長率で割ったものです。成長率が高ければこの指標は低く出てくるわけですね。

問題は、この「成長率」が分からないということなんです。特に高い成長を期待しているということになると、新しい技術であったり、これまでになかったビジネスであったりすることが多いわけですから、通常の利益予想以上に困難です。これは予想を生業とする人だって、本当のところはよく分かりません。分かっているのは、今稼いでいる利益と持っている資産だけなのです。

まだほとんど利益を出していないのに、この市場はとてつもなく伸びるはずだといって買われる成長株もあります。そういうケースの株価は評価不能です。評価できるのは技術だけ。それでも投資するならば、100%失ってもいい、くらいの感覚で買うべきです。技術と経営は別物ですから。私の印象では、一般の投資家の場合、こうした銘柄でいい目に遭うというのは、かなり運のいい部類でしょう。

私が買うとすれば、少なくともあるていど継続的に利益が出ているレベルの成長株です。技術なりアイデアなりを、利益にするビジネスモデルが出来ているということですね。足元のPERで数十倍というイメージ。本当に成長するかどうか分かりませんが、分からないとは言っても、真っ暗闇を突っ込むというのもよろしくないので、こんな頭の体操をしてみましょう。

たとえば市場の平均がPER15倍の時にPER50倍で買われている成長株を想定します。平均よりも3.3倍高い評価です。それってどのくらい高いのでしょうか。市場全体では比べにくいので、代わりにPER15倍の銘柄AとPER50倍の銘柄Bを比べてみましょう。銘柄Aの株価が1000円であれば、その企業のEPSは約6.6円です。銘柄Bの株価が同じく1000円であれば、そのEPSは2円です。銘柄BのEPSが、どのくらいの成長率で何年ぐらい成長すれば、銘柄Aに追いつくかな、と考えるのです。

PER15倍の銘柄Aにはどのくらいの成長を期待しますか? 中長期のトレンドとして年2%ぐらいでいいでしょうか。年率2%で例えば10年間ならば、6.6円だったEPSは8円になります。銘柄Bの2円のEPSが10年後に8円になるには、年率で15%弱伸びる必要があります。5年で追いつこうと思えば、30%弱という計算になります。

実はこういう計算結果に特に意味は無いのです。数字の根拠も特にありません。現在の株価は、10年間15%ずつ利益が伸び、その時点で市場平均並みのPERになった水準、ということが分かっただけで、本当にそういうシナリオを想定しているわけでもありません。ただ、どのくらい高いものに投資しようとしているのか自覚するためにやっているわけです。PEGレシオにしても、単に銘柄同士の比較の目安にするだけであって、その数字には意味は無いのです。成長株というのは、それほど分からないことだらけだということなのです。

投資を決める際にさらに考えることは、株価が急に半分になってもまだ成長性を信じていられるか、ということです。別の言い方をすれば、市場の空気だけで強気になってはいないか、ということです。株価が急に下がるというのは、何らかの理由で市場が成長性について不安になる時です。それを見てさらに買おう、と思えるぐらいの自信がなければ、投資するべきではありません。そのためには、その事業について自分なりに調べて、理解していることが必要です。下がっている時に買う、というのはいわゆる「逆張り」ですが、それは「市場より自分の方がよく知っている」という態度なわけですからね。


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新興国投資は冒険的投資 [投資スタイル]

先日友人と食事をした際、話題がトルコリラ新興国通貨のことになりました。まあこれだけ話題になっているから自然な流れではあります。そこで友人が言うには、トルコリラというのは三十数年の間に価値が50万分の1くらいになっているというのです。その場は、80年代にトルコリラで借金してアメリカの不動産買ってたら凄かったね、トルコの大金持ちとか、本当にやってるだろうね、なんていう話で盛り上がったわけです。

