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不祥事続き。いい加減終わりにしてほしい三菱電機 [株主総会]

株主総会、シーズン最後は三菱電機です。長時間になるとは予想されていたはずですが、やはり3時間を越えました。

まずは謝罪して総会がスタート。事業報告も経営戦略も問題ありません。この会社のいいと思うところは過去のブログでお話していますが、それは今も変わらず良いと思うのです。しかし何年前からでしょうか、毎年のように労務関係の問題が指摘され、少しずつ企業価値を毀損してきています。それに情報セキュリティーの不祥事が加わり、さらに今年は「品質不適切行為」。何だか公序良俗違反みたいな表現ですが、品質検査でズルしてました、ということですね。

その後の調査で、そうした不正の事例がほとんどの事業所で行われていたと分かり、会社がすっかり不正を許す体質になってしまっていた、ということが明らかになりました。社長始め何人もの幹部の首がすげ替わりましたが、もういい加減、膿を出し切って終わりにしてくださいよ、というのが総会に出席しているすべての株主の声でしょう。

質疑応答では、ほぼすべての質問が、品質不正か労務問題に関することです。皆さん色んな角度で切り込んでいました。

まず、経営陣の認識が甘いという批判。もっと真剣に取り組む態度を見せるべきだ、という指摘。ご本人たちは頑張っているつもりでも、傍から見ればまだまだ足りないということなんです。「会社の風土を変える。ゼロから醸成する。」と最大限の表現を用いてはいても、「株主にはこの程度の説明でいいかな」という態度が透けて見えるというわけです。

厳しいようですけど、過去に労務問題をこれだけ繰り返してしまった上に今回の不祥事ですから、どんなに批判を浴びても仕方ありません。会社の風土を変えるなどというのは、それこそトップのリーダーシップにかかっているのですから、もっと前面に出てアピールしなければ物足りないと、私も感じます。事業報告書には「対処すべき課題」という項目がありますが、株主から見れば「不正や労務問題が起きないようにする」のが1丁目1番地のはずなのに、一番後ろに書かれているのを見ると、また来年の総会もこの話題?なんてチラッと思ったりするわけです。

人事が悪い、こうしたほうがいい、と人事の提案をする質問パターンも見られました。技術者の採用が間違ってるとか、派遣が多すぎるとか、取締役会の構成はこうしたらどうかとか。もちろん女性の人事に関しても、目標が低すぎるんじゃないか、という批判など。過去には家電製品の企画に女性チームの声が活きてます、というような話がありましたが、周りが皆「女性活躍」で競い始めた今となっては、周回遅れになっているかもしれません。

社内の隠蔽体質は多様性の欠如から生じる、ということはあるでしょうから、社内の風土改革を断行するというならば、女性の採用・昇進に熱心であるかどうかは、大いに関連するポイントです。終身雇用制が活きている間は、普通にしていては女性管理職の比率はたいして上がらないでしょう。そう考えると、三菱電機は無策に近いと思われても仕方がないくらい、この方面は目立ちません。取締役も12人中、女性は社外で1人だけ。執行役にはゼロ。

その社外取締役の小出寛子さんの意見を聴きたいという質問もあって、声を聴くことができました。ご本人はしっかりやってくださるのでしょうが、会社としてはもっと何か形にしないと、物足りなく見えます。社内風土改革で忙しいから女性活躍まで考える余裕がない、なんて思っていないことを願いたいですね。

批判だけではなくて、応援団の発言も。祖父が職工で三菱電機に入り、後に協力会社を興して、94で亡くなるまで会社に尽くしました、というスピーチは印象に残りました。若い女性の声でしたけれど、会社を継いでいらっしゃるのでしょう。まずは膿を出し切ってほしい、改革には協力会社も参加させてほしい、という内容。こういう株主総会ならではという発言、好きです。

終盤になって、芝居がかった質問者が現れて、我々はオーナーである、ご主人様である、分かったな、という口調で話し始めたので、ホントに芸人さんが来ているのかと思いました。取締役を呼び捨てにしたり、命令口調で質問したり、目立ちたくてやるのでしょうけど、あまり気分良くはありませんね。何かと話を引き延ばそうとはしているようでしたが、すでに語り尽くされた感じもあって、それほど長くは続かず、ほどなく議案の採決、総会は終了となりました。

→ 2020年の株主総会
→ 2018年の株主総会
三菱電機の思い出話



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去年に続き今年も参加 ソニーの総会 [株主総会]

6月28日は去年に続き、ソニーの株主総会を視聴。如何にもSONYらしい「感動とクリエイティビティ―」というキーワードに、去年は「モビリティー」が加わっていましたが、今年は「安全・健康・安心」。何が出て来るのかと思いましたが、金融部門とメディカル部門をこの一言で集約しているんでしょうか? もちろん重要なテーマには違いありませんが・・・。

