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個人投資家でよかった [投資スタイル]


ここひと月あまりは、マーケットについての話になると、つい「どうして株価がこんなに強いの?」ということが話題になります。そう思っている人はきっと多いでしょう?

これがこの先どうなるかというのはとりあえず置いておいて、足もとで株価が上がっているのは、株式の需給が異常なほど良くなってしまったから、というのが一番良い説明かな、と思います。株式を売りたい人がそれほどいないところに、買いたい人が急に増えたというわけです。

新型コロナウィルスの感染拡大が始まって4月の初めごろまでは、この先どこまで悪くなるのか分からない、というのが社会の空気でした。3月に株価が大きく下落したのは、そんな空気を反映したものだったと思います。月末の動きは、決算期末という事情も影響していたでしょう。株価にとって一番良くないのは、この「どこまで悪くなるのか分からない」という時で、事態が「すごく悪いということがわかる」時ではないんですね。ま、振り返って言うのは簡単ですが、緊急事態宣言が出た後は、「すごく悪いということが分かった」気分に、どんどんなって行ったように思います。

需給が良くなった要因は、まずは株式を買うための資金が急に潤沢になったこと。そりゃそうです、13兆円近くを給付金として投げ込むんですから。報道によるとそのうちすでに4兆円近く支給されているようです。すぐにでもお金が必要な人のための給付金ですが、実際はもらってもすぐに使わない人がたくさんいるであろうことは、想像に難くありません。直接株式投資に回るのはほんの一部でしょうけれど、金融機関に預けた分も、現金のままそこに眠っているわけではありませんから、株式市場にも流れ込んできます。

需給はよいのですが、高みを目指してまだ当分上がり続けるのかと言われると、多くの投資家は答えをためらうのではないでしょうか。そこで冒頭の問いになります。どうしてこんなに上がるのだろう、と。

長い道のりをのんびり行こうという個人投資家であれば、こういう時は何もしなくて良いと思います。でも、機関投資家のように顧客のお金を運用している身であれば、そうのんびりとも構えていられません。3月までの下落相場で株式の持ち分を減らした向きも多かろうと想像しますが、そうなるとこんな時は大変です。

「持たざるリスク」というのは、長期的には個人投資家にも当てはまりますが、機関投資家は短期的にも、年がら年中このリスクに向き合っています。毎月、毎四半期、毎年、と期末には運用報告をしなければならないからです。

たとえば今であれば、6月末は四半期末でもあります。3月末から大きくマーケットが動いている。その間株式の保有比率が下がっていると、運用成果に大きな差が出る可能性もあります。もちろん理想を言えば、そんなこと気にしてはいけないんです。今は相場が強すぎる、足元の運用成績は市場に負けているけれど、長い目で見れば心配無用です、と思うならば、そう報告すべきなのです。

でもそれは本当に疲れる作業です。自分の見通しが必ず当たるわけではありませんから。そこでも自分の主張を通せるファンドマネージャーは、実績豊富なカリスマか、強い信念を持っているか、会社が強くバックアップしてくれるか…ふつうはそうも行きません。期末まで株価が上昇し続けたらどう報告するか、それぞれ戦略を練る。そして往々にして出てくる答えは、「顧客が納得しやすいレベルまで株式の保有比率を上げておこう」だと思います。

そうやってマーケットに出てくる「買い」がいつまで続くのか分かりません。分からないものは分からない、といって眺めていることができるのは、個人投資家の特権です。今買うべきではないと思えば、買わなくてよいのです。その間どんなにマーケットが上がろうが、誰にも報告する必要はありません。そのことがパフォーマンスにどのくらい影響するか、なんてことは検証のしようもありませんが、正しい判断をするのに頻繁な運用報告が邪魔になる、ということは確かだろうと思います。個人投資家だからプロより不利だ、などと思う必要は全くないのです。


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下げ相場で何してる? [投資スタイル]

相場の話はあまり書かないようにしているんですが、こんな時に何も書かないのも不自然なので、前回の続編という感じで、このところの下げで考えていたことを少し書きます。

下げている途中に、一部銘柄の入れ替えをしました。売るときには税金のことを考えてる、と前々回に書きましたが、マーケットが高いときは売却益が多く出てしまうので、なかなか売れません。株価が安くなると、売却益が減って売却損が増え、合わせ切り*がしやすくなるので、前々からやりたかった入れ替えを実行したわけです。