こういうエキゾチックなものの値動きは見慣れている私でも、さすがに50万分の1というのはマジですか、と思い、何とか裏をとろうと検索してみました。すると、1991年の年初からトルコリラの対円レートを載せている「為替ラボ」というサイトが見つかりました。また、Wikipediaの該当ページには、1974年から2004年8月までの対ドルレートが載っています。信頼性についてはよく分かりませんが、これしかないのでこれらの情報が正しいという前提で継ぎ合わせ、簡単に試算してみました。すると、1987年末からは約7200分の1、1979年末からでは34万5千分の1、さらに1年遡るごとに、59万5千分の1、62万8千分の1、という結果が出てきました。過去40年で見ると、50万分の1は誇張ではなかったのです。

誤解を招くといけないので触れておきますが、これだけ通貨が下がる間には、多分激しいインフレになっているでしょうから、通貨価値が下がっても、トルコの資産が同じように下がっているわけではありません。ここで「購買力平価説」の解説をするのはやめておきますが、インフレ率が高い国の通貨が下がる、というのが基本です。でも、海外から外貨という形で投資すると、通貨価値の下落がほぼそのまま効いてくるでしょう。

私の場合、初めての新興国投資は80年代末ごろのインドネシア株なので、かれこれもうすぐ30年、新興国マーケットを見てはいるわけです。その間アジア金融危機がありましたし、中国経済の高成長、新興国株の急上昇からリーマンショック、と大きな動きを経て今に至っています。そして一応達した結論は、「新興国投資でリスクに見合ったリターンを上げるのはとても難しい」ということです。


過去20年くらいの間で最も成長が華々しかったのは、多分2000年代初頭からの中国経済でしょう。もし良いタイミングで投資できていたら、結構利益が上がっているに違いない、と思いませんか? リーマンショック直前の新興国バブルが始まる前に上海の株価指数に投資したとしたら、どうなっているでしょう。

そこで2000年ぐらいからの株価指数のチャートを眺めてみました。そこから新興国バブルが来る前までの高値は2001年で2200辺り、安値は2005年で大体1000ぐらいです。その中間あたりで買えたとしましょう。すると1600ですね。直近の上海株価指数は2750ぐらいですから、ごく単純に70%の上昇です。

同じように日経平均がどうだったか試算してみましょうか。同じ時期の高値と安値の平均は約14000、そして直近は22500辺りですから、上昇率は60%です。先進国のなかで全然パッとしないはずの日本株でも、上海の指数と大して変わりませんね。中国に投資して負っているリスクを考えたら、結果的に割のいい投資であったとは言い難いのではないでしょうか。為替はこの間それほど大きく動いていませんが、それは結果論、時として大きな変動要因になります。資本主義経済と言っていいのかどうか分かりませんから、政治的不透明感も強く、数値化し難いカントリーリスクがあります。

最も上手く行ってそうに思えるマーケットでこんなものです。もちろんそれは結果論ではありますが、新興国が難しい理由はいくつか考えられます。株式市場が未発達なので、上場株に偏りがある、流動性が小さい、政治の介入が起こりやすい、政情不安が起きやすい、などの可能性があります。また情報が得にくく、投資に必要なデータが揃いません。海外の投資家、特に個人投資家に情報が届くころには、売買のタイミングをとうに過ぎてしまっている可能性も高いと思います。

私個人は、アジア金融危機で保有していたアジアの株も大きく下がり、羹に懲りて、ではありませんが、その後は新興国投資熱がすっかり冷めて、静観しています。インドネシアに最初投資した時に考えたことは、別に間違ってはいませんでした。人口が増える、資源も豊富、だから成長ポテンシャルが高い、等々。ただ、株式投資はそれだけで上手く行くようなものではなかったということです。アジア危機で潰れてしまったらしい(情報がないのでよく分かりません)銘柄もあれば、過去10年で回復して10倍ぐらいになっている銘柄もあります。いずれにせよ、リスクとる価値は無かったな、というのが正直な感想です。

新興国投資は冒険的投資。楽しいけれど、老後の蓄えと思って手掛けるには向いていないでしょう。通貨が50万分の1になってもらっちゃ、もう笑うしかないですね。


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「値動きの激しいものはリスクが高い」ことについて [投資スタイル]