プレゼンテーションで強調していたのは「クリエーター」。ゲームと音楽と映画で売り上げの半分以上をあげている今、才能あるクリエーターを惹きつけ続けることは、ユーザーに近づくことと並んで重要。カメラのように、ユーザーが同時にクリエーターであることもある。クリエーターにアピールするテクノロジーでなくてはいけない、というわけです。

金融部門は完全子会社化を果たして、売上構成比は15%と、それなりに存在感があります。ただ、ソニーグループとして何を担っているのか、今ひとつピンときません。コンシューマーに繋がる、と言いう意味では確かに金融はカナメとも言えますから、そのうち活きてくると期待しましょう。プレゼンテーションでちらっと聞こえた「(金融は)ニーズ・クリエーターだ」という表現は、こじつけ気味でちょっと苦しいですね。

モビリティーに関しては、去年よりイメージが具体的になっていたように思います。世界中に走る車の1台1台が、エンタメ空間を備えたケータイ端末になるのだと思えばいい、それらすべてがサービスの対象だ、と。そしてHondaとの提携です。6月半ばに合弁契約を結んだんですね。2025年を目標に、EVの販売とモビリティー向けサービスの提供を行う、ということで、大きく一歩踏み込んだ印象です。

一昔前であれば、ソニーとホンダが提携だなんて、ワクワク感でいっぱい!という取り合わせでした。今はどうでしょうか。ソニーはそれなりに元気を取り戻して見えますが、ホンダは少し心配です。いや、かなり心配かも。自動車業界でどういった位置を占めるのか、なかなか見えてこない中、ソニーとの提携も、将来像は描き切れているんでしょうか。

・・・などと心配していると、Q&Aの最後にこんな質問が出ました。
「車にとっての安全性は、ゲームなどとは全然違う。リコールも訴訟もあるだろう。そうした事態で、このプロジェクトはどこがどのように責任を引き受けるのか」。これにたいしては、「責任を取るのは合弁会社です」と当たり前の回答。そして安全への覚悟は当然必要だと付け加えた。そうか、安全・安心がここで出てくるわけだ。医療機器を扱っているから安全と無縁ではない、という言及は、やはりこじつけ気味のような気がします。「安全」の質が違うと思うので。

この質問には続きがあって、質問者は同じ内容を、ホンダの株主総会でも質問したそうです。その時は、「難しい質問なので答えられない」という回答だったというのを聞いて、心配の度合いが増しました。合弁と言ったって、自動車なんだからホンダがしっかりしてくれないと・・・。

ところでソニーの株主総会では、当日オンラインでの視聴者からも、質問を受け付けていました。総会のライブ配信を行う企業で「出席型」を行っている少数のケースでは、オンラインによる出席者も、会場での参加者とほぼ同じ扱いで、チャット機能を用いてリアルタイムで質問することができます。しかし他のほとんどの企業では、総会を「見るだけ」で出席とは見做されない「参加型」です。そうなると、通常1週間ほど前までに「事前質問」として送らなければなりません。ソニーの場合は、当日の開会30分前から開始後15分まで、チャット機能で質問を送ることができるというルールです。報告を聴いてから質問するわけではないので、一種の事前質問にはなりますが、質問のし易さは、格段にレベルアップしていると思います。好印象。

ソニーのドローンについて語った株主もいらっしゃいました。見本市で見て「勝負できる商品だ!」と思ったのだそうです。社長のほうは、より良い映像を作りたいという思いでやっている商品です、とドローン自体にそれほど熱が入っているようには見えませんでしたが、これも「クリエーター」のための品揃えということでしょうか。ドローンの質問者は、「配当よりも、有望な製品にどんどん投資してほしい」と発言していました。「配当をもっと出せ」という質問が出る総会より、ずっと気分がいいですね。


→ 2021年の株主総会
→ 2008年の株主総会
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伊藤忠、絶好調で笑いが止まらない事業報告 [株主総会]

ついこの間、連続20期増配はえらい!とKDDIを褒めたばかりだったのに、昨日の通信障害騒ぎ、通信会社に付き物のトラブルとはいえ、嫌になっちゃいますね。

さて、伊藤忠商事の株主総会は24日の金曜日、この日もかなり集中してました。今年からはオンライン配信も始まって、やっと見られるようになりました。最初に言っておきますと、投資対象としてこの会社は大変パフォーマンスが良いのですが、株主総会についてはあまり良い印象がありません。大阪の会社ですから一度も出席したことはないのですが、コロナ禍1年目の2020年、株主総会は取締役だけでやりますから来ないでください、と書いて送ってきたのを見て以来、そんなイメージがこびりつきました。(→2020年6月19日)

