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シーズン最後の集中日は、村田製作所 [株主総会]

昨日の村田製作所で、今シーズンの総会は打ち止め。映像を見ると、結構出席者がいらっしゃいますね。京都の会社なので、オンライン化のお陰で初めて参加が可能になりました。

株主に気を使う必要のない会社の一つ。エレクトロニクス業界で、多くの日本メーカーの存在感が希薄になった今も競争力を維持し、確固たる地位を守っています。ケチをつけるとすれば、保守的過ぎるバランスシートと株主還元方針ぐらいのものでしょう。

その昔、セラミックは陶磁器だから日本が得意なのだ、焼き物の技術だから部品を分解しても真似できないのだとどこかで読んで、なるほどと思いました。セラミック部品と言えばほかにTDKや京セラが大手ですが、セラミック部品の競争力を強化することに一番集中してきたのがこの会社だと言えるでしょう。株価は去年、ようやくドットコム・バブル時の高値を抜いて、上昇基調です。

株主の質問は、株式分割や自社株買いなど、株主還元に関わることが多いですね。でも、そういうことにはあまり熱心ではないのです。初めに言ったように、株主に媚びる必要がありませんから。質問にも、かなり正直に回答していたと思います。今は自社株買いよりも投資が大事だから、と。株主還元は配当中心が基本。DOE(株主資本配当率)4%以上…って、現時点で下限辺りですから、業績が悪化しても、配当が下がる可能性は極めて低いってことですね。

株式分割というのは、株価が高くなると、個人投資家にとって買いにくくなるので分割しよう、ということになるわけですが、こちらもあまりやりたくはなさそう。「株式分割の目的の一つは、株式の流動性を高めることでしょう? でも、うちの会社、これ以上流動性高める必要なんてあります?」と言われちゃうと、おっしゃる通りというしかありません。

事業環境について長い目で見ると、皆さん地政学リスク、つまり「中国」が心配なのです。でも、これは誰にとっても難しい問題です。機動的な対処に努める、というのが精いっぱい、奇策はありません。

最後は役員・管理職の女性比率についての質問です。女性管理職比率は現在8%。低いという認識はあるけれど、その辺の年代は女性の採用が少なかったんだからしょうがないという、これも正直なお答え。普通日本の大企業は皆そう思っているはずです。はっきりとは言いませんけどね。

基本は人種・性別にこだわらぬ人事、などというと極めてまっとうなようですが、女性の比率を上げようと思うならば、それでは足りないのです。「優秀な女性だから登用しよう」という意識では比率は多分上がりません。でもこの会社の目標は2030年度末までに10%ですから、特に意欲的というほどでもありません。先ほど株主還元に関して言及した「DOE 4%以上」というのと同じで、特段の努力をしなくても達成できる水準のように思えます。

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ZOZOの株主総会。若い会社って軽いノリでいいですね [株主総会]

金曜日は午後にZOZOの株主総会を視聴。

自分で全く利用しないので、サービスがいいかどうか分かりませんが、こういう業態は伸びるのだろうし、実際売り上げは右肩上がりだから、よろしいのではないでしょうか。ちょっと創業社長がエキセントリックなイメージで、実態よりもリスクが高い印象をもたれているかもしれませんね。

総会自体はリアルに開催されていますが、壇上の取締役席はほとんどが液晶パネルです。最近はテレビの報道番組などでもこういうリモート出演が見慣れた光景になっていますが、まるで席に座っているかのようにしつらえてあると、ちょっと愉快です。

社長は「本質」という言葉がお好きみたいで、コロナ禍にあって本質が見えた、通販の本質的課題は買う前に試せないことで、株主総会の本質的な意義について考え、新社屋の建設に当たってはオフィスの本質的価値って何だろう・・・と、本質の連発でした。別に問題ありませんが、私は個人的に「本質的」という言葉は好きではないので、つい耳についてしまいました。

その新社屋は西千葉とのことで、地味な選択、いいと思います。低層でセンスもいいんじゃないでしょうか。(私のセンスはあてにならないけれど。) 株主還元については、配当性向を50%に引き上げる、と話がありました。

Q&Aは始まる前に5名と上限を決めたのはいいけれど、既に1時半なのに1時40分終了予定というのはあんまりですね。案の定、最初の株主がまた長話で、話し終わったら5分以上経過していました。