資産運用や投資について語る時、「リスク」の説明は欠かせません。

リスクとは何ぞや?・・・リスクというものを正しく理解してもらうにはどうすればいいのか。これはちょっとした知的なチャレンジです。資産運用における「リスク」については、様々な解説がされていますが、誰もが知恵を絞って工夫を凝らしているのが分かります。標準的にはリスクとは「不確実性」であって、一般に値動きの大きいものはリスクが大きいのだ、という説明になるでしょう。数学的センスのある人々は、事象のばらつきとか、標準偏差という表現を用いるとピンとくるのかもしれません。

私も不確実性、つまりどうなるかわからないことがリスクなのだ、という説明をします。値動きの大きいものはリスクが高いのだ、という説明もしてきました。ただ、この説明でよく分かった、すっきりした、という分かり方をする人がどれくらいいるのかな、と考えてしまうこともあります。値段が大きく上下する株の方が、少しずつ動く株よりもリスクが高い、つまり「投資成果がより不確実」と言ってもいいでしょうし、「明日の株価がより当てにくい」と表現してもいいかもしれません。投資の世界に慣れきってしまうと、疑問の入り込む余地もないわけですが、こうした説明で「そりゃそうだ」とか「納得!」という感じになりますか? 

「リスク」を投資初心者にどう説明するか、あれこれ模索している時にふと気づいたことがあります。「値動きの激しいものはリスクが高い」というより、「リスクをとっているから値動きが激しくなるのだ」ということです。「株主」」と「債権者」を比べてみるとそれが分かります。

企業に融資している債権者は通常、業績が良くても悪くても貰える利息は同じです。ですから企業の業績が良い悪いと言って、債券を売り買いする必要は生じません。ところが株主は、業績が良くなって利益が増えればその分株式の価値も増え、損失が出れば価値が減ります。配当も利益が出るか損失が出るかによって、増減します。

ある企業がすごく有望な技術を開発したら、それによって株式の価値が倍になるかもしれない、もしかすると10倍になるかもしれない、と思うから株式には多くの買い手が群がり、すごい勢いで株価が上がるわけです。でも巨額の開発費をつぎ込んだ研究が失敗するとか、スキャンダルが出たりとかいうことが起きると、株式の価値も大きく下がる、大損する、と皆思うから焦って売るわけです。株式の値動きは当然大きくなります。

それは「株主になる」ということが「損失を全部引き受ける代わり、利益が出たら全部自分のものにする」ということだからです。そしてそれは、債権者に比べて「大きなリスクを負っている」ことにほかなりません。大きなリスクを負っているから、値動きが大きくなるのです。「値動きの大きいものはリスクが高い」は結論的には正しいけれど、本来は順序が逆だ、というお話でした。

タグ:リスク
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「ゾンビ化」しない投信 [投資スタイル]

前回の最後に、長く続くファンドを探す、云々と書きましたが、出来ることは実はそれほど多くはありません。

既にお話したような、流行りのテーマに乗っかった投信を避けるだけでも、かなり違うと思います。テーマ型ではなくても、販売員が熱心に奨める新商品は、"ゾンビ化“(資金流出によって小さくなりすぎ、実質的に放置されること)する危険があります。購入を熱心に奨める販売員は、近々その同じ商品の売りを奨めて回る可能性が高いからです。逆にテーマ型であっても、すでに長く運用されていて、販売員が特段奨めてこないものならば良いかもしれません。

長い運用実績がある投信で、十分な資産額があり、資金の流出が続いている状態でないもの。運用方針はともかく、これだけの条件で絞れば、ゾンビ化を心配する必要はなさそうです。インターネットには「モーニングスター」というサイトがあって、投資信託のデータを見ることができます。条件を入力して絞り込む機能もあります。

たとえば、運用期間と資産の規模を条件に入れてみましょうか。ファンドの種類はETFなどを除く全ファンドとして、運用年数10年以上、純資産総額100億円以上、などと入れてみましょう。先ほどやってみた結果では、「カテゴリー」を国内株式型とすると83本の投信、国際株式型とすると64本の投信に絞られます。かなり小さなユニバースになりますね。