それでも今年はオンラインとはいえ初めての参加、楽しみではあったのです。が、始まってしばらくは、何度も通信トラブルが発生して画面がフリーズ。普通ならば、慣れてないんだろうから仕方ないね、と寛容に受け流すところですが、そもそも良くない印象があったせいで、「またか」という気分になってしまいました。

業績も株価も絶好調の伊藤忠、もう笑いが止まりません、という感じの事業報告です。昨年度は資源高も加わり、純利益は目標値を次々と突破して史上最高。資源に強いライバル2社には及ばなかったものの、非資源部門の利益ならば圧倒的にトップです。株価も史上最高更新が続き、時価総額は30年で10倍、今や東証で上から18番目とか。連続増配も今回で7期目、自己株取得も実施して、株主還元も言うこと無し。IRの評価も高いし、色々なメディアで就職人気No1。ESGの取り組みも、海外の評価機関からトップランクやアワードをもらってます、と、とにかく好成績の列挙が続きました。

ESGに関してはとかく漠然としたプレゼンテーションをする企業も多い中、車載電池のリユース・リサイクル事業、天然ゴム事業での貧困対策や森林保護など、イメージしやすい具体例を挙げていたのは良いですね。村木厚子さんを委員長に「女性活躍推進委員会」を設けていて、プレゼン資料にも、女性取締役は大写しで登場しています。

実効性があるかどうかはまた別なんでしょうが、形にすることも大事です。取締役会直属の諮問機関ということは、指名・報酬委員会などと並んで「女性活躍」に重きを置いている、という意思表示のはず。確かに、大企業の人事はこのくらいやらないとダメなんじゃないかという気もします。女性の役職3割増という目標が高いのか低いのかは、現在地が分からないと何とも言えませんが、2013年に、子育てしやすい「朝型勤務」というのを取り入れてから女性社員の出生率が上がった、ということをちらっとおっしゃいました。この件、もう少し詳しく聴きたいものです。

業績が絶好調で、増配まだまだ続けます!と気勢を上げて事業報告を終わったわけですが、質疑応答に移り、「累進配当とおっしゃいますが、常に増益とは限らない、何を根拠にそう言えるのか、そんなに増配にこだわる必要はあるのか」という質問。担当の取締役からの回答は、ちょっとタジタジに見えました。どんな時も株主還元を重視してます、とまとめましたが、議長が苦笑いしているのが映りました。こういう正論な質問は予想していなかったということでしょうか。個人株主は増配だとさえ言っておけば文句は言わない、と思っていたのかもしれません。

香港子会社上場廃止の件とか、ファミリーマートの人事の件とか、具体的な質問もありましたが、伊藤忠応援団のような発言も。現会長が「やり残したことが無いと思えるまで続けるから応援してください」と言うと、拍手が起こっていました。しかし、最後に指名された質問者、画面には映りませんが、話しているのを聞く限り高齢の、上品そうな女性です。伊藤忠に頑張ってほしい、とファン宣言してから、きっと具体的に腹に据えかねたことがあったのでしょう、昨今は三方良しの精神が薄れてしまって、社員が役人のようになってしまって、大阪の住民として本当に心配している、…と苦言を呈しました。

こういう質問は、大阪の会社だから頑張ってほしいという、率直な思いを感じます。私の感覚ならば、最高レベルの丁重さで答えてほしいところ。中身は無くとも、せめてご心配ありがとうございます、というぐらいは当然でしょう。ところが議長の対応たるや「はい、それでいいですか?」と言っただけで、ぞんざいもいいところです。個人投資家をバカにしているのか女性をバカにしているのかよくわかりませんが、両方に当てはまる私には、とても不快な対応でした。

念のために書いておきますが、株主総会が良いからと言って投資対象になるわけでもないし、良くないからと言って売る理由になるわけでもありません。健全な経営によって利益を上げていること、それが一番大事です。ただ、個人投資家と対話する場で印象が悪いと、調子に乗ってて大丈夫?と、最後の質問者と同じような気持ちになってしまうということです。

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無いぞ、知名度。SCSK [株主総会]

SCSK、という銘柄、ご存知ですか?・・・会社のウェブサイトを検索してみると、トップページが開いた瞬間、ズバリ「無いぞ、知名度。SCSK」という文字が現れ、続いて「あるぞ、情熱。」「あるぞ、実績。」などなど、「ある」ものがずらーっと出てくる、という、なかなか意表をついていて面白い趣向です。何しろ、最初のひと言が図星ですからね。でもCSKならば、もう少し知名度はあるでしょう。CSKが住商情報システムに吸収合併されてSCSKになった、という経緯です。