長話の内容は質問というよりも、様々な事業の提案です。私にはちょっと聴いただけでは評価できませんが、それなりに業界に通じているような話しぶり。ひけらかしのようにも聞こえましたし、場合によっては自分もZOZOのビジネスのどこかに一枚かませてほしいと思っている人物なのかもしれません。

もう一人は女性で、Zホールディングスが資本参加してからファッションセンスが変わってがっかりしているというんですね。はっきり言ってしまうと、ダサい、というクレームです。今日の総会で社長やスタッフの着ているTシャツ、なにこれ、ダサ!…とおっしゃったわけではもちろんありませんが、私にはそう聞こえました。(笑) 私はファッションに疎いのでノーコメントですが、お気持ちよく分かります。

長話の人物が最後に触れた「ZOZOマット」の技術的評価の件。社長の回答では、この技術をファッションのみならず、医療や美容、ゲームなどの分野に応用して、ワールドワイドに売っていこうと思っているそうです。面白いかもしれません。

この会社、ROE60%ということですから、単純に考えれば、その半分を配当に充てて、30%ずつ資本が増えていくってことですよね。悪くない。あまり派手に振舞わずに、本業しっかり伸ばしていっていただきたいです。

総会の最後に新任の取締役を紹介。拍手が全くなかったので、社長一瞬焦って、あの、ちょっと、拍手して・・・という幕切れはご愛敬です。

タグ:ZoZo 株主総会
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とにかく出てみたかった「バーチャル出席型」 ~ ソフトバンクグループ [株主総会]

水曜日はソフトバンク・グループ。親会社のほうです。今シーズン参加している株主総会では、ただ1社の「バーチャル出席型」です。これは「参加型」と違って、視聴するだけではなく、法的に出席したと認められます。ですから質問も動議も出来ますし、総会で審議した結果を受けて議決権を行使できるのです。とはいっても、声を出して発言できるわけではなく、画面の右端にある操作パネルの所定の欄に書き込んだり、クリックしたりすることになります。

ソフトバンク・グループは去年もバーチャル出席型をやっていたのですが、申し込みをうっかりして出席しそこないました。今回は総会の内容というよりは、この形式に興味があって、とにかく一度は出席してみたかった。そういうことです。

操作パネルの一番上は拍手マーク。通常の総会で拍手するところは、これで意思表示。でも音がしませんから、どのくらいの人が賛同しているのか、参加者には分かりません。その代わり議長の側には、総会の出席者の何%が拍手による賛意を示しているか、数字で見えるということになりますね。

実は今回の総会中に、株主から配当の議案に対して「修正動議」が出され、拍手機能が稼働しました。「修正動議が出されました」と議長(孫さん)が内容を説明し、それからまず採決の方法について諮ります。原案から先に採決するという方法に対して、そこで参加者が拍手。それから原案に対して賛同の拍手。そこでおしまい。実際は総会の前から賛成多数が分かっているケースがほとんどなわけで、その場で出された修正動議が通ることは滅多にないと思われます。

議決権の行使の方法は、スマホでの事前行使とほとんど変わりませんが、取締役の選任の項目、個人を特定して反対できるようにはなっていませんでした。(私の操作方法が間違っていなければ、ですが。)

採決の話を先にしてしまったので時間を戻しましょう。孫社長のプレゼンテーション、「ソフトバンクは情報革命の資本家である」、というタイトルがついていたわけではありませんが、「ソフトバンクは投資会社である」という表現にご不満な様子。「投資家はお金をふやすことが目的だけれど、自分の目的はそうではない」という主張です。

産業革命が、鉄道をはじめとする新しいインフラを作って世の中を変えたように、情報革命で新しいインフラを作り、世の中を変えるのだ、と。そして産業革命も資本家なしには起こらなかったように、情報革命も資本家なしにはあり得ない、ソフトバンクはそのための資本家である、というのがプレゼンの要約です。

それはいいんですが、投資家は投資する人、資本家は資本を提供する人、とそれだけのことで、その先の違いは単なるイメージの問題でしょう。投資家は資本家であるとは限りませんが、資本家は投資しなければ単なるお金持ちですから、ほぼ必ず投資家であると思います。ですから孫さんの主張は「単なる投資家じゃないんだ、資本を提供しているんだ」ということなんですね。