同時に、普段は割高で買いにくいと思っている優良な銘柄を買いました。さらに、3月末が近いので、期末に高い配当の出る銘柄も買いました。配当が出た後、株価が下がってしまうという心配はあるかもしれませんが、良い銘柄を買っているつもりなので、そのうち下がった分は埋め合わされるでしょう。下がったまま売りたくなったら、それはその時で、売却損がまた合わせ切りに利用できます。

その後さらに下がったので、自分が思っていたよりも大きく下がった銘柄の中から、配当利回りを中心に選んで、また少し買いました。で、「今ここ」です。この先さらに下がった時のために、底値で一番突っ込みそうな銘柄は、買わずにとってあります。(笑) こうして最後まで取っておく銘柄は、買いそびれてもいいんです。もっとマーケットがひどくなった時に、少しぐらい楽しいことがあったほうがいいですからね。それでもまだ下がったら、多分インデックスを買うと思います。

今日はまた株価指数の上昇幅がすごいですね。(今、前引け。) 市況解説には、日銀のETF買いとか、ソフトバンクの自社株買いとか、需給関係のことしか出て来ませんが、ファンダメンタルズはどうなのでしょう。

もちろんこれで底を打ったかどうかなんて、全然わかりません。ただ、オリンピックが延期の方向で動き出したこととか、治療薬の開発動向が続々と伝えられていることとか、まあ何となく、不透明感が少し薄まったかな、という気分じゃないかと思います。どうなるか全然わからない、というのがマーケットには一番悪いので。

マーケットが景気の悪化をどこまで織り込んだのか、見方は色々あるでしょう。それにその景気自体も、どこまで落ち込むのかわかりません。この先、日本で感染症の拡大が爆発的に進むようなことがあれば、また一段と経済が悪化することもあり得ます。いつも申し上げているように、シナリオはできるだけたくさん用意しておくことです。そしてあとは、感染拡大を阻止すべく、自分にできることをきちんとやりましょう。


合わせ切り*= 利益が出ている銘柄と損が出ている銘柄を同時に売って売却益(損)を減らすこと

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買い場はいつ?底値はどこ?…誰だって知りたい [投資スタイル]

日経平均が2万円を割り、1日の下げ幅も結構大きくなって、そろそろ買ったほうがいいの? とソワソワする投資家も、日ごとに増えているのではないでしょうか。

こういう時に、今買い場ですか?いつ買い場ですか?底値はいくらですか? などなど、聞きたくなるのはごく自然なことです。そしてその答えをせっせと用意するお仕事の方もいらっしゃるでしょう。ただ、先のことは分からない、という冷たい現実をお忘れなく。その分からない未来とどうやって付き合っていくか。それが投資のコツというか、心構えということだと思います。

底値というのは誰だって知りたいけれど、底はつく前は分かりません。ついた後に振り返って分かるものです。ですから、底値を買おうなどとは最初から思わないで、底値じゃなくても仕方ない、と思って買うことにしましょう。

買うべきタイミングは、人によって色々です。例えば、安くなったら買いたいとずっと思っている意中の銘柄がある場合。経営指標がどれも優れていて、長年優秀な業績が続いているような銘柄は、だいたい人気もあって株価の評価はいつ見ても高いものです。そんな銘柄は、まだ下がると思っても、少々早めに買うのがいいかもしれません。安く買えるタイミングなんて、偶にしか遭遇できないものです。こういう時、買ってしまうまでは落ち着きませんからね。

こんな状況は、以前に「落ちてくるナイフを掴む」というタイトルで書きました。そのあと更に下がってもいいんです。将来は上がると思っているわけですから。もしかするともっと高い株価で買っていたかもしれないんですから。

特に意中の銘柄がないならば、別に急ぐことはありません。十分安いのであれば買おう、という気持ちならば、買い逃してもそれほど残念でもないでしょう。マーケット全体、自分が想像していたよりはるかに安くなった、というところまで粘ればよいのです。

どの銘柄を見ても安くて魅力的でいちいち選んでいられない、というぐらいになったら、インデックスを買うというのもいいかもしれません。私は普段あまりインデックス投資はしませんが、どの銘柄を見ても安くて目移りする状態だった時に買ったインデックスファンドを、いくらか保有しています。