DX化で成長する企業はたくさんあると思いますが、あまりにも新しい分野だと、そもそも私自身よく理解できていないうえに、変化が早くて企業の浮き沈みも激しいでしょう。新しい会社への投資はエキサイティングですが、それこそハイリスク・ハイリターンですからね。幅広い顧客層があって、特徴は無いけど何でもやってます、というイメージの会社は安心かな、という選択。マーケットが伸びていますから、きちんと仕事をしてさえいればよいのです。

株主総会は1週間ほど前でしたが、ノートとりながら視聴していたにもかかわらず、全く思い出せません。(苦笑) はっきり覚えているのは、質問が1問で終わってしまったこと。だいたい株主総会はQ&Aが面白いんですけれどね。

質問の内容は、親会社住友商事との関係について。住友商事が50%以上保有しているので、いわゆる親子上場のケースです。昨今はガバナンスに対する意識が高まって、親子上場に対する目も厳しくなっています。親会社の利益を優先して、個人株主を含む少数株主が不利益を被る可能性がある、というのがその理由で、実際に親子上場は減ってきています。ソニーとか日立とか、上場子会社をスッキリと整理してしまった例はたくさんあります。NTTドコモも上場をやめてしまいましたね。

親子関係を解消するとかTOBがかかるとか、そういう可能性はないのかという質問ですが、親会社の決めることだから何とも言えない、というのが回答。少数株主の権利に精一杯配慮しています、ガバナンス委員会を設けて頑張ってます、ということですが、取締役はほとんど住友商事からいらしてますから、それほど説得力は無いというべきでしょう。

実は正確に言うと、質問は2問あったのです。たった一人の質問者は、受注残の数字も聞きたいけれど、1人1問だというならば、と前置きして、親子上場の件を質問したのです。私が議長ならば、質問が1件しか出なかった時点で、受注残の質問も受けますけどね。だって「1人1問」のルールは、短い時間にできるだけ多くの人に質問してもらうのが目的のはずです。質問数を減らすのが目的ではありません。多くの人が質問してくれないのに、制限する意味がありません。

この状態を何とも思わないで議案採決に移ってしまった、ということは、総会の進行に当たって、株主に対して不遜であるつもりが無いとすれば、思考が停止しているということなのでしょう。ルール自体が目的化して、何のためのルールか考えることをやめてしまうという、日本人に、特に役人化した人種には頻繁に見られるパターンです。

そんなわけで、難点はあれこれありましたが、だからこそ、DX関連できちんと数字が出ているにもかかわらず、お買い求めやすいお値段で投資できるということでもあります。考え方次第ですね。

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KDDIの株主総会 ~ 通信インフラはみな連続増配 [株主総会]

6月22日(水)、KDDIの株主総会を視聴。

電話会社は3社とも保有しています。通信インフラは保有していて当たり前、という感覚。今やどこの会社の話を聴いても、テーマはDX、リモートワーク、IOTです。経営の将来設計に、必ず「通信」はついて回ります。個人の生活も、多くの人がスマホどっぷり。そしてほとんどのユーザーが遅滞なくキャッシュで料金を払う。料金が下がったり、ユーザーを取り合ったり、まあ色々あるでしょうけど、細かい心配しないことにしてます。

増配が連続20期、立派ですね。配当性向は40%超の継続が目標。言うことありません。私は残念ながらそれほど長く保有しているわけではないけど、長期にわたる資産運用って、こういう銘柄をいくつ持てているかということが大事なんじゃないでしょうか。携帯電話というと、かつては市場が新しくて高成長ビジネスでした。株式市場も成長株の時代を覚えているものですから、ユーザー数の伸び無くなった電話株なんて魅力がないと言わんばかりの評価を与えているように見えます。

総会での事業報告は、全体に納得感がありました。マテリアリティの策定が重要だとか、人材重視だとか、カーボンニュートラルだとか、如何にもマニュアル通りって感じだな、と思ったことを除けば、良いプレゼンテーションでした。

Q&Aから抜粋。
ミャンマーでのビジネスはどうなっているのかという質問。質問者は、非民主的な国に対して無駄な投資はしないでほしいというニュアンスのように聞こえたが、KDDIは、ミャンマーの人々にとって必要なインフラは提供すべきだと回答。従業員の安全には十分配慮している、と言い添えた。

政治体制に対して関心を払っていないのか、敢えて触れないようにしているのか不明。国際世論を無視はできないが、今はウクライナで手いっぱいで、ミャンマーへの関心が薄れていることは否めない。何が正しい、と簡単に割り切れるようなことでもない。政治を語らなくて済むならそうしたい、ということなのでしょう。