株主質問は、どうやら出されたものは基本的にすべて取り上げているように見えました。せっかくだから私も1つ書き込んでみたところ、要約の仕方が少々不満でしたが、取り上げてもらえました。孫社長にとって不愉快な質問も出て来ていましたから、今日のところは握り潰しは無かったのではないでしょうか。今後質問が大量に出されるようになった場合、どうなるか分かりませんけれど。

その「不愉快な質問」。自社株買いでしか株価を上げられない、だとか、NAVを信じた多くの投資家が損している、だとか、確かに随分と失礼な言いようです。どんな売買をなさっているか知りませんが、しばらく保有している株主のほとんどは、今は評価益が出ているんじゃないでしょうか。孫社長も、よく言うわ、大概にしてほしい、とお答えでした。でも、こういうやりとりは聞いている分には楽しいですね。

取り上げられた質問は約20件。重複のあるものや似たものをまとめたり、要約して短くしたりしているでしょうから、リアルの総会よりも多くの質問を短時間で捌けます。すべてが1時間半で収まりました。

内容を詳しく記す必要は無いと思いますが、株主還元後継者問題社外取締役人事などに関心が高いようです。アームの売却は安すぎたのでは?という質問も。社外取締役に襟川さん(コーエーテクモの、ですね)を起用した「正直な理由」を教えてほしい、という質問には孫社長も「どういう意味よ」と爆笑していました。ホント、どういう意味なんでしょうね。


→ ソフトバンクってどう思います?(2020年8月)
→ 2018年の株主総会
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よくぞ復活、地に足ついてるソニーグループ [株主総会]

社名に「グループ」が付いたんですね。この10年で株価が10倍になったSony。下がった株価が戻ってきたのであって、過去の最高値を抜いているわけではありませんが、そうは言っても、よくまあここまで復活したものです。足元の業績は言うこと無し。

株主総会はかなり久しぶりです。プレゼンテーションには、「感動」とか「クリエイティヴィティ―」とか、相変わらずのソニーっぽいキーワードに「モビリティー」を加え、キーテクノロジーは今もCMOSセンサー。変わっているようで変わってません。ただ日本全体がそうであるように、こじんまりまとまって地味になった印象です。会社というより社長のキャラクターなんでしょうか。

私はライブ配信での参加ですが、会場に足を運んでいた株主は、ソニーの長年のファンが多かったに違いありません。株主からの質問を聴いていると、壮大なストーリーを自信たっぷりに披露する、そんな昔の姿を懐かしんでいるような気がしました。ソニーが日本の技術を牽引していく展望はあるのか、長期的に中国とどう向き合うのか、50年後や100年後のソニーはどうなっているのか、といった質問が出るのですが、今の社長は夢物語はしない人なんですね。地に足のついた地味な回答。見通せる長さの将来しか語ろうとしない、そういう人のようです。

配当が少なすぎる、という不満を述べた株主もありました。利益がこんなに伸びてるのに、どうして配当は増えないのか、と思う気持ちは分かります。この方も長く保有している株主なのでしょう。株価が3ケタに落ちた時にも我慢して持ち続けた、その結果こんなに業績が回復したのに、その我慢が報われていないと感じているわけです。その心情を滔々と語りだして、話がえらく長くなってきました。「簡潔にお願いします」の声がかかるも止まらず、クレームしつつもソニーに対する長年の思いが溢れているように思いました。

確かに配当性向はふだんから低いんです。直近期は投資の評価益が膨らんで、配当性向は更に下がってます。ただ随分と投資にお金が回っているようで、現金がそんなに余っているわけではないようですね。延々と訴えたのに、社長は相変わらずあっさりした回答です。それで正しいんでしょうけれど、ああいう個人投資家にはもう少し丁寧に答えてあげればいいのに。配当が欲しいというのは、売りたくないという意味でもあるんですから。

最後、議案の採決後、概算ながら「反対票」数がスクリーンに表示されました。株主総会でこういうのは、初めて見るような気がします。反対票が多くてドキドキするような案件は、もちろんありませんでした。

過去に参加した株主総会は2008年だけのようですね。
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中期計画は13年経っても…第一三共の株主総会 [株主総会]

昨日の月曜日、過去に何度か出席している第一三共の総会。最後に出席したのは、ブログを検索すると2014年ですから、かなり久しぶりです。

目に見える業績は、ひと言で言うとずっと横ばい。直近期の連結売上9625億円に対し、ホームページで遡れる一番古い2005年度が9259億円ですから、途中の浮き沈みはともかく、結果的に正真正銘の横ばいです。