また、これからどんどん保有を増やしていこうという人と、すでに投資残高の多い人とは、やはり買い場に対する考え方が違ってくると思います。同じマーケットを見ていても、見る人によって見えるものが必ずしも同じものではないのです。

さて、今の金融市場。株価はかなり下がったと言えば下がったのですが、コロナウィルスの影響までは測り切れていない、といったところではないでしょうか。どのくらいのダメージになるのか、当然私にだってわかりませんが、今の株価が示すよりもさらに深刻な影響があるかもしれない、というつもりではいます。

「パンデミック」と今日宣言されたようですが、今ある悪い出来事も、いつまでも続くわけではない、ということも忘れずにいましょう。

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売却するときに考えること [投資スタイル]

昨年の初めごろから弱気の虫に取りつかれて来たので、ここのところの株価の下げは、やっと来たかというのが正直なところです。特に米国株などは、市場があまりにも楽観的に過ぎるように見えて、どうも気持ちが悪かったのです。別に空売りしているわけでもないし、株安は良いこととは言いませんが、何だか安心している自分が居ます。何事も、理にかなっていると思えることが大事です。

弱気だったと言っても、さすがに感染病の出現までは予想できません。この新型ウィルス騒ぎの経済への影響は、かなり大きなものになると覚悟しておいたほうがいいかもしれません。そう思っていれば、慌てふためいて底値で売ってしまったりしなくて済みます。

まだ下がると思っているんだったら、今売ったほうが良いんじゃないか、と考える投資家は当然いると思います。それもいいかもしれません。私は基本的にはあまり売りませんが、全く売らないわけでもありません。じゃ、売るときには何を考えてるのか、というお話をしましょう。

個人投資家が売るときに厄介なのは、税金です。機関投資家はこの点は楽でいいよね、といつも思います。下がると思う銘柄、上がらないと思う銘柄を売ればいいんですからね。個人はそんな単純ではありません。うっかり売って実現益が出ると、課税されてしまいます。ですから、売るときにはまず、売買益が出るのか逆に損が出るのか確認します。益が出れば「利食い」、損が出れば「損切り」ということになります。

そもそも私はいわゆる「利食い」、つまり利益が出たからと言うだけの理由で売る、ということはしません。株価が割高なところまで来たと思っても、投資対象の企業が優れていて、株価が下がったらまた買いたい、と思うのであれば、そのまま持ち続けます。ただ株価が上昇した結果、保有額が過大になりすぎてしまうとリスク管理上よろしくないので、いくらか売って減らすことはあります。

逆に「損切り」で売ることはあります。それは簡単に言うと、投資対象の企業が好きではなくなったから売るのです。もちろんその時点で利益が出てくることもありますが、このパターンは損して売ることも多い、つまり銘柄選択の失敗、ということですね。売却の結果が利益であっても損失であっても、持っていたくなければ売る、ということです。だから買い戻すことも多分ありません。

売りを決断するきっかけは、特定の銘柄に悪いニュースが出たとか、現状のように、相場が悪くてまだ下がりそうだとか、色々あると思います。特に理由もなく投資している銘柄のポートフォリオを見直す、ということもあってよいと思います。いずれの場合でも、考えることは、売却益ができるだけ表に出ないようにする、ということです。つまり、売却時に利益が出るようならば、売却損の出るものも売る。税金の計算は暦年ごとですから同時に売らなくても良いのですが、気が付いたら年末が過ぎていて税金が発生した、なんていう失敗もなくはないので、私はできるだけ同時に売るようにしています。

もちろん、税金がどうであろうとも売る、ということはあると思います。税金に気を取られ過ぎて判断を間違うということもあるでしょう。ただ、積み重なれば税金は運用成果を大きく左右しますので、特に利益が出るときは、「税金を払っても売るのか?」とよく考えてみることは必要です。



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NISA、役に立ってます? [投資スタイル]

何らかの金融商品に投資している人のなかにはNISA(少額投資非課税制度)を利用している人も多いと思います。私も利用しています。非課税にしてくれるというものは利用しない手はない、と考えるのが普通です。