カテゴリーはほかにもありますから色々試してみたら良いでしょう。もちろん運用期間や資産額の条件を、もっと緩めても構わないと思います。資金の流出については、10年も続いていて資産が100億円以上ある投信ならばチェックする必要はないかもしれませんが、個別の投信の「リターン」のデータの中に、過去数年の資金の流出入という項目があります。

このデータサービスについて私が特別よく知っているわけではありませんので、説明はこのくらいにしておきますが、投資信託選びには役に立つでしょうから大いに利用すればよろしいと思います。

また、直販投信というカテゴリーも、検討に値します。ここまでのお話で「販売員が熱心に奨めるものは要注意」、と申し上げていますが、直販投信には販売会社がありませんので、販売員もいません。運用会社から直接購入するのです。こうした運用会社は、数少ない投資信託を継続して運用しているのが普通です。ですから一旦買ってもらった投資信託は、売ってほしくないのです。運用会社というものは、直販かどうかにかかわらず本来そういうものなのですが、販売会社が間に入ると様子が変わってしまうのですね。投資家と利害を共にする運用会社から直接購入すると、そういうわけで安心なのです。もちろん、運用方針や運用成績はまた別の問題ですけれども。

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投資信託っていっぱいありすぎる [投資スタイル]

私は特定の金融商品を奨める、ということは基本的にはやらないわけですが、先日セミナーに参加してくださった方が、投資信託の数が多すぎて選ぶことができず、そのせいで一歩を踏み出せない、ということをおっしゃっていました。

おっしゃることは大変よく分かります。何せ投資信託の数たるや、公募されているものが6200本ほどあるのですから。投信の数が多すぎるというのは、実際困った事態なのです。困るんなら減らせばよいではないか、と思われるでしょうが、ことはそう簡単ではありません。投資信託はしっかりと法的に守られた金融商品ですから、一旦できたものをやめるには、それなりの手続きが必要です。そのためにはコストがかかるのです。

全体の本数は多くても、中には規模の小さい投信も多く、実質的にきちんと運用されているのか不安を覚えるものもあります。あまりに規模が小さいと、運用が困難になるからです。特定の投資信託に意見を求められる時に、一番気になるのはこの点です。この投信、良いと思いますか? と聞かれて、運用方針や銘柄選択などに問題が無いように見えても、この先の資金の流出入までは、事前に評価できません。

今後長きにわたってきちんと運用される投信かどうか、予想する方法が特にあるわけではありませんが、過去の経験からはいくつかのことが言えると思います。

残高が減りやすいパターンの代表格は、特定のテーマを設定した投信です。こういう投信、とても多いのではないでしょうか。流行りのテーマ、例えば最近ならば「ロボット」「AI」「女性応援」「フィンテック」「インバウンド消費」等々、経済のトレンドや時流に乗って、明るい未来を感じさせるものがピックアップされています。誰もが「成長しそう」「将来にわたって続きそう」と思うテーマの、どこがいけないのでしょうか。

こうしたテーマに魅力を感じる人は多いので、投信を販売する側から見れば、売りやすい商品と言えるでしょう。販売会社が売りやすい商品を売ろうとする。まあ当然と言えば当然ですね。そして結果的に人気商品となって、多くのお金が集まったとしましょう。集まったお金を任されるファンド・マネージャーは、与えられたテーマの銘柄に投資します。これも当然ですね。でも、そのテーマの投信がよく売れるぐらいですから、そうした株式の銘柄も、当然人気化して高くなっているのです。

常に、というわけではありませんが、特定のテーマのファンドがよく売れる時期というのは、そのテーマの銘柄は、一旦ピークに近くなっていることが多いものです。それも考えてみれば当然です。もちろんテーマに実体があり、長期的なトレンドとして間違っていなければ、株価が一旦ピークを打って下がっても、また上がって戻って来ることが期待できます。ですから、運用が長く続くことが大切です。

しかし、実際に起きていることはちょっと違います。テーマには当然流行りすたりがあり、時には半年やそこらで人気が離散してしまうこともあります。販売会社で人気商品を奨めた販売員は、同じように次の人気商品を奨めに来るでしょう。新たな人気商品を買う現金が無ければ、価格が下がって不安になっている旧来の投信を売るように勧めるでしょう。こうして人気とともに資金の流入した投資信託は、人気の離散とともに資金が流出し、規模が小さくなってしまうのです。