株価のほうは、アストラゼネカとの提携で新薬の展望が見えてきた2017年の秋から、3年ほどで5倍近くにまでなっています。期待の新薬が生まれるとなれば、その程度はまあ当然でしょう。

中期計画による2025年の売上は1兆6000億円。新薬発売とともに急伸するのでしょうけれど、5年で1.6倍強は、複利の年率にするとちょうど10%ってところです。Q&Aで社長が回答したところによると、増える6000億円余りはほぼ癌の新薬で、海外の売り上げが中心とのこと。せっかくならば新薬のピークでどのくらいになり得るかも知りたいものですが…。

ところで、過去のブログを検索していたら、一番古い2008年の総会メモに「2015年ビジョン」という文言が出てきて、私は「売り上げの目標が1兆5千億円、うち海外が60%、となると、6千億円ほど伸びる売上のそのほとんどすべては海外から、ということになる。」と書いています。13年経って、ほとんど同じこと書いているのでウケちゃいました。当時はインドの製薬会社を買収して、今とは違うグローバル化戦略だったはずですが、あの買収は残念な結果でした。

株主還元については、DOE(株主資本配当率)を指標として採用する計画だと言ってましたね。中期計画でDOE8%以上、ROE16%以上と掲げているようです。だから、ROEが16%を下回ると、配当性向が50%を超える、ってことですね。DOEは使われるようになって日が浅いので、私も使い慣れませんが、安定配当志向の日本企業には、案外定着するかもしれません。

Q&Aではコロナワクチンの話も出ていましたが、業績的にはあまり影響ありませんし、他にも特筆すべき質問はありませんでした。最後の一人として指名された株主氏、癌の遺伝性について長話が始まってしまいました。高齢者によくあるパターン。最近は「簡潔にお願いします」と議長がちゃんと介入するようになりました。頻発する事態に皆さん慣れてきたんでしょうか。私ももう少し年をとったら気を付けなければ。

 →2008年の株主総会
 →予想が難しいのは何と言ったって…(薬品株)

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DX化のお陰です ~ 日東電工の株主総会 [株主総会]

今朝は日東電工。初めて参加する株主総会、これもDX化のお陰です。

視聴の際は8ケタの株主番号と登録住所の郵便番号を入力。この方式が多いですね。株主番号は議決権行使書にありますが、この行使書を郵送したり紛失したりして番号が分からなくなると参加できないので、ぜひ視聴したいと思う企業は、招集通知のどこかに株主番号をメモしておくようにしています。

総会は、飾り気は無かったけれど、必要なことを短い時間できちんと述べている印象で、好感が持てました。「業績報告」は飛ばしていきなり「対処すべき課題」から始まりましたが、違和感ありません。サステイナビリティーへの言及も忘れません。もう常識でしょうけれど。

「外部環境に影響を受けにくい強靭な企業体質」が目標だと謳っていますが、長年保有している私の持つイメージとも合っています。事業それぞれを、「伸ばすもの」「戻るもの」「戻らないもの」に分ける、という表現も、なかなかシンプルでいいんじゃないでしょうか。

最後の「戻らないもの」を本当に厳しく処理できるのか、そこで実行力が問われます。コロナ禍で、決断しやすくなったかもしれません。背中を押されるってやつですね。安心感のある良い会社ではありますが、長い目で見ると決して右肩上がりとは言えない株価。この環境を好機として、さらに体質強化していただきたいです。

セグメント別の戦略説明を聴くと、細かな需要に応えながら、市場環境に自分の身を合わせて行こうという姿勢を感じます。大ヒットというより小ヒットの積み重ね。

医薬事業の技術的評価は私には出来かねますが、成功すれば大きいのが薬のビジネスですからね。ただこの分野においても、創薬のほかに「受託製造事業」を増強する、という手堅い道を摂っています。受託製造なんて、半導体のTSMCを思わせますね。

さて、Q&Aでは一つ興味深い話がありました。質問した株主は、自分は日産の株主でもあるのだけれど、日産でのガバナンス上のトラブルで、場合によっては日東電工も火の粉を被るのではないかと心配しているなどと言うのですね。一体どういうことなのか。

詳細は省きますが、後で記事検索した結果を補足して整理すると、日産の法務担当者が、調査結果を社内で無視されたので、社外取締役に懸念を知らせたところ、握りつぶされたばかりか解雇にまで至った、という話。そしてその日産の社外取締役の一人が日東電工の社外監査役を兼務している、ということなのです。