この制度が始まってもうすぐ7年目ですが、5年で一区切りという制度なので、今年末は2回目の「ロールオーバー」を経験しています。NISAというのは投資によって得られた利益が非課税になる、という制度ですから、利益が出なければ無用の長物なのです。ただ無用であるだけならばよいのですが、この「ロールオーバー」をやらないと損になる、というのが厄介です。個人に投資を促す目的で制度の利用を奨励するのであれば、ぼうっとしていると損をするというのは制度の欠陥ではないかと思うのですが、制度を利用して損をするのじゃたまりませんから、私も届けを出しました。

NISAだからと言って、とりたてていつもと違う銘柄選択をしたわけではありません。配当が高いものを買ってみたり、成長が持続しそうなものを買ってみたりしましたが、分かったことは、NISAは長期投資向きではないということでした。よく新聞記事などを見ていると、NISAが短期売買に「利用されてしまっている」と非難めいて書かれていますが、長期投資には向かないのだから、仕方がないのではないでしょうか。

長期投資のつもりですから、株式であれば長期的に価値が増えると思う企業を選びます。企業の価値に見合った株価がどこかの時点で実現するので、途中で株価が上がったり下がったりしても気にせず保有していよう、というのが基本のスタンスです。何年後にいくらになっているかはよくわからないし、それを特に分析しようとも思わないのです。ただ最終的には右肩上がりであろうと予想し、できれば割安な株価で買おう、というだけのやり方です。

このやり方で5年後の年末の時点で必ず利益がプラスであるように、というのは、結構難しいことです。プロの機関投資家ですと決まった期間ごとに報告義務があるので、常に運用の「期間」に縛られているわけですが、個人はこの期間の縛りがない、ということが非常に有利な点なのです。ところがNISAで運用すると、5年で成果を上げろ、ということになります。いつもの「買ったら忘れている」という楽ちんな方法をとっていると、うっかり損してしまいかねません。

もちろん5年経つ以前に売却することは可能です。5年目に株価が下がって面倒な手続きが発生したり、それを忘れて損してしまったりを心配するくらいなら、少しでも利益が出ているところで売ってしまおう、という発想にもなるでしょう。ただ、そんなつもりで保有していると、大きな利益は期待できそうにありません。実際私の保有している株式でも大きく利益が出ているのは「買ってから忘れている」銘柄で、5年よりも長く持っている株がほとんどのように思います。

さて、5年目の年末まで持ち続けた結果マイナスに沈んでいる私のケースですが、別にこの投資対象を見限るつもりはないので、次の年のNISA口座に「ロールオーバー」したわけです。でももしこの時、この銘柄選びは失敗だった、もう持っていたくないから売ってしまおう、と思ったとするとどうなるでしょうか。

これがNISAでなければ、他に利益の出る銘柄を売却するときに損失と相殺することができ、これはこれで支払う税金を減らすことができます。しかしNISAであれば、その使い方はできません。売却損は単なる売却損です。それは悔しいから、売るべきものも売らずにロールオーバーして売り時を待つ、または損を承知で課税口座に移管し、将来の売却益との相殺に備える、といった選択肢があるでしょう。

と、ここまで書いてきて、NISAって本当に得なのか?という気分になってくるのは私だけでしょうか。ただ買って忘れているはずだったものが、こんなに色々と運用判断を迫られるのだったら、もうやめちゃおうかな、という気にもなります。この5年縛りのまま続くとすると、最大どのくらいメリットがあるんでしょうか。

もちろん大当たりして、5年以内に2倍にも3倍にもなることはあるでしょうが、常識的な範囲でうまくいって3割ぐらい(年平均なら5%超)とすると120万円×30%=36万円 そこにかかる税金は36万円×20.315%≒7.3万円 のお得、ということになります。これを大きいと思うか思わないかは人それぞれですが、その程度のメリットのある制度、と思っておくのは悪いことではないでしょう。

現在買い付けは2023年までとなっている期限を、そのうち恒久化してくれるんじゃないかなあと期待しているんですが、そういう話はないのでしょうか。過去にも税制に惑わされて判断を誤った経験のある身としては、NISAの利用も考え直そうか、とちょっと思っている年末です。皆さま、良いお年をお迎えください。

P.S. ロールオーバーについて解説してあるサイト、分かりやすく説明されているものは案外少ないですね。こちらは割と分かりやすくできていると思います。(一覧表の中の売却期限が、更新をわすれたのか、間違っているとは思いますが。)


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長期投資のための銘柄選択・・・? [投資スタイル]

パソコンを新しくしたらなかなか調子が出ず、最近ようやく使用環境が安定してきました。予想もしないことでつまずいて、頭にきて赤くなったり、データが壊れた、と青くなったり。データのバックアップはもう一つ作ろうと思ったのでした。何事もリスク管理!