テスラとの提携について、という質問。スペースXのことですね。イーロン・マスクの会社でしょうけれど、テスラと資本関係はあるんですか?…それはさておき、KDDIの回答は、宇宙通信には50年の歴史があるわけだから、スペースXのスターリンク事業に、これまでの経験と知見を活かせる、というもの。出資するには相手が大きすぎるので提携です。

以上。

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株主総会ライブ視聴、コマツからスタート [株主総会]

株主総会は、今シーズンもオンライン参加のみとなりそうです。総会で集客力のある企業は、今年も招集通知に「会場には来るな」という意味の一言を載せていますし、歓迎されないところへ出かけて行くのはやはり気が晴れないものです。それに、オンライン視聴はなんだかんだ言って楽ですからね。今週は毎日総会があるので、ぼやぼやしているうちに溜まって来てしまいました。総会メモ、アップしていきます。

21日火曜日は、小松製作所の総会を視聴。第2会場まで人が入っていたようですから、参加者多かったんでしょうか。

世界の景気が回復して売り上げは過去最高、トップエンドは寡占市場ですし、安定と成長がバランスした優良企業、景気敏感株の代表選手といったところです。中期的な戦略も、特筆すべきことはないにしても、不満はありません。資源高で、鉱山機械の好調も当面続きそう。ハードロック事業と言うんですね、銅とかニッケルとか、石炭以外の鉱石のこと。つい、ギュイーンとギターが頭の中で鳴り出しそうです。

中国の市場が急成長していた頃には、中国関連のようなイメージもあったけれど、手元の資料を見ると、売上の多くを占める建機・車両部門で、前期中国向けは3.8%だけ。かつてはどのくらいあったのでしょうね。同じ頁には各地域別に、建機・車両の売り上げの伸びが載っているのですけれど、中国向けが激減しているのを除けば、日本は目立って低いのが分かります。台数が伸びないのか、日本だけ価格が上がらないのか、その辺は分かりませんが、きっと両方でしょう。円安の影響もあるはずです。売上が過去最高というのも、ドル建てならば達成していないかも。

コマツは売り上げの9割近くを海外で上げる、非常にグローバルな会社です。経営のビジョンや計画には、長々と英語のタイトルやキャッチフレーズがついていて、日本語プレゼンテーションには収まりが悪いけれど、世界中の社員がシェアするのだから、英語になるのはむしろ自然です。そんな中、中期経営計画には「DANTOTSU Value」という名前がついているんですね。

これもグローバルに掲げているのでしょう。日本語のエキゾチックな感じと、発音しやすくて力強い響き。外国人には案外好評かもしれません。昔、私が初めて海外に出た時、自動車メーカーとしてNISSANがDATSUN と一般的に呼ばれていたのを思い出しました。ドイツだったのでダッツン、と。響きが似てます。私たちがカッコいいと思わなくても、世界ではかっこよく響いたりするものです。かつてNYの日本企業で働いた時も、私が格好悪いと思っていた漢字の社章を、現地の皆さんは喜んでシャツにプリントしていましたっけ。

Q&Aから抜粋。箇条書きで行きます。
 〈ロシア事業について〉 事業は主に建設・鉱山機械。2021年度売上全体の約7%がCIS諸国向け。現在生産はストップ、在庫ある物のみ販売。約1000名の従業員には給与を100%保証している。敵対的な企業の従業員が逮捕される可能性もあるので、判断は慎重にする必要がある。従業員の安全を重視。6/17からは輸出規制が強化されている。

 〈社外取締役に再任の3人には株式を保有してほしいという意見に対し〉 選任規準には含めていない。

この議論は、一般にはどう受け止められているのでしょうね。「社外」という役職が導入されたそもそもの経緯から言えば、株主の代表としての地位ですから、この意見は至極真っ当です。ただ日本では、株主の権利がないがしろにされた、という時代の記憶もないし、社外の役割は、他での就業経験がほとんどない取締役の知見を補完することが中心のようなところがあります。いつもはアメリカ崇拝気味の「専門家」の皆さんも、この点は関心ないようですね。

 〈キーコンポーネントが油圧から電動になると、外注の調達が増え、競争力が低下するのではないか〉 バッテリーセルを外から買うことになっても、モジュール化やマネジメントシステムを内製化する。パ-トナーと組みながらも、社内に技術の蓄積を図る。

電動化でポジションが悪化する、というのは、自動車業界の立たされている状況と同じですね。自動車メーカーを脅かすGAFAMのような存在が、建設機械の世界にもいるのでしょうか。いずれにしても、電動化は避けて通れません。

 〈中国向けが大幅に減っている件〉 現在中国の建機市場は85%が中国メーカー。2010年には7割が外資系であったが、国産化は国策であって如何ともしがたい。実際中国メーカーの技術も良くなって性能は遜色ない。キーコンポーネントの性能を強化して販売していく。但し余剰生産能力の削減など構造改革は必要で、先日合弁の中国企業を独資化した。今後はタイと同様、クロスソーシング拠点と位置付ける。