その社外監査役は、残念ながらと言いますか、今年は改選に当たっていないようで議案にありませんが、日産での話がもし本当であれば、酷い話です。再任に反対するに十分な理由ですね。私はいずれにせよ、掛け持ちの多い社外役員には反対票を投じることにしているので、迷う余地はありませんけれども。

質問者は、この人物に社外監査役を任せていていいのか、と言いたかったのだと思いますが、それに対する回答は、社外監査役の報酬は業績に連動しないから問題ないだとか、当社も社外通報制度を設けているだとか、焦点のずれた回答のように聞こえました。もし株主総会がバーチャルオンリーになったら、こういう質問は無視されるんでしょうか。完全バーチャル化はそういうところが懸念されます。



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株主総会、ライブ配信! [株主総会]

株主総会は、今週からが本番です。

新型コロナに背中を押されるように、急にライブ配信が増えた昨年。今年はもう配信するのが当たり前になるんじゃないかと思ったのですが、案外そうでもありませんでした。株主数の少ない企業が配信しないのは当然としても、日本を代表するような企業でも配信の無いケースがあるとは、予想していませんでした。

明日総会の予定されているトヨタ。招集通知や同封物を何度も見ましたが、やはり配信の案内はありません。個人株主とのコミュニケーションは、HPやメールで図るという方針のようです。良い悪いということではなく、当然あるだろうと思っていたので驚いた、ということです。トヨタは言うまでもなく愛知県ですから、簡単には総会に出席できません。DX時代になって良かったな、なんて思いながら、ちょっと楽しみにしていたので、正直言って残念です。

それから来週末の三菱商事。「総会当日の様子は、後日ホームページで動画を掲載」との案内があります。この会社はいわゆる優等生で、一般に「良いガバナンス」「良いIR」と言われるようなことは率先してやる、というイメージがあったので、これも意外でした。ただトヨタと違って、出席しようと思えばできますから構いません。それに来週金曜ともなれば、視聴したい総会はほかにもたくさんありますからね。

首都圏以外にある企業で、「今年は視聴できるかも」と楽しみにしていたのに配信がされない株主総会は、トヨタだけではありません。伊藤忠は昨年は、「役員だけでやりますから来ないでください」と書いて送って来た企業なので期待はしていませんでしたが、やはり配信無し。日本電産やファナックもありません。この辺の企業は、財務・業績とも非の打ち所がないレベルで、良過ぎるために個人株主を大事にするというアピールが不要なのですね。サービス悪くても文句言えませんから。

それでも配信のお陰で初めて覗くことのできる総会も、もちろんあります。大阪の日東電工に京都の村田製作所、楽しみです。

今朝、シーズンのトップバッターとして視聴したユー・エス・エスも、愛知県の会社で、随分長年保有しています。伸び盛り、と思って買ったところが一旦ピークだったような結果で、上場して年月が浅い会社に投資すると、割とよくあるパターンです。そのまま忘れたように放っておいたら、いつの間にか株価は上がっているし、今日話を聴いていたら、上場以来22期連続増配だそうです。パッとしなくてもきわめてまともに経営している感じ。こういう銘柄を地味~に貯めていくのも、資産形成には案外効くんじゃないでしょうか。



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キリンホールディングス・・・CSV経営? [株主総会]

30日の集中日はキリンホールディングスの総会をオンライン視聴。これも初めての総会です。

実は私本人ではなく、家族の名義の持ち株です。オンライン視聴は正式な「出席」ではありませんし、議決権行使も動議も発言も出来ませんが、これからオンライン「出席型」が増えてきて、代理出席が問題になることはないんでしょうか。

リアル総会でも、実際入り口できちんと本人確認しているのを見たことはありませんが、法的には勝手に代理出席してはいけないんじゃないでしょうか。リアルの場なら、必要であれば本人確認できますが、自宅からIDとパスワードのみで出席する「株主」が本来の株主であることは、確認のしようがないと思うのです。IDとパスワードを持っていれば株主と見做す、ということでいいのでしょうか。だとしたら、もっと色々な株主総会に出席できて、私はうれしいですけれどね。

このキリンホールディングスの総会は「事前登録制」でした。出席希望を郵送して、抽選で当たると出席できるのです。総会の最後に、抽選の倍率を質問した株主がいらっしゃいました。200席に対して1400通あまりの応募があったそうです。コロナ禍でやむを得ず、ということでしょうけれど、株主が出席したいと思っても叶わない状況というのは、やはり早く解消してほしいものです。