さて、1か月半ぶりのブログ更新です。

10年単位の長期で投資対象を選ぼうとするときに、何を見て選ぶのがいいんですか? という質問が時々あります。多分長期投資をしようとする人にとって、当然の疑問でしょう。誰だって知りたいですよね?

でも残念ながら、これを見ていれば大丈夫、といった指標などがあるわけではありません。そりゃそうです。そんなに簡単なはずはないのです。簡単ではないけれど、それでもやはり、投資するかしないか、判断材料は必要です。

まず一つには、その属する産業なり商品なりの将来性です。「テーマ株投資」というんでしょうか、何らかの「テーマ」に沿って関連する企業に投資する、というやり方がありますけれど、長期にわたって有効なテーマであれば、それがそのまま長期投資ということになります。

昨今常識的に語られている長期的なテーマですと、高齢化に伴う医療ですとか、世界的な所得水準の上昇で需要の増す食品や消費財、テクノロジーの関係ではロボットや人工知能、再生エネルギーなどなど、数十年先まで成長しそうな産業がいくつか思い浮かぶでしょう。それらに関連する企業、要するにその商品やサービスを供給する企業に投資するというわけです。

ところがこれ、言うは易しですが、投資成果を上げるのはなかなか難しいものです。成長すると思った産業が実は違った、というケースももちろんありますが、たとえ産業レベルで予想通りになっても、実際活躍する企業まではたどり着かなかったりもします。産業が成長しても、過去にはなかった技術が出てきて市場が別の企業のものになってしまう、とか、活躍すると思っていた企業が大企業病にやられて競争に負けてしまう、などなど、数十年の間にはいろいろなことが起きるものです。

過去を振り返ると、いくつも思い当たります。私の駆け出しのころ、日本は例の不動産バブル真っただ中。いたるところ再開発が進んで東京が大発展する、と思われた時代です。30年経って、実際に湾岸には新しい街ができていますし、東京の街では切れ目なく再開発が行われていますが、そのテーマで投資していたらどうなったでしょうか。・・・バブルの中では、実態より株価がずっと先に行ってしまっていたんですね。

昨今はプラスチックごみが大問題になっていますが、「生分解プラスチック」というのも、30年ぐらい前には人気テーマのひとつだったように記憶しています。当時多くの人が期待したように、あるいはそれ以上に需要は実現しているのではないかと思いますが、技術のほうはどうなったのでしょう。フォローしていないので詳しくは分かりませんが、実用化に漕ぎつけられなかったのでしょうね。

パソコンが普及し始めたころ、その市場の拡大を信じた人は多かったでしょうけれど、マイクロソフトと競合していた企業はほとんどが、競争に負けてしまったわけです。新しい産業は成長性は高いけれど、新しいだけに参入障壁がないので競争は熾烈になりがちです。その中でどこが勝つのか予想することは、不可能に近いかもしれません。

投資家として、それでも産業の将来性を考えることはやめませんが、それが単純に銘柄選択に直結するわけではない、ということです。遠くを見据えながらも、実際に銘柄を選ぶには、企業の稼ぐ力を吟味することになります。そのために必要になるのが、利益率だったり資本効率だったりといった財務分析なのです。

遠い将来のことは分かりません。だからこそ、実力のある企業に投資することが重要です。予想が当たって市場が拡大すれば、当然その中で優秀な企業は成長するでしょう。予想もしない展開になればそれなりに、強い企業は逆境に耐えてくれることを期待できますし、環境の変化に対応して成長の道を辿ってくれるかもしれません。

実力のある企業であっても、それが永続するとは限りません。長い間に実力が衰えてしまう企業もあるでしょう。絶対確実な投資というものはないのです。あとは確率の問題です。良い投資対象を見出す確率を少しでも上げるために、私たち投資家は、地道に財務分析やそれ以外の分析を行うわけです。長期だから特別、という方法はないのです。