以上。

記録によると、私は5年前に1回、コマツの総会に出席しています。読んでみると、「7社兼任している社外取締役がいる」というくだりが出てきます。それってどうなのよ、という質問です。兼任が多い取締役には、議決権行使の際に私も×つけたりしますが、昨今あまりひどい例は見なくなりました。多くて4社ぐらいかな? 5年経つと、やはり世の中少しは変わってます。

→ 2017年の株主総会



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#ワークマン女子ってどう? [株式の個別銘柄]

株式投資をやっていて後悔する案件は、ほとんどが「買っとけばよかった」という話ばかりだ、とは過去にも書いた覚えがありますし、よくお話もしています。ワークマンという企業も、そんな中の一つです。

株式の店頭公開が1997年。当時小型株ファンドの担当もしていましたから、当然新規公開株もカバーしていました。バブル崩壊後、従業員の作業服を支給しない事業所が増え、働き手が自分で買うようになったから売り上げが伸びているのだ、という話を聴いて、面白いと思ったこと、よく覚えています。流行り廃りもない地味な小売り、というイメージでした。その時投資したかどうか、記憶が定かではありませんが、自分のために買うということはしませんでした。

それがある日気付いたら、巷で大評判になっていた、というわけです。カジュアルウェアの業態がウケている、安くて良質の商品を売っているという、かつてのユニクロの登場を彷彿とさせる姿です。株価は既に成長期待を反映してそれなりのバリュエーション。流石にこの株価は無いよね、と横目で見ながら数年が経ちました。

で、久しぶりにお目にかかったら、ピークから株価はザックリ言って半分です。これは安いのか?…ということで、改めて業績動向を見てみますと、特に悪い話が出たわけではなさそうです。ネットで見るヘッドラインは相変わらず、ワークマンのあの商品やこの商品が良いと言って褒める記事ばかり。ただ売上の伸びは、過去数年の年20%台や30%台という夢から覚め、巡航速度に落ち着きつつあるのかもしれません。

年間の決算がほどなく出るでしょうけれど、発表されている直近の四半期までの全店売上は+7%となっています。この成長ペースが続くのかどうかということになりますが、かつての「巡航速度」は+5~10%辺りですから、会社のペースとして無理のない水準と考えて良さそうに思います。そうであれば、利益もきちんと出ていますし、PE20倍割れの株価は買える水準、と判断できます。

さて、そしてGW。亀戸天神の藤棚を見に行こうと思い立ち、藤はすっかり終わっていてがっかりでしたが、その帰りに錦糸町のショッピングビル内の#ワークマン女子に立ち寄りました。小売りという業種は何と言ったって、実際のお店を見てみなくちゃ、というわけです。この話題の業態を見るのは初めて。何せ生活圏にワークマンの店舗は全くありませんのでね。

実査の結果。思ったよりも店舗は狭く、品数は少なく、特に女性用はサイズもあまりなく、女性が買うものがそんなにあるのか?…というちょっとがっかり感を伴う印象です。やはりコストを優先すると、女子のサイズまではあまり揃えられないんだろうか、と思いつつ、その数日後、噂の銀座の新店舗にも足を延ばしてみました。話題性十分で、開店後は毎日入場整理券を配る状況のようです。私も一応整理券をもらいましたが、外から見たところ、錦糸町のお店とほとんど変わりません。40分も待つのが面倒になり、整理券は無駄にして帰ってきてしまいました。

その後、部屋の片付けなどしておりましたら、1年以上前に買った日経のMookが出て来まして、何気なしに開いて見ると、巻頭の記事がワークマンではありませんか。図らずも経営者が語る経営戦略を、じっくり読む機会が得られました。細かいことは省きますが、要は持続可能な成長を目指しているのだ、と理解しました。成長の原動力となっている新業態は、品揃えを増やしているのではなく、基本的には既存の商品の売り方を変えているのだと言います。また最近伝えられた「宅配の廃止」の方針も、この時すでにはっきりと述べられています。

デフレの終わりが近づいているとなると、低価格の業態には不安も感じますが、経営の方針にはそれなりに納得したので、巡航速度の持続的な成長を、今の時点では信じてみることにしました。ワークマンの属するベイシアグループに勢いがあるということもあります。小売りというのはすそ野が広い産業ですから、上手くいけば、山はまだ登れるでしょう。

余談ですがこのMook、発行が2020年の12月。株価はそのすぐあとから、転げ落ちるように下がって来ています。ピークアウトの一つの指標だという良い例ですね。

タグ:ワークマン
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為替は理解が難しい、という声に応えて [市場と経済]