株主総会ではとり立ててご紹介したいような内容はありませんでしたが、ミャンマーの事業について質問が出たので、触れておきましょう。ミャンマーでは2015年から、国軍の支配下にあるミャンマー・エコノミック・ホールディング社と合弁で、ビールの製造を行っています。2月5日に合弁解消の方針を公表し、その後交渉を試みているけれども、状況が混沌としていて進展がない、ということです。

クーデターの勃発が2月1日ですから、5日に公表というのは、十分迅速と言っていいでしょうね。提携解消の道筋が見えないというのも致し方ないでしょう。基本方針は、ビール事業からの撤退ではなく、今後もミャンマーの社会に貢献し続けたいが、レピュテーション・リスクは何としても避けたい、と。

キリンの対処の仕方はどう見えているのか、「海外の眼」代表として、社外取締役のオルコット氏にも回答を促す質問がありました。「日本は確かに人権に対しての関心のレベルが欧米とは少し異なると思うが…」なんてまどろっこしい、オブラートに包んだような表現をなさるのですから、この方がいかに日本語がお上手かが分かるでしょう。情勢の複雑さを考慮すれば、キリンは迅速で適切な判断をしていると思う、との回答でした。

ミャンマーの件以外にも質問はあったのですが、回答した担当役員のプレゼンテーションが、まとまりがなかったり中身が薄かったりという印象。自分の担当事業について、出るであろう質問を想定して準備しておくことは、それほど難しくないと思いますが。

キリンは優等生ですし、投資先として良い企業だと思いますが、プレゼンテーション全体を通して、何となく焦点がはっきりしないというか、説得力に欠けるというか。最近もしかするとよくあることなのかもしれませんが、ESGを気にするあまり、何を目指している会社なのか、報告書やプレゼンを見てもよく分からなくなってしまうパターン。キリンの資料にも、「CSV」という言葉が頻繁に登場しますが、このキーワードがそういう効果を持っているような気がします。

“Creating Shared Value” でCSVだそうです。「社会課題への取り組みによる”社会的価値の創造”と”経済的価値の創造”の両立により、企業価値の向上を実現する」と脚注にあります。確かに企業活動の目指すべきことが漏れなく包括されているような表現ですが、ESGの世界ではもしかして一般用語なのですか?少なくとも一般人の感覚ですと「なに、それ?」という感じだと思います。

普通だったら、例えば「美味しい飲み物を提供し、コミュニケーションの促進と同時に健康の増進を図ることを目的とする、その過程において、ESGに取り組む」というイメージじゃないでしょうか。キリンの事業報告を読んでいると、「ガバナンスに優れた会社と評価される」ことが会社の目的なのかと思ってしまいます。違いますよね?

視聴後のアンケートに、事前質問を受け付けるようにしたらどうか、と提案しておきました。花王の総会案内は、確かそうなっていたと思います。来たいと思っても来られない抽選制ならば、必要なのではないでしょうか。ネットだと、会社側が質問を取捨選択できるという点は要注意ですが。

最後にどうでもいいことをひとつ。キリングループと書くときは、キリン・グループとしてはどうでしょうか。「グ」と「ル」の間に濁点の分隙間があるので、「キリング ループ」と一旦目に焼き付いてしまった後は、何度見ても「キリング ループ」と見えてしまうのです。あまりよろしくないと思います、その響き。

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バリュー銘柄ブリヂストン、株主総会オンライン視聴 [株主総会]

今月は、12月決算の企業の株主総会が行われていて、26日(金)と30日(火)がその集中日となっています。今シーズンはもう最初からリアル総会に出かける気はさらさら無くて、自宅でお茶飲みながらの視聴です。

たくさんある中から選んだのはブリヂストン。昨年ポートフォリオに新たに加えた銘柄です。バリュー銘柄としてのチョイスです。配当はその後減額されましたが、想定内だったと思います。特にこれといった話題はありませんが、出来れば長く持っているつもりなので、視聴することにしました。

始まる前にちらっと会場の様子が映り、その後画面はずっとスピーカーとプレゼン用の資料のみですが、Q&Aでは活発に発言がされていましたから、リアルの出席者もそれなりに集まっていたようです。