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投資対象を「調べる」ということ [投資スタイル]

先日ウェブセミナーで、株式の個別銘柄を題材に話をしました。何か特定の銘柄を推奨するわけではありません。参加者の選んだ銘柄について調べたり分析したりして、投資対象として魅力的かどうか考える、というような趣向です。

「調べる」というのは何を見ればいいのか、ウェブサイトであればどんなページが参考になるのか、四季報であればどの数字を見るのか。今の時代、必要な情報は何でもネット上で手に入るとはいうものの、その量は膨大で、全てを読むわけにはいきません。必要なものが何か分かっていなければ、探すこともできません。

いわゆる会社四季報というものは、どの企業も統一して同じ指標を載せています。とても使いやすく整理された優れた情報源だと思います。ただ、投資対象としての企業を調べるために重要な情報は、全ての企業で同じというわけではありません。事業によっても必要な情報は違いますし、自分がどの程度、その業界や企業について理解しているかによっても違います。私も、全く知らない企業であれば、会社の沿革・歴史から調べますし、ビジネスモデルが理解できていなければ、各種の報告書をじっくり読んでみるでしょう。

企業によって、時系列で見ることが重要な場合もあれば、それよりも他社との比較が重要な場合もあります。属する産業・市場の将来性が株式価値の源泉であれば、企業よりも事業や業界について調べるでしょうし、逆に事業がなんであるかよりも、企業の経営体質そのものが魅力的だという場合もあるでしょう。

上場企業のホームページには、必ず投資家向けのページが用意されていて、投資に必要と思われる情報がまとまっています。公式に発表されている文書は「IRライブラリー」といったようなタイトルで探すことができ、中でも「アニュアルレポート」とか「統合報告書」などの文書が、最も総合的に企業の自己紹介をしています。そういったものを読んだうえで、様々な情報源を参考に、自分なりに企業のイメージを形作っていく。「調べる」というのは結局そういうことなのだと思います。

株式のセミナーと言えば、誰かが調査分析した結果をもとに買うべき銘柄を推奨する、というのがふつうなのでしょうが、結果は自分で考える、そのために何をするかというセミナーも面白いのではないか。そんな発想でやってみました。実際のお話の内容についてはまたいつか別の機会に。


→ 関連サイト
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配当と成長 [投資スタイル]

私は常日頃、「株式の銘柄を選択する際には配当を重視するのがおススメ」と言っているのですが、先日「それでは企業の『成長』をとらえることができないのでは?」という質問をいただきました。

確かに配当利回りの高い銘柄は、利益は出ているけれど成長性はないと思われているから高い配当利回りでとどまっている、と考えられます。それが合理的な株価というものです。ですからご質問は尤もなことです。これに対する答えはいくつか考えられます。

まず一つは、現在の株式市場では「成長性はない」と評価されているけれど、その評価が間違っているかもしれない、ということ。市場がいつも正しいわけではない、と考えるのが、そもそもアクティブ運用の発想です。それが見つかれば「割安だ」ということになるわけです。成長性が十分あれば、配当も増えていくでしょう。そうなれば投資は大成功ですね。

ただ、成長性を予想するのは難しいものです。それでも、売上や利益だけを見て予想するよりは、配当をしっかり出している会社に絞った方が、良い投資になる確率は高いと思います。そのうえで利益率やROEが高いもの、過去からのトレンドが上向いているものなどを探します。

配当利回りに加えて利益率もROEも比較的高く、且つ業績が右肩上がりなんて、そんな都合のいい銘柄なんか見つからないと思われるかもしれませんが、少なくとも日本の株式市場には案外転がっています。理由は一つではないでしょうが、日本株の投資家が、配当を重視しないという過去の高度成長期の伝統を、未だに守っている(?)ということが大きいのではないかと思います。

高度成長期は、それが合理的だったのです。売上がどんどん伸びたので、配当を出すより事業に投資するべきでしたし、株主は配当がもらえなくても、株価の上昇で十分に報われました。今や時代はすっかり変わったというのに、株式投資に対する関心が高まらないために合理的な投資態度が浸透せず、惰性のまま配当軽視が続いているように見えます。