円安が不安だ、という論調が盛んに見られるようになりました。何年か前まではずっと円安祈願をしていたはずなのに、何という変わりよう。急激な円安のきっかけは、言うまでもなく原油価格の急騰ですが、ここまで不安に煽られてしまうのは、経済力に対する自信喪失の為せる業なのでしょうか。

原油価格はほんの2年前、コロナショックで底が抜けて、先物がマイナスの値をつけたことさえありました。それが昨年は右肩上がりに回復し、今120ドルを超えるところまで来たわけです。予想もしなかった戦争という事態に、原油市場は価格上昇という反応をして見せましたが、先は常にも増して、予想し難くなっています。足元で価格が上がるのは分からないではありませんが、大きなトレンドであるはずの化石燃料離れは、いったいどうなったのでしょうね。

為替レートを動かす要因はたくさんありまして、私ごときが簡単に説明できるようなものではありませんが、「為替は理解が難しい」という声にお応えして、円のレートがどんなふうに動くのか、私なりに整理してみようと思います。

まずごく短期的には金利でしょう。特に短期金利。アメリカで金利が引き上げられました、日本では上がりませんでした、となれば、新たに資金を預ける人はアメリカで預けようと思うでしょう。より高い利子が稼げますから。だから金利の高い通貨が強くなります。

次に考えるのは、ビジネスへの投資。投資先のある所にお金は流れます。日本は基本的にお金はあるけれど投資先が十分無い国なので、景気がよくなる時には、日本のお金が外へ出稼ぎに行きます。だから円安気味になります。景気が悪くなってくると、お金が海外の出稼ぎから帰ってきて円になりますので、その分円が買われることになります。

長期的には内外の物価が為替レートを決定します。物価の上昇率は、国によって様々ですが、マーケットはグローバルですから、均衡を保とうとする力が働くのです。「ビッグマック指数」なるものがあるのをご存知でしょうか。マクドナルドのハンバーガーですね。どこの国でもほぼ同じ品質と思われるビッグマックが同じ価格であるためには、為替がいくらであるべきか、という指数です。

ここでシミュレーションはしませんが、ちょっと考えてみると、物価が安い国の通貨は、内外の均衡を保つためには高くならなくちゃいけない、ということが分かります。同じものを買うならば安いところで買いたい、と誰でも思いますよね。ですから物価が安い国にお金が流れようとして、その国の通貨が高くなる、という市場の力です。

日本は世界でも最も物価上昇率の低い国の一つですから、当然円には高くなれ、という圧力がかかります。世界の中の日本の経済的地位は、長年にわたって落ち続けているのに、円が何となく強さを保ってきた背景には、この物価を均衡させようという力学があるのです。この物価を均衡させる為替レートを「購買力平価」と呼んだりします。

総合的な国力や国に対する信用は、もちろん為替レートに影響します。政治力のような漠然たる要素もありますが、やはり重要なのは経済力でしょう。その信用に直接的にかかわるのは、お金を持っているかどうかということ。その点は個人に対する信用と同じですね。そんなに働いて稼いでいなくても、たくさん蓄えのあるお金持ちであれば、信用は得られます。日本は世界の中ではそんな感じの国だと思います。

いつまでもお金持ちで居られれば、何も心配はありません。これまでの日本は、パッとしないながらも、お金が減る心配はあまりしなくていいと思われていたわけです。このところの円安が不安を煽っているとすれば、その辺がいよいよ心配になり出した、ということでしょうか。お金持ちだった人がお金に困り出したら、それはちょっと悲惨ですよね。

これまでの為替レートは、物価を均衡させる「購買力平価」よりも円高であることが多かったのです。だから世の中の円安祈願は、せめて物価を均衡させる程度には円安になってほしい、ということだったと思います。ところが、今の為替レートは物価を均衡させるレートよりも円安な領域に突っ込んでいるように見えます。

このことは、「日本の経済」に付いていた値段が、長い間割高だったのに、ここへきて割安になり始めた、ということを意味します。時々、日本の為替レートが30年前と同じになった、という表現を見ると思いますが、それは「30年前からずっと割高だったのに、30年以上前と同じように割安になってきた」ということです。だから心配になるのは無理も無いと思います。

ただそれを、「生活水準が30年前に戻った」とか「10年前、20年前より貧しくなっている」と言うのはちょっと違います。例えば1990年代の円高時、円は海外で多くのものを買えましたが、国内では今ほど多くのものを買えなかったわけです。今どきの百円ショップの品ぞろえには驚くばかりです。ここ20年や30年の間、GDPの成長力は落ちましたが、国内にたまったお金で財政赤字を膨らませながら、公共のインフラも、かなり立派になったと思います。生活の豊かさと、為替レートは直結しないのです。