事業報告の後、中期経営計画・長期ビジョンについてのプレゼンテーション。「サステイナビリティ」にフォーカスしているあたりは世の潮流どおり、今や当たり前のことなんでしょうが、これからは説得力が問われていくことになるんでしょう。ブリヂストンのケースを超簡単にまとめると:

「創って売る」、要は従来の製造業っていうことですが、資源効率を高めてきた実績がある、といくつかの指標を使って数字で示されています。使用する水や資源や排出するCO2を生産量あたり2005年と比べて30~40%くらい減らしている、ということです。
「使う」事業= ソリューションビジネス、これが新しいコア事業。タイヤを扱うことで得られるデータを活かして収益化する、というイメージ。具体的に何をやっているかよく分かりませんが、長期ビジョンの道程中「今ココ」ということですね。モビリティ産業全体がデータ化されるんでしょうから、タイヤメーカーもついて行かなくては。
「戻す」事業、つまりリサイクル。ここが出来てやっとサステイナブルな企業として完成する、というわけですが、まだ「探索」段階だそうです。今はソリューション事業に集中、でもこの分野も手をつけておかないとね、というニュアンスでした。

ソリューション事業はある程度結果を出してほしいとは思いますが、リサイクルまではまだ期待するのはよしておきましょうバリュー投資というのはそこまで必要としませんから。

私が投資した時点では、従来のタイヤ製造部分しか株価に織り込まれていなかったと思います。自動車産業が大きく構造変化して動力が何になろうとも、タイヤを使わなくなるということはないんじゃないかと思って、とりあえずその部分だけでも収益を上げ続けてくれればいい、という発想で投資しているわけです。ソリューションやリサイクルが収益化すれば、それはもちろんありがたいですけれどね。

Q&Aでは足元の業績についての質問がいくつか。2020年度の「その他費用」が1480億円と巨額ですが、これは何の費用か、と。これはきわめてまともな基本的な質問ですね。2020年度は最終的に200億円近い赤字を計上しているわけです。決算発表時には多分散々説明したのでしょうが、やはり株主総会でも説明することは必須だと思います。

これに対しては、Covid19の影響も含めて業績が悪化したため900億弱の減損損失を計上、さらに構造改革に428億の費用、というさらりとしたお答えでした。もう少し詳細を説明してくれてもいいんじゃないでしょうか。キャッシュの出て行かない費用だとしても、額が額ですから。

最後に発言した株主も業績についての基本的な質問。2021年度は利益が急回復する予想だけれどその根拠は何か、と。これに対してもあっさりとした回答で、各事業部からのボトムアップ、+アメリカの屋根材事業の売却だそうです。

余談ですがこの質問者、多分先の質問者と同じ方だったようで、議長が指名してしまってから「あ~しまった」という表情をして何かつぶやいていました。一人一問、っていうルールだったのに。(笑)

収益性の向上についての戦略を問う質問に対しては、ソリューション事業のウェイトを上げていきたいという回答。ソリューション事業の営業利益率は25%だそうで、全体に占める比率で現在15%のところを2030年には30%にしたいのだそうです。リーマンショック後のブリヂストンの営業利益率はだいたい5~13%ですから、3割が25%となると、これが11~16%ぐらいになる計算ですね。

今回の総会で全く話題になりませんでしたが、人事戦略やガバナンスについても話をしていただきたかったですね。総会の議案に上がっている定款変更の項目の一つが、執行役員制度の廃止のなので、何か説明があって然るべきではないでしょうか。

執行役員制度というのはそれほど古いものではなく、新設する話はあっても、廃止するというケースは聞いた覚えがありません。今では多くの企業が当たり前のように採用していて、その存在意義について疑問を持たなくなっていました。ここらで再検討するのもいいのかもしれません。

ブリヂストンの取締役会は、社外取締役が12人中8人。その一方で経営の執行に携わる取締役は社内の2名のみで、権限がある意味集中しているようにも見えます。昨今の新しい取締役会のスタイルは、私の眼には何かと謎だらけに映るのですが、ブリヂストンが何を考えてどのように役員の仕事を分担しているのか、色々と関心があります。

聞いてみたいことはあれこれとありますが、そうなるとやはり質問できるところに座っていないとだめですね。

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「労務」に始まり「労務」に終わった三菱電機 [株主総会]