お金を預かるファンド・マネージャーにすれば、高くても買わざるを得ない、安くても売らざるを得ない、という運用を強いられることになります。幸いその手のファンドを運用したことはありませんが、運用する立場としては、なんとも残念なことです。そうやって小さくなってしまったファンドは、あまり手をかけられることなく半ば放置されている事態が疑われるわけです。「ゾンビファンド」なんて呼ばれたりもしますね。その一方で、流行を狙った投信がまた出てくるので、数ばかり増えてしまうということなのです。

そもそもテーマ株ファンドというのは、世間一般の「人気」に沿って銘柄選択の範囲を限定するので、運用のかなりの部分を、要するに素人の個人にやってもらっているのと同じです。せっかく報酬を払ってプロに運用を任せているのに、そのプロは、どの産業やセクターが「買い」なのか考えなくていいわけです。プロに運用を任せているというより、銘柄選択だけを任せているんですね。

テーマ型の投信はそういうものだ、ということで悪いとは言いませんが、短い期間で運用に支障が出るほど小さくなってしまうとすれば、そういうファンドは避けるべきでしょう。販売員が熱心に奨めるテーマ型の投信は、そういうケースが比較的多いと言えるんじゃないでしょうか。

では、長く続くファンドを探すにはどうすればいいのか・・・。かなり長くなってきたので、それは回を改めましょう。

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バリュー系の銘柄 [投資スタイル]

先日、とあるセミナーでお話した時、「バリュー系の銘柄、というのはどういう意味ですか?」という質問を頂いたので、ここでも簡単にご紹介したいと思います。質問なさった方は、ご自分の保有するファンドの定期的な運用報告の動画で、ファンドマネージャーが「バリュー系の銘柄を増やした」というのを聴いたのだけれど、それはどんな銘柄を増やしたということなのか分からなかった、ということでした。

私はその動画を見ていませんし、実際どのような銘柄を増やしたのか存じませんが、一般的に「バリュー株」と言えば、「割安株」ということになります。ただ、割安な株の定義はひとつではありません。基本的には利益、純資産、配当などが指標となりますが、それらを組み合わせたり加工したり、そこに運用者の創意工夫が盛り込まれる余地があります。

中にはかなり「バリュー株」を拡大解釈して、「このくらい成長するのだから割安だ、だからこれもバリュー株だ」という説明をする運用手法も目にすることがありますが、あまり拡大解釈しすぎるのは誠実ではないと私は思います。

私の考える純粋な「バリュー」の要点は、「成長性に対する期待を織り込まないこと」です。成長性というのは、予想するのがとても難しいものです。それに対して、足元で上げている利益、今手にしている資産、前期や今期の配当をもとに株の価値を分析するのは、難しいことではありません。そうした確実な指標に基づいて評価した株価が割安である場合、それは「割安株」「バリュー株」でしょう。

何かすごい技術を持っている、とか、どんどん成長しそうな市場に商品を供給している、とか、そういった銘柄は「成長株」で、ほとんどの場合、株価は高い評価を得ています。成長株は予想されたとおり、またはそれ以上に成長することが求められます。なぜならば、株価は既にそのつもりで高くなっているからです。もちろん本当に成長する企業は、業績が何倍にもなりますから、買う時点で株価が高くても問題ありません。問題なのは、本当に成長するかどうかなのです。期待を裏切れば、たとえ利益が伸びても株価が下がってしまいます

これに対し「バリュー株」は、ピカピカのストーリーを持たない株です。時代遅れのビジネスに見えたり、作っている製品が何の変哲もない物だったり、成長性が感じられない銘柄であることが普通です。あまり期待されないので、株価の評価も低いのです。ですから持っている資産の価額よりも株価が安かったり、配当利回りがとても高かったり、ということが起きるのです。企業が高成長することは、やはり滅多にありませんが、期待値が低い分、期待を上回る業績を上げることは難しくありません。期待を上回れば、その分株価の評価は上がるのです。