別の答えとしては、「成長性」をもっと広い意味で捉えて、あまり欲張るのはよしましょう、という考え方。欲張らなくても、配当がとりあえず減らなそうな会社であればOK。毎期利益を上げて配当を払い続けている会社であれば、投資は十分成功です。その場合、株主の持ち分である純資産は、成長し続けているはずですから。

最後に、配当利回りの低い会社でも、別に買って構わない、という当たり前の答え。本当に成長する会社は、上述した高度成長期の日本企業のようなもので、配当が低くても買うべきなのです。成長を逃したくなければ、本当に成長すると思う会社があるならば、株価が割安でなくてもいいのです。しかし、これも繰り返しますが、成長性を見極めるのは難しいということをお忘れなく。

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キャピタルゲインを出さない金融商品 [投資スタイル]

私事ですが、今年の確定申告では、私が事務作業を任されている親の証券口座で、思っていたよりも売却益が出ていて、納税額がずいぶんと増えてしまいました。(納税するのは親ですが。) 

高齢の年金生活者は年収も少ないですし、キャピタルゲインにかかる所得税は、重く感じられます。配当ならば配当控除がありますが、売却益が出てしまうと、どうしようもありません。そうなると、配当を思いっきり出してくれて株価があまり上がらない、という株式があればありがたいような気もします。(もちろん一概には言えません。)

一時はブームとなってもてはやされながら、その後悪者扱いされるようになった、毎月分配型という種類の投資信託がありました。高い配当が人気の源でした。しかし、時として元本を食いつぶしながら配当を払うのはよろしくない、ということで人気も下火になったのです。

もちろん、配当によって元本が減ることもある、という説明をしっかりせずに販売すれば誤解を招き、非難されるのは当然です。しかし、既に「貯める」段階を終えて「取り崩す」段階に入っている世代にとっては、元本が割れたら割れたで、運用しながら取り崩すという便利な機能を提供してくれているわけですから、商品自体は非難されるようなものではありません。

私の親の口座にも、ブームの頃に買ったと思われる毎月分配型の投信が保有されています。買ったときにはどんな説明がされていたのか、今となっては詳しいことはもうわかりませんが、結果的にはこのまま持っていても問題ないと思っています。

そういえば以前、知り合いがこんなことを言っていました。「配当金をたくさん払ってくれて、自分が死ぬときには価値がゼロになるような金融商品があればいいのに。」どうして最後がゼロなのかと聞けば、「相続のトラブルがおきないでしょ?」とおっしゃいます。ならば、元本をどんどん食いつぶしながら思いっきり高配当をだす毎月分配型ファンドなんて、おあつらえ向きですね。但し、ゼロにするピッタリのタイミングは、どうやったって測れませんけれども。

タグ:毎月分配型
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想定外をなくす [投資スタイル]

先日ある会合で、イスラエルという国家はリスクコントロールに長けている、という話を聴いていましたら、「彼らには『想定外』がないのです」という表現が出てきました。これ、個人の資産運用に生かせる考え方です。

想定外がない、というのは、あらゆる状況を想定内に入れてしまう、ということですね。私が株式投資のセミナーでお話する時には「シナリオはいくつあってもいい」という表現になっています。投資しようとする企業の業績を予想するのは難しいので、こうなるかもしれないし、ああなるかもしれない、とあり得るシナリオを色々想定しておくのがいい、というわけです。そしてシナリオはいくつあってもいい。結果がそのうちの一つであれば、想定内だったということになります。想定していれば、その結果に対処することもできる、だからリスクコントロールになるのです。

2月の初めごろのブログで、サンバイオの株式について書きました。ハイリスクな成長株です。「こういう銘柄は、ゼロになってしまう可能性まで想定して心の準備をしておけば、そう悪い投資ではないとも言えます。」と書いたのですが、これはとりもなおさず最悪のケースまで想定内にしてしまう、ということです。

最悪の場合を想定してもう一歩踏み込むと、この場合無くなっては困る資金で投資してはいけない、ということが分かります。退職金を丸ごとつぎ込んだら大変なことになります。しかし、たとえば温泉に遊びに行って高級旅館に泊まるために貯めていたお金であれば、もともと使ってしまえばなくなるはずのお金です。温泉旅行がハイリスクな成長株に化けても、それはちっとも構わないと思います。「買わなきゃ損、という投資家がいても不思議ではない」というのはそういうことなんですね。

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