先週の金曜日のいわゆる集中日は、ライブ配信で三菱電機の総会に参加しました。

事業報告も中期計画も立派にまとまっていて、特に申し上げることはありません。それよりこの総会、労務問題に始まって労務問題に終わった印象です。

中期計画の中でも、ESGへの取り組みの第一番は「従業員エンゲージメント」。会社人事の「エンゲージメント」というのは、最近の流行りなのでしょうか。耳慣れないのでピンときませんが、ここではそのために柔軟で効率的な働き方を取り入れて、いきいきとして働ける職場環境を実現する、と言っています。「情報セキュリティ―」という項目もありましたが、防衛関係の情報漏洩事件を受けての対応なのでしょう。当然ですね。

事前質問も労務問題から始まりました。これが争点となるであろうことは十分に予想されていたと思われます。2年前に私が出席した株主総会の時点でも、労務関係の質問が相次いだと記録があります。(→2018年の株主総会)2019年にも社員の自殺事件が1件。この時は教育係が書類送検されたんだそうです。

質問者の中には労務問題の活動家のような人もいて、事業所の門前でチラシを撒くなどの活動をしているのだそうです。彼女が言うには、社員が抑圧されているのを感じる、完全に無視するようにと会社から指示が出ているのだろう、と。方々で活動しているその道のプロ(?)らしく、別の企業ではもっと対応が良い、と他社比較までして見せました。

一番最後の質問も労務問題でした。元社員だという質問者は、ブラック企業大賞を受賞するなど元社員として情けない、と嘆き節。社内にはびこる情報隠蔽体質を正せ、それがパワハラ体質の原因だ、と一刀両断です。ついでに、防衛庁の漏洩事件も隠そうとしたではないか、と。社内から見ていた株主ともなると、おっしゃることが真に迫ってますね。

こうした質問に対する答え、要はパワハラ防止策として何をやっているかということですが、列挙しますと、
 社内の風土改革
 ハラスメント防止教育の実施
 個々の社員の心の変化を把握するため、毎月一回アンケートの実施
 外部カウンセラーの導入

そこで社長がひと言、現場を訪ねて若手社員の話を聞いている、と話す場面もありましたが、次の質問者に、社長が訪問して本音が聞けるとでも思ってるのか、と言われてしまいました。おっしゃる通りです。認識が甘いと、自ら暴露してしまったかも。

私としては、内部通報制度がこの中に挙がっていないのが不満です。そういう制度、無いのかしらと思っていたら、2年前の総会レポートでは、「パワハラについては内部通報制度があります」というくだりがありますね。あっても機能してないんでしょうね。どういう通報制度なのか知りませんが、人事部に通報するんじゃだめです。外部の法律の専門家とか…とにかく社内と結託しない「外部」が必要だと思うんですよね。

2年前はそれほど深刻にとらえていませんでしたが、事ここに及んで、この社内のパワハラ問題は喫緊の課題に育ってしまったようです。パワハラ防止、ではなく、パワハラ体質の払拭、というのが正しいでしょう。事件が繰り返されたと言うだけではなく、社会の労務環境に対する目が急速に厳しくなっています。企業のブランド価値が思った以上に棄損するリスクがあります。

労務問題の一部ではありますが、女性の登用についての質問もいくつもありました。現状は従業員の9.7%、管理職中の3.9%が女性だそうです。いわゆる大企業は、今どのくらいが平均なのでしょうね? 

平均がどうかはともかく、社内のパワハラ体質も隠蔽体質も、職場における多様性の欠如と無関係ではない、と言えるのではないでしょうか。女性や外国人、転職組の多い職場は隠蔽体質になりにくいと思いますよ。阿吽の呼吸も通じませんから。だからと言って、急に女性を増やしたり中途採用を増やしたりするのは現実的ではないかもしれませんが、そういう体質の会社なのだとすれば、普通以上のことをやらなければいけない、ということです。

例えば、多様性の向上のために目に見えるほど女性の比率を挙げようと思えば、「女性でも優秀だから採用する」のでは足りなくて、「とにかく新規採用の技術者は最低3割女性にする」というような発想が必要だと思うのです。

難しいのは、多分経営幹部の皆さんは、従来の体質が居心地よいから偉くなってる方々だということ。多様性を強化するには、これまで居心地のよかった種類の人々に犠牲を強いるということです。そんな風に考えると、それなりに覚悟を持って臨まなければならない問題と言えそうです。昔から割と好きな会社なので、真剣に向き合ってほしいですね。

→ 2018年の株主総会
→ 三菱電機の思い出話
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