さて、ご質問の方は「バリュー系の銘柄」とおっしゃいました。どうやら純粋の「バリュー株」ではないのでしょうね。成長期待は織り込んでいるけれど、ピッカピカのストーリーではありませんよ、というくらいのニュアンスなのではないでしょうか。

写真は本題とは関係ありませんが、先日見た天野山金剛寺の枝垂桜。

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外貨を持たなくちゃならない? [投資スタイル]

先週末、「経ママサロン」を開催しました。
これは私の主宰している「経済に強いママを増やす会」で不定期に開催している、口コミベースのゆる~いセミナーです。
この日のお題は「個人型確定拠出年金(iDeco)」がメインで、経ママ仲間の岩城さんにお話ししていただいたのですが、そこから資産運用の色んな面に話は発展しました。その一つに「分散投資」、特に外貨分散、という話がありました。

教科書的な話をすれば、資産はできるだけ広く分散すべきで、当然外貨も持つべき、ということになります。聞かれれば私もそう答えるでしょう。しかし今現在、自分の資産に外貨を持っていない人は、たくさんいらっしゃると思います。資産運用について少し学んで、外貨を持つべきだ、と納得していただくのはよいのですが、あまり「外貨を持たなくちゃ」と、焦ることはないと思うのです。

このところ外貨建ての保険商品を勧める金融機関が多いと聞いていますが、どうみても大してお得ではない、というか全然お得ではない外貨建ての商品をつい買ってしまうのは、この「外貨を持たなくちゃ」、という意識からくる場合もあるのではないでしょうか。

外貨を持つということは、為替変動のリスクを引き受ける、ということです。最近は世界中低金利で、魅力的なほどの金利差を得られる機会も減りました。リターンが生まれるのは、主に円安になった場合です。逆に円高になれば損をするわけです。

さて、もしあなたが外貨を持っていない状態で円安になってしまったら、あなたは「ああ、外貨でとれたはずの利益を取り損なった」と思うでしょう。一方、外貨を持った状態で円高になってしまった場合、あなたはストレートに「損した!」と思うわけです。同じ損をするのでも、両者の感じ方はかなり違うのではないでしょうか。あなたが非常にソフィスティケイトされてグローバルな感覚を持った人物であっても、日本に住み、日本円で生活している限り、外貨で取り損なった得べかりし利益と、円建てて減ってしまった自分の資産を、同じ気持ちで感じることはなかなかできないと思います。

ですから私はいつも、外貨を持つのはいいけれど、ホームバイアス(自国資産を多く持つこと)大いに結構、と言います。自分でよくわかり、情報も豊富にある自国資産を多く持つことは決して間違っていません。近くにあってよくわかるものと、地球の裏側にあって何が起きているかわからない資産は、決して同列ではありません。

日本人として日本にずっと住んでいると、日本の悪いところは非常に目につきます。人口構成の問題、財政赤字や巨額の国家債務、企業の不正、国際競争力の劣化・・・。そこへ持ってきて外貨に分散投資せよ、と言われれば、外貨、外貨、と焦ってしまうかもしれません。しかし、外国に住めばこんどはその国の悪いところも見えてきます。どの国も地域も、それなりに色々な問題を抱えています。

現状の円の評価は、正しいかどうかは別にして、何か不穏な出来事があれば、世界中の人が日本円を買う、という状態にあります。不安なのは、何も日本人だけではないのです。また、外国為替の理論値は原則として、物価の上昇しがちな国の通貨が安くなります。ここで将来の物価動向を予測するつもりはありませんが、日本の物価が他国を大きく引き離して上昇する、という経済状態は、まだ当分の間起きないのではないかと私は思います。

私も外貨資産を持っていますし、海外に投資することを否定するつもりはさらさらありません。ただ、外貨に分散しなきゃ、と思うあまり、お得でもない外貨商品を買ってしまうくらいなら、円資産の上にどっかりと落ち着いていた方が良いと思いますよ、というお話でした。

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