問題は将来です。日本はきっと将来貧しくなる、という見通しが、信用の低下を招くのですから。

できるだけ簡潔に、と思っても、結構長くなりました。本当はもっとお話すべきことがあるとは思いますが、今日はこの辺で。

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戦争と株価 [市場と経済]

ウクライナへの侵攻が始まってから、世の中に流れるのは暗いニュースばかりで、マーケットも元気が出ません。こういう時は売るもんだ、という考え方もあるでしょう。ただ、少し長い目で見ると、戦争や争乱は、イコール売り、ということにはなりません。そんな時に株を買うのも不謹慎なようではありますが、とりたてて売る理由にはならない、とだけ言っておきましょう。

戦争によって経済活動はあれこれとマイナスの影響を受けます。当事国は人的にも物理的にも被害を受けますし、貿易や金融がストップすることもあるわけです。昨今はサプライチェーンがグローバル化していますから、意外なところに被害が及ぶこともあるでしょう。しかし世界はそんな時でも経済活動を続けています。私たちは毎日ものを食べたり動き回ったりして生きています。経済は止まることはありませんし、受けたダメージを修復しようと動きます。物事の良し悪しはともかく、失った以上に回復し、成長することもあります。

そして、好むと好まざるとにかかわらず、軍事費はGDPにプラスで計上されます。もちろん支出する国家財政は苦しくなりますが、国家の赤字は、橋や道路を造っても戦闘機を作っても、同じようにGDPを増やします。残念なことにというべきか、色分けは無いのです。

今あるようなGDPが広く使われるようになったのはせいぜい20世紀半ばで、それほど古くはないようですが、そもそも国の経済力を知るというニーズは、歴史的に見れば、戦争遂行能力を知る必要があったというわけです。発達の途中で、軍事費のようなコストは差し引くべきではないか、という議論は無かったわけではないようですが、元々のニーズを考えるとそうなるはずもなく、そのまま今日に至っているのです。株価は長期的には、そんなGDPに沿って動きます。戦争のようなショックを機に、活躍する企業が変わることはあるでしょうけれど。

でも株価は実際下がってますよね、というのも事実。とりあえず売り、という判断も、それはそれで正しいと思います。戦争状態で何が起こるか分かりませんし、どこにどんなダメージがあって修復されるのにどのくらい時間がかかるのか、といったことは予想が困難です。それは平常に比べて明らかにリスクの高い状態です。特に短期的な資金にとっては避けるべきリスクということになるでしょう。

ごくごくざっくりと株価というものをモデル化すれば、何らかの価額で表される価値が分子に、「割引率」が分母に来る分数の形になります。リスクは金利などと共に、その「割引率」を構成します。GDPという価値がプラスになるとしても、リスクを含む「割引率」が急速に膨らめば、株価はやはり下がります。株価が戻って来るには、急速に膨らんだリスクが再び縮むのを待つことになりますね。

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ESGについて語ってみた [セミナー企画]

今日のブログはなんだかYou Tuberのつけそうなタイトルですね。動画はありませんので、悪しからず。

このところ「教養としての株式」というようなセミナーを、何度かやっておりまして、今月はほぼ週一回、まん延防止措置の長引く中、久しぶりのリアルセミナーでした。「投資セミナーじゃありません」とお断りしてやっています。そういうのはどこでもやっていますからね。投資セミナーでは話題にならないような話をする、というコンセプトです。

昨日は最終回で、「ESG」をテーマにするという新しい試みをやってみました。この分野について私自身、全く専門家でもないにもかかわらず皆さんの前でお話をするという、何という挑戦的な企画でしょう。但し、受講者の皆さんにはご理解いただいたうえでのこと。専門家でない代わり、広くカバーして全体像が俯瞰できるように努めました。

金融市場界隈で、何故急に環境だのSDGsだのESGだのと言われるようになったのか、一体企業や市場で何が起こっているのか。この現象を、私たちはどう受け止めればいいのか。そういう話、皆さん聴きたいんじゃないかと思いまして、私なりの解釈と考えをお伝えしました。ESGという表現は比較的新しいけれど、事の始まりは60年近く前。一般には理解しづらい「コーポレートガバナンス」の考え方と、深く関わっています。ESGとコーポレートガバナンスが一度に分かっちゃう便利なセミナー、というわけです。

初めてお話しする内容でしたので、さすがにドキドキでしたが、いつも“大変良い”質問をしてくださる受講者が、「ここのところよく聞くESGについては、何となくずっと気持ちの悪さを感じていたけれど、今日の話で(何が起きているか分かって)スッキリしました」との感想を述べてくださいました。嬉しいですね。私自身、何が起きているかしっかり整理しておきたいと考えて、立てた企画です。大変勉強になりました